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摘発されると出国命令が使えなくなるのはどんな場合か|入管法24条の3第2号・第3号・第4号

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摘発されると出国命令が使えなくなるのはどんな場合か|入管法24条の3第2号・第3号・第4号

摘発されると出国命令が使えなくなるのはどんな場合か|入管法24条の3第2号・第3号・第4号

2026/08/27

在留期限を過ぎたまま日本で生活している方から、「もし警察や入管に見つかったら、出国命令という制度はもう使えないのでしょうか」というご相談をよくいただきます。オーバーステイの状態が続いていると、いつ身柄を拘束されるかという不安が消えないと思います。出国命令は、収容を前提とせずに日本を出ることができ、次に日本へ来られるまでの期間も短く済む制度です。ただし、この制度を使えるかどうかは、入管法24条の3が定める5つの要件をすべて満たすかどうかで決まります。この記事では、摘発された場合に、どの要件によって出国命令の道が閉ざされるのかを、条文に即して整理します。

摘発されたら、出国命令はもう使えないのですか

違反調査が始まったというだけで、直ちに出国命令の可能性が失われるわけではありません。入管法24条の3第1号は二つの入口を定めています。イは、27条の規定による違反調査の開始前に、速やかに本邦から出国する意思をもって自ら出入国在留管理官署に出頭した場合です。ロは、違反調査の開始後であっても、47条3項の通知を受ける前に、入国審査官または入国警備官に対して速やかに出国する意思がある旨を表明した場合です。つまり、調査が始まった後でも、認定の通知を受ける前であれば第1号自体は満たしうるということです。

もっとも、24条の3は第1号から第5号までのすべてを満たすことを求めています。摘発された事案で出国命令が使えなくなる原因の多くは、第2号・第3号・第4号にあります。

出国命令の5つの要件は何ですか

対象は、入管法24条2号の4、4号ロ、6号から7号までのいずれかに該当する外国人で、次の5つをすべて満たす方です。オーバーステイは24条4号ロですので、入口には立っています。

  • 第1号 イ(違反調査の開始前に自ら出頭した)またはロ(違反調査の開始後、47条3項の通知を受ける前に出国の意思を表明した)のいずれかに該当すること。
  • 第2号 24条3号から3号の5まで、4号ハからヨまで、8号または9号のいずれにも該当しないこと。
  • 第3号 本邦に入った後に、一定の罪により拘禁刑に処せられたものでないこと。
  • 第4号 過去に本邦からの退去を強制されたこと、または55条の85第1項の規定による出国命令により出国したことがないこと。
  • 第5号 速やかに本邦から出国することが確実と見込まれること。

出国命令が出されると、主任審査官は速やかな出国を命じ、15日を超えない範囲内で出国期限を定めます(55条の85第1項)。住居や行動範囲の制限などの条件を付すこともできます(同条3項)。退去強制の手続と違い、収容を前提としない点が最も大きな違いです。

第2号で出国命令から外れるのは、どのような場合ですか

オーバーステイそのものは24条4号ロですので、第2号の除外リストには入っていません。外れるのは、不法残留に別の事情が重なった場合です。実務でよく問題になるのは次の三つです。

  • 24条4号チ 薬物関係法令違反による有罪判決です。罰金であっても、執行猶予が付いていても該当します。薬物事件で摘発されると、それだけで出国命令の道は閉ざされます。
  • 24条4号リ 昭和26年11月1日以後に無期または1年を超える拘禁刑に処せられた場合です。ただし、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた方、および一部猶予で実刑部分が1年以下の方は除かれます。実質的には、1年を超える実刑を受けた場合です。
  • 24条3号の4 不法就労助長にあたる行為をした場合です。この号は行為に該当すれば足り、刑事処罰を受けたことを要件としていません。

摘発の端緒が不法残留そのものではなく別の事件である事案は少なくありません。その場合、その事件が第2号の除外事由に直結していないかを最初に確認する必要があります。

第3号に挙げられた罪で拘禁刑になると、出国命令は使えませんか

第3号は、本邦に入った後に、次の罪により拘禁刑に処せられたものでないことを求めています。刑法第2編第12章(住居侵入)、第16章から第19章まで(通貨偽造・文書偽造・有価証券偽造・支払用カード電磁的記録)、第23章(賭博)、第26章(殺人)、第27章(傷害)、第31章(逮捕監禁)、第33章(略取誘拐)、第36章(窃盗強盗)、第37章(詐欺恐喝)、第39章(盗品等)の各罪、暴力行為等処罰法1条・1条ノ2・1条ノ3の罪、盗犯等防止法の罪、特殊開錠用具所持禁止法15条・16条の罪、自動車運転死傷処罰法2条・6条1項の罪、盗難特定金属製物品処分防止法22条の罪です。

読み方の要点は三つあります。第一に、条文は「本邦に入った後に」と限定していますので、来日前の処罰歴は対象ではありません。第二に、条文は「拘禁刑に処せられたもの」と定めていますので、処分が罰金にとどまった場合はこの文言に当たりません。第三に、24条4号リには執行猶予の除外が明文で置かれているのに対し、24条の3第3号には同様の文言がありません。この書きぶりの違いは、執行猶予付きの判決であっても第3号の検討を省略できないことを意味します。

なお、不法残留罪そのもの(70条1項5号。法定刑は3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはこれの併科)は第3号の列挙に含まれていません。ただし1年を超える実刑となれば、24条4号リを通じて第2号で外れます。

