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オーバーステイが5年・10年を超えた場合、何が変わるのか

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オーバーステイが5年・10年を超えた場合、何が変わるのか

オーバーステイが5年・10年を超えた場合、何が変わるのか

2026/08/27

在留期限を過ぎたまま、5年、10年と日本で暮らしてこられた方から、ご相談をいただくことがあります。仕事があり、家族がいて、生活の実体は日本にある。それでも在留資格だけがない。この状態が長くなるほど、自分から動き出すのが怖くなっていく。そのお気持ちは決して不自然なものではありません。ただ、長期化した事案には、長期化した事案なりの整理の仕方があります。この記事では、オーバーステイ(不法残留)が長期に及んだときに、出入国管理及び難民認定法(入管法)の上で何が変わり、何が変わらないのかを整理します。長期化には、不利に働く面と、有利に働きうる面の両方があります。

オーバーステイが10年に及ぶと、罪そのものが重くなるのでしょうか

法定刑は変わりません。入管法70条1項5号は、在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間(20条6項の規定により本邦に在留することができる期間を含む。)を経過して本邦に残留する者を処罰の対象とし、その法定刑は同項の柱書により、3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、又はその併科とされています。滞在が1年でも10年でも、この枠自体は同じです。変わるのは、検察官がどの処分を選ぶか、そして裁判になった場合に、この幅のどのあたりに落ち着くかという点です。

では、長期化は刑事処分にどう影響するのでしょうか

犯情、つまり犯罪そのものの悪質さを測る事情として、重い方向に働きます。不法残留は、在留資格がないまま日本にとどまり続けるという違法な状態を作り出す犯罪ですから、その状態をどれだけ長く継続させたかは、処分の重さを決める中心的な要素になります。長期の滞在に、資格外活動としての就労が伴っていたり、偽造された書類が使われていたりすると、さらに重い方向へ傾きます。もっともこれは傾向であり、実際の処分は、出頭に至った経緯、生活の実体、家族関係、反省や再発防止の状況によって事案ごとに大きな幅があります。具体的な年数や割合を一般論として示すことはできません。

長く日本にいたことが、有利に働く場面はあるのでしょうか

あります。それは在留特別許可の判断の場面です。入管法50条5項は、考慮すべき事情として、在留を希望する理由、家族関係、素行、本邦に入国することとなった経緯、本邦に在留している期間、その間の法的地位、退去強制の理由となった事実、人道上の配慮の必要性を挙げ、これに加えて内外の諸情勢及び本邦における不法滞在者に与える影響その他の事情を考慮すると定めています。長い年月の中で築かれた生活の実体、たとえば婚姻、子の出生と養育、子の就学、安定した住居、納税や社会保険料の納付、地域とのつながりといった事情は、これらの考慮事情を具体的に裏づける材料になり得ます。ここに長期化の二面性があります。

ガイドラインは、長期化を有利に見るのでしょうか、不利に見るのでしょうか

不利な事情、すなわち消極要素として評価されます。令和6年3月に改定され、令和6年6月10日に施行された在留特別許可に係るガイドラインは、在留特別許可を、本邦からの退去を強制されるべき外国人に対して例外的・恩恵的に行われる措置と位置づけたうえで、50条5項の考慮事情ごとに評価の考え方を示しており、不法滞在の長期化は消極要素として評価されるとしています。他方で同じガイドラインは、当該外国人が不法滞在を申告するため自ら地方出入国在留管理官署に出頭したことを積極要素として考慮すると明記しています。したがって、長く住んでいるのだから許可されるはずだ、という発想は成り立ちません。主張すべきは年数そのものではなく、その年月の中身を証拠で具体的に示すことです。

10年経てば、時効のようなものはないのでしょうか

ありません。不法残留は、在留資格がないまま日本に残留している状態が続く限り、犯罪の状態が続いている扱いになります。ある一日の出来事が終わって時間の経過を数え始める類型ではないため、待っていれば処罰されなくなるという発想は成り立ちません。むしろ待つほど、ガイドラインが消極要素とする長期化という事情だけが積み上がっていきます。

