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留学生がオーバーステイになってしまったとき|除籍・退学、資格外活動、在留資格取消しと在留特別許可

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留学生がオーバーステイになってしまったとき|除籍・退学、資格外活動、在留資格取消しと在留特別許可

留学生がオーバーステイになってしまったとき|除籍・退学、資格外活動、在留資格取消しと在留特別許可

2026/08/27

「学校を除籍になってしまった」「アルバイトを増やすうちに授業に出られなくなった」「在留期限が過ぎているのに、誰にも相談できないまま日本にいる」。留学の在留資格で来日された方から、こうしたご相談をいただくことがあります。期限を過ぎた状態が続くほど、ご本人は身動きが取れなくなり、時間だけが過ぎていきます。この記事では、留学生の方がオーバーステイ(不法残留)になった場合に、法律上どのようなことが起きているのか、そしてどの時点で何ができるのかを、入管法の条文に沿って整理します。

学校を除籍・退学になると、留学の在留資格はどうなりますか

除籍や退学になったこと自体で、その日に在留資格が消えるわけではありません。在留カードに記載された在留期間の満了日までは、在留資格は形式上残っています。ただし、入管法22条の4は在留資格の取消しの制度を定めており、実際には留学としての活動を行っていないと評価される状態が続く場合には、取消しの対象となり得ます。どの号に当たるのか、取消しに至るまでの手続や期間の要素といった細目は、条文と実際の運用に即して個別に確認する必要がありますので、この記事では枠組みだけを述べます。

ここで大切なのは、「学校をやめても在留期限までは何もしなくてよい」という理解が誤りである、ということです。なお、在留資格が取り消された後もそのまま日本に残った場合については、入管法70条1項3号、3号の2、3号の3に罰則が定められています。

在留期限が過ぎてしまった留学生は、犯罪になるのですか

刑事罰の対象になります。入管法70条1項5号は、「在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間(20条6項の規定により本邦に在留することができる期間を含む。)を経過して本邦に残留する者」を処罰の対象としています。法定刑は、3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、又はこれらの併科です(70条1項柱書)。

同時に、入管法24条4号ロにより、退去強制の事由にも当たります。つまり、警察・検察による刑事の手続と、入管による退去強制という行政の手続が、二本立てで進むことになります。どちらか一方だけを考えていると、対応を誤ります。

オーバーステイの期間が長いほど、刑は重くなるのですか

法定刑そのものは、滞在期間の長短にかかわらず一律です。変わるのは法定刑ではなく、検察官がどの処分を選ぶかという判断と、量刑の幅です。実務上、オーバーステイの期間の長さは、違法な状態をどれだけ続けたかという犯情として、処分の重さに直結する中心的な要素になります。

期間が数か月程度にとどまり、自ら出頭し、生活の基盤や家族関係が明確な事案ほど軽い処分に向かいやすく、期間が数年、さらに長期に及び、資格外の就労を伴い、偽造文書などの別の違反が重なる事案ほど重い処分に向かいやすい、という傾向があります。もっとも、結論は事案により幅がありますので、期間だけで見通しを立てることはできません。

アルバイトをしすぎていた場合、扱いは変わりますか

変わり得ます。資格外活動の許可で認められた範囲を超えて働き、本来の留学としての活動を行わずに稼働に専従していたと評価される場合には、別個の問題が生じます。資格外活動の専従は、入管法70条1項4号の罪に当たり、退去強制事由としても24条4号イに当たります。就労の実態は、刑事処分の判断においても、在留を認めるかどうかの判断においても、事実として正面から評価されます。

他方で、後述する出国命令の要件のうち、該当してはならない退去強制事由として挙げられているのは、24条3号から3号の5まで、4号ハからヨまで、8号、9号です(24条の3第2号)。資格外活動の専従に当たる4号イは、この除外事由には含まれていません。したがって、資格外活動があったという一事で出国命令の道が直ちに閉ざされるわけではありません。ただし、出国命令には次に述べる5つの要件をすべて満たすことが必要です。