過去に強制送還された経験があると、出国命令は使えませんか

第4号により、過去に本邦からの退去を強制されたことがある方、または55条の85第1項の規定による出国命令によって出国したことがある方は、出国命令の対象となりません。一度でもこれらの経験があれば、次は退去強制の手続によることになります。

この点は上陸拒否期間にも直結します。退去強制歴・出国命令歴のない方が退去強制された場合は5条1項9号ハにより退去の日から5年ですが、すでに経験がある方の場合は同項9号ニにより10年となります。第4号は、後から事情を整えて満たせる要件ではありません。過去の一回がその後の選択肢を長く縛るという意味で、最も重い要件です。

「速やかに出国することが確実と見込まれる」とは、どういう意味ですか

第5号は、出国の実現可能性を問うものです。旅券が手元にあるか、再発給の見込みがあるか、航空券や出国の費用を確保できるか、出国までの住居や身元を確認できる方がいるか、帰国後の受け入れ先があるかといった事情が問題になります。逆に、所在が不明になるおそれがあると見られる状況や、出国の準備が何も整っていない状況では、この要件を満たすことは難しくなります。出頭を検討される場合、事前に旅券や渡航の準備を整えておくこと自体が、第5号の充足を裏づける材料になります。

出国命令が使えないと、次に日本へ来られるのはいつになりますか

出国命令が使えない場合は、違反調査(27条以下)から始まり、収容令書(39条)または監理措置決定(44条の2第7項)、違反審査(45条以下)、認定(47条3項)、口頭審理(48条)、法務大臣への異議の申出(49条)を経て、在留特別許可(50条)または退去強制令書の発付(51条)に至る退去強制の手続に進みます。

上陸拒否期間は、どの経路で日本を出るかによって大きく変わります。出国命令による出国は5条1項9号ホで出国の日から1年です。もっとも、24条の3第1号ロに該当する方、つまり違反調査の開始後に出国の意思を表明した方が出国命令で出国し、その後に短期滞在の活動を行おうとする場合は、同項9号ヘにより5年となります。退去強制の場合は9号ハで5年、9号ニで10年です。さらに、24条4号オからヨまでに該当して退去強制された場合は、5条1項10号により期間の定めのない上陸拒否となります。

日本に生活の基盤やご家族がある方にとっては、在留を続ける道があるかどうかが問題になります。その場合は在留特別許可(50条)の検討です。申請は、収容令書により収容された外国人または監理措置決定を受けた外国人が法務大臣に対して行うものとされ(50条2項)、退去強制令書が発付された後は申請できません(50条3項)。また、50条1項ただし書の加重要件は、無期または1年を超える拘禁刑に処せられた場合などにかかるものであり、不法残留(24条4号ロ)のみの事案はその対象ではありません。これは有利な事情です。

摘発される前に、自ら動くことの意味

要件を並べてみると特徴が見えてきます。第2号と第3号は、不法残留が続くなかで別の事件が重なることによって失われる要件です。第4号は、一度失われると取り戻せません。第1号も、違反調査の開始という一点でイからロへ移り、その結果、短期滞在での再入国が1年から5年に変わりえます。出国命令の要件は、時間が経つほど静かに減っていく性質のものです。

運用の面でも同じ方向を向いています。在留特別許可に係るガイドライン(令和6年3月改定、令和6年6月10日施行)は、在留特別許可を退去を強制されるべき外国人に対する例外的・恩恵的な措置と位置づけたうえで、不法滞在を申告するため自ら地方出入国在留管理官署に出頭したことを積極要素として考慮すると明記しています。他方、不法滞在の長期化は消極要素とされます。ただし、自ら出頭することが常に最善とは限りません。ご家族の状況、在留を希望されるのか出国を選ばれるのか、別の事件の有無によって順序は変わりますので、出頭の前に、どの要件が危ういのかを確認しておくことが大切です。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所は、東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階にあり、松村大介弁護士が、中国籍の依頼者を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。接見の初動から公判の結審まで松村弁護士が全工程を直接担当し、事務員や若手弁護士による代行は行いません。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く通訳を利用できます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更等は、提携の行政書士とワンストップで対応します。

解決事例として、観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案があります。婚姻・認知が未了で当局から一旦不受理とされたところ、憲法的な観点から交渉して婚姻・認知を成立させ、公的書類がほとんど存在しない状況でも有利な証拠を集め、過去の許可事例の分析を経て、1回の手続で在留特別許可を獲得しました。

また、冤罪により不法就労助長罪に問われ強制退去の危機に瀕した女性の事案では、退去強制事由に故意・過失が不要とする従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争い、その後、入管から在留特別許可が認められています。不法就労助長は24条3号の4に該当し、出国命令の第2号の除外に直結する類型です。

初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りいたします。まだ摘発されていない段階か、すでに調査が始まっている段階かによって、取るべき手順は大きく変わりますので、状況を整理する段階からご相談ください。

おわりに

摘発されたからといって、出国命令の可能性が直ちに消えるわけではありません。消えるのは、第2号に触れる別の事情が加わったとき、第3号の列挙する罪で拘禁刑に処せられたとき、そして第4号の前歴があるときです。いずれも時間の経過とともに増えていく事情であり、初動の早さがそのまま選択肢の多さにつながります。

なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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