長期化した事案でも出国命令は使えますか。次に来日できるのはいつですか

滞在期間の長さそれ自体は、出国命令の要件ではありません。入管法24条の3は、24条2号の4、4号ロ、6号から7号までのいずれかに該当する外国人について、次の5要件をすべて満たすことを求めています。第1に、違反調査の開始前に、速やかに出国する意思をもって自ら出入国在留管理官署に出頭した者(1号イ)であるか、違反調査の開始後、47条3項の通知を受ける前に、入国審査官又は入国警備官に対して速やかに出国する意思がある旨を表明した者(1号ロ)であること。第2に、24条3号から3号の5まで、4号ハからヨまで、8号又は9号のいずれにも該当しないこと。第3に、本邦に入った後に、条文が列挙する一定の罪(住居侵入、通貨・文書・有価証券等の偽造、賭博、殺人、傷害、逮捕監禁、略取誘拐、窃盗強盗、詐欺恐喝、盗品等の罪など)により拘禁刑に処せられたものでないこと。第4に、過去に退去を強制されたこと、又は出国命令により出国したことがないこと。第5に、速やかに出国することが確実と見込まれることです。そして、どの道をたどったかによって、次に日本へ来られる時期は大きく変わります。出国命令により出国した者は出国した日から1年(5条1項9号ホ)。24条の3第1号ロに該当する者が出国命令で出国し、その後に短期滞在の活動を行おうとする場合は5年(9号ヘ)。退去強制となった場合は、それ以前に退去強制歴・出国命令歴がなければ退去の日から5年(9号ハ)、既にあれば10年(9号ニ)。24条4号オからヨまでに該当して退去強制された場合は、5条1項10号により期間の定めがなく、無期限の上陸拒否となります。

長期の不法就労や実刑が重なると、どうなるのでしょうか

評価はさらに厳しくなります。在留資格に基づく活動を行わずに報酬を受ける活動を専ら行っていた場合は70条1項4号の処罰対象となり、退去強制事由としては24条4号イに該当します。偽造在留カードの使用等が加われば違反はさらに重なります。ここで注意が必要なのは、違反が重なることで24条の3第2号や第3号の要件を満たさなくなり、出国命令という選択肢自体が失われることがある点です。さらに、実刑が1年を超えると、50条1項ただし書により、本邦への在留を許可しないことが人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情があると認めるときに限る、という加重要件がかかります。逆に言えば、不法残留(24条4号ロ)だけの事案は、このただし書の対象ではありません。長期化していても変わらない、重要な有利事情です。だからこそ、刑事処分を軽くする活動と在留特別許可を得る活動は、初動から一体で設計する必要があります。

摘発される前に、自ら動くことの意味

長期化した事案ほど、自ら動くかどうかの差は大きくなります。法律上の差は、上に見たとおりです。違反調査の開始前に自ら出頭すれば24条の3第1号イに当たり、出国命令なら上陸拒否期間は1年ですが、調査が始まった後の意思表明(同号ロ)では、その後の短期滞在での来日は5年となります。摘発の結果、他の違反が明らかになって要件を欠けば、出国命令自体が使えず5年または10年です。運用上の差もあります。ガイドラインは自ら出頭したことを積極要素として明記しています。長期化という消極要素を抱えた事案において、自ら申告したという事実は、その消極要素と正面から向き合う数少ない材料です。摘発を待つことは、この材料を自分から手放すことにほかなりません。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。長期化したオーバーステイの事案では、刑事処分の見通しを立てる作業と、50条5項の考慮事情を証拠で埋めていく作業を同時に進める必要があります。当事務所は、この二つを一つの方針の下で設計します。

解決事例を二件ご紹介します。一件目は、観光目的で来日した方が日本人女性との間に子を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻・認知が未了で一旦は不受理とされましたが、憲法的な観点から当局と交渉して婚姻と認知を実現し、国籍国の公的書類がほとんど存在しない中で有利な証拠を集め、過去の許可事例の分析を通じて、1回の手続で在留特別許可を獲得しました。

二件目は、冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。退去強制事由には故意・過失が不要とする従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められています。

体制についてもお伝えします。接見の初動から公判の結審まで、松村弁護士が全工程を直接担当し、事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳をご利用いただけます。刑事手続後の在留資格の更新・変更は、提携の行政書士とワンストップで対応します。初回のご相談は無料で、費用は事案に応じてお見積りいたします。

最後に

5年、10年と時間が経ってしまった事案でも、打てる手が残っていることは少なくありません。ただし、その手の数は時間とともに減っていきます。出国命令という選択肢も、自ら出頭したという積極要素も、摘発された瞬間に形を変えます。まずは、ご自身の事案で何が重なっているのかを正確に把握するところから始めてください。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

お問い合わせ

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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