摘発される前に自分から入管に出頭すると、何が変わりますか

制度上、はっきりと変わります。入管法24条の3の出国命令の対象となるのは、24条2号の4、4号ロ、6号から7号までのいずれかに該当する外国人で、次の5つの要件をすべて満たす方です。

  • 次のイ又はロのいずれかに該当すること。イは、27条の規定による違反調査の開始前に、速やかに本邦から出国する意思をもって自ら出入国在留管理官署に出頭した者。ロは、違反調査の開始後、47条3項の通知を受ける前に、入国審査官又は入国警備官に対して速やかに本邦から出国する意思がある旨を表明した者。
  • 24条3号から3号の5まで、4号ハからヨまで、8号又は9号のいずれにも該当しないこと。
  • 本邦に入った後に、刑法第2編第12章(住居侵入)、第16章から第19章まで(通貨偽造・文書偽造・有価証券偽造・支払用カード電磁的記録)、第23章(賭博)、第26章(殺人)、第27章(傷害)、第31章(逮捕監禁)、第33章(略取誘拐)、第36章(窃盗強盗)、第37章(詐欺恐喝)若しくは第39章(盗品等)の罪、暴力行為等処罰法1条・1条ノ2・1条ノ3の罪、盗犯等防止法の罪、特殊開錠用具所持禁止法15条・16条の罪、自動車運転死傷処罰法2条・6条1項の罪、又は盗難特定金属製物品処分防止法22条の罪により拘禁刑に処せられたものでないこと。
  • 過去に本邦からの退去を強制されたこと、又は55条の85第1項の規定による出国命令により出国したことがないこと。
  • 速やかに本邦から出国することが確実と見込まれること。

出国命令が出されると、主任審査官は速やかに出国を命じ、15日を超えない範囲内で出国期限を定めます(55条の85第1項)。住居や行動範囲の制限などの条件が付されることがあります(同条3項)。出国命令の手続は、退去強制手続と異なり、身柄の収容を前提としません。

留学生の方の場合、学校をやめた時点、あるいは在留期限が過ぎた時点が、そのまま分岐点になります。違反調査が始まる前にご自身で出頭したのか、それとも職務質問や摘発をきっかけに手続が始まったのかによって、24条の3第1号のイに当たるのかロに当たるのか、そもそも出国命令が使えるのかが変わってきます。在留特別許可に係るガイドラインでも、「当該外国人が、不法滞在を申告するため、自ら地方出入国在留管理官署に出頭したこと」は積極要素として考慮されると明記されています。逆に、不法滞在の長期化は消極要素として評価されます。

出国命令で帰国した場合、いつ日本に戻れますか

戻れるまでの期間は、どの経路で日本を出たかによって、入管法5条1項9号で次のように分かれます。

  • 出国命令により出国した者は、出国した日から1年(5条1項9号ホ)。
  • 24条の3第1号ロに該当する者、すなわち違反調査の開始後に出国の意思を表明した者が出国命令で出国し、その後に短期滞在の活動を行おうとする場合は、出国した日から5年(5条1項9号ヘ)。
  • 退去強制されたが、52条5項の決定を受け、期限までに自ら出国した者(短期滞在目的を除く)は、退去の日から1年(5条1項9号ロ)。
  • 退去強制された者で、それ以前に退去強制歴・出国命令歴のない場合は、退去の日から5年(5条1項9号ハ)。
  • 退去強制された者で、既に退去強制歴・出国命令歴がある場合は、退去の日から10年(5条1項9号ニ)。
  • 24条4号オからヨまでに該当して退去強制された場合は、期間の定めがありません(5条1項10号)。また、薬物関係法令違反による処罰歴がある場合の5条1項5号にも年限がありません。

もう一度日本で学び直したい、日本の大学院に進みたいとお考えの方にとって、1年と5年、5年と10年の違いは、人生の設計そのものに直結します。この差が生まれる分岐点は、多くの場合、ご自身が動いた時期です。

日本で進学・就職を続けたいという希望は、考慮されますか

考慮されます。入管法50条1項は、退去強制対象者に該当する場合であっても、各号のいずれかに該当するときは、当該外国人からの申請により又は職権で、在留を特別に許可することができると定めています。オーバーステイの多くは、同項5号の「その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき」で判断されます。

同条5項は、考慮する事情を法律上明示しています。在留を希望する理由、家族関係、素行、本邦に入国することとなった経緯、本邦に在留している期間、その間の法的地位、退去強制の理由となった事実、人道上の配慮の必要性を考慮するほか、内外の諸情勢及び本邦における不法滞在者に与える影響その他の事情を考慮する、とされています。進学したい、就職の内定がある、日本で身につけた技能を活かしたいという事情は、この「在留を希望する理由」として主張していく事柄です。

手続の面では、申請ができるのは、収容令書により収容された外国人又は監理措置決定を受けた外国人です(50条2項)。それ以前の段階では、法務大臣の職権の発動を求める活動になります。また、退去強制令書が発付された後は申請できません(同条3項)。判断の時点は、47条3項の認定・48条8項の判定に服し、又は異議の申出に理由がないと裁決された後です(同条4項)。許可されない処分をするときは、速やかに理由を付した書面で知らせなければならないとされています(同条10項)。

なお、在留特別許可に係るガイドライン(令和6年3月改定、同年6月10日施行)は、在留特別許可を「本邦からの退去を強制されるべき外国人に対して例外的・恩恵的に行われる措置」と位置づけています。希望が考慮されるとしても、それは当然に認められるものではなく、事情を証拠とともに具体的に示していく必要があります。

刑事処分が軽く済めば、日本に残れますか

別の問題です。刑事処分の軽重と、日本に在留を続けられるかどうかは、直接には結び付きません。刑事事件で執行猶予がついた場合でも、不起訴となった場合でも、入管法24条4号ロにより退去強制の手続は進みます。

この点は誤解が生じやすいところです。入管法24条4号リは、「昭和26年11月1日以後に無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者。ただし、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者及び刑の一部の執行猶予の言渡しを受けた者であってその刑のうち執行が猶予されなかった部分の期間が1年以下のものを除く。」と定めています。したがって、不法残留で「1年6月・執行猶予3年」といった全部執行猶予の判決を受けても、4号リには当たりません。しかし、もともと4号ロにより退去強制事由に該当しているのですから、「執行猶予がついたから大丈夫」という理解は誤りです。

他方で、実刑となり、その刑が1年を超えると、今度は50条1項ただし書の加重要件がかかります。この場合、在留特別許可は「本邦への在留を許可しないことが人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情があると認めるときに限る」ものとされます。不法残留(24条4号ロ)のみの事案は、このただし書の加重要件の対象ではありません。これは留学生の方にとって有利な事情です。だからこそ、刑事処分を軽くする活動と、在留特別許可を求める活動は、初動から一体で設計しなければなりません。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。接見の初動から公判の結審まで、松村大介弁護士が全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。

外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳をご利用いただけます。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携の行政書士とワンストップで対応します。

解決事例を二件ご紹介します。ひとつは、観光目的で来日された方が日本人女性との間にお子さんを授かったものの、在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻と認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされましたが、憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を実現し、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を実施しました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況の下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1回の手続で在留特別許可を得た事案です。

もうひとつは、冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。「退去強制事由には故意・過失が不要」とする従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起し、上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められています。初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りいたします。

おわりに

留学生の方のオーバーステイは、学校をやめた時点、在留期限を過ぎた時点、そして誰かに見つかった時点で、それぞれ意味が変わってきます。ご自身で動ける時間が残っているうちにご相談いただくことが、上陸拒否期間の長短にも、在留特別許可の見通しにも影響します。なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここでご紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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