舟渡国際法律事務所

中国人留学生の刑事事件と資格外活動|週28時間の超過・退学・アルバイト先の摘発

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中国人留学生の刑事事件と資格外活動|週28時間の超過・退学・アルバイト先の摘発

中国人留学生の刑事事件と資格外活動|週28時間の超過・退学・アルバイト先の摘発

2026/09/05

留学生のご相談で最も多いのは、アルバイトの時間が週28時間を超えていたことに気付いた、あるいはアルバイト先に警察が入ったという内容です。学費と生活費を送ってくれている中国のご家族に言えないまま、一人で不安を抱えている方も少なくありません。時間の超過は、直ちに強制送還につながるものではありませんが、放置すれば在留資格の取消しや更新不許可という形で学業そのものを失いかねない問題です。段階ごとに何が起きるのかを整理します。

本記事の要点

  • 資格外活動許可は、原則として1週について28時間以内、学則で定める長期休業期間中は1日8時間以内という条件付きの許可です。
  • 28時間はどの曜日から数えても超えてはならず、複数のアルバイトを掛け持ちしている場合は合算します。
  • 一時的な超過と、専ら稼働している状態と、刑罰を受けた場合とでは、在留への影響がまったく異なります。
  • 退学・除籍になっても在留期限までは形式上残りますが、活動を継続して3か月以上行わなければ在留資格取消しの対象になり得ます。
  • 窃盗(万引き)は執行猶予付きの判決でも退去強制事由(入管法24条4号の2)に該当し得るため、起訴前の対応が決定的です。

週28時間はどのように数えますか

「留学」の在留資格で働くには資格外活動許可が必要です(入管法19条)。包括許可の条件は、1週について28時間以内、在籍する教育機関が学則で定める長期休業期間中は1日について8時間以内とされています。ここでいう1週は、月曜から数えるといった決まりではなく、どの曜日から起算しても28時間以内でなければなりません。週の後半に集中して働き、翌週の前半にも集中させると、起算日次第で超過します。

複数の勤務先で働く場合は合算します。片方が短時間だから大丈夫という理解は誤りです。また、資格外活動許可を受けていても、風俗営業や店舗型性風俗特殊営業に関する業務は許可の対象外であり、時間の長短にかかわらず認められません。給与明細とシフト表は、後に説明を求められたときの唯一の客観資料になりますので、必ず保管してください。

28時間を超えたら、すぐに強制送還されますか

いいえ。超過の程度と態様によって扱いが分かれます。次の整理を目安にしてください。

状態法律上の位置づけ在留への影響
一時的・軽微な超過資格外活動許可の条件違反直ちに退去強制事由ではないが、更新審査で説明を求められる
常態的な超過・学業を行わず就労専ら資格外活動を行っていると評価され得る入管法24条4号イの退去強制事由。在留資格取消しの対象にもなり得る
資格外活動の罪で刑を受けた入管法73条等拘禁刑以上(執行猶予を除く)であれば同法24条4号ヘに該当
許可を受けずに就労無許可の資格外活動上記と同様の評価を受け、更新は極めて困難になる
風俗営業等での就労許可の対象外の業務時間内であっても違反。摘発の対象となる

出入国在留管理庁の統計によれば、令和7年の在留資格取消しは1,446件で、うち「留学」は343件(23・7%)でした。取消しは刑罰ではなく、期間の途中で在留資格を失わせる行政処分です。刑事事件になっていないから安全だとは言えません。

大学を退学・除籍になったら、在留資格はいつまで残りますか

在留期限そのものは形式上残ります。しかし「留学」は学ぶという活動を根拠とする資格ですから、在籍を失った状態が続けば、その資格に応じた活動を継続して3か月以上行っていないとして、在留資格取消しの対象になり得ます(入管法22条の4第1項6号。正当な理由がある場合を除きます)。転校や進学の準備をしているといった事情は、この正当な理由の有無に関わりますので、動き出した記録を残しておくことが重要です。

また、退学・除籍や転校があったときは、所属機関に関する届出を14日以内に行う義務があります(同法19条の16)。取消しの場合、30日を超えない範囲で出国のための期間が指定されることもあれば、指定されずにそのまま退去強制手続へ進むこともあります。刑事事件と重なっているときは、身柄拘束中に期限が過ぎてしまう危険もあるため、早い段階で見通しを確認してください。

アルバイト先が摘発されたとき、留学生本人はどうなりますか

店側は不法就労助長罪(入管法73条の2)で摘発され、働いていた本人も資格外活動として捜査の対象になり得ます。実際、外国人女性が働く店の摘発で、留学生が同時に検挙された事例が報道されています。ここで注意すべきは、店長や店の側が自らの責任を軽くするために、本人が資格や時間について虚偽の説明をしていたと述べる場合があることです。

取調べでは、いつから、どの店で、週にどれだけ働いたかを詳細に問われます。記憶があいまいなまま概括的に認めると、実際より重い事実が調書に残ります。通訳を介した表現の揺れがそのまま供述として固定されることもあります。供述を拒む権利があること(憲法38条1項)を踏まえ、弁護人と相談してから話すのが安全です。不法就労・オーバーステイもご覧ください。

万引きや窃盗で捕まった場合、留学は続けられますか

ここが最も注意を要する場面です。「留学」は別表第一の在留資格であるため、窃盗のように入管法24条4号の2に列挙された罪で拘禁刑に処せられると、執行猶予付きの判決であっても退去強制事由に該当します。金額が小さくても、判決が出れば構造は同じです。

したがって目標は執行猶予ではなく、不起訴処分です。法務省『令和7年版犯罪白書』によれば、令和6年の窃盗の起訴率は来日外国人で52・53%と、全体の44・84%より高くなっています。被害弁償と示談、再発防止の環境、大学との関係の説明を、起訴・不起訴が決まる前に積み上げる必要があります。詳しくは外国人の窃盗・万引き事件をご覧ください。

学校の処分と刑事処分と入管の判断はどう関係しますか

三つは別々の手続です。大学の懲戒(停学・退学)は学則に基づくもので、刑事処分の結論を待たずに進むことがあります。刑事処分は検察官と裁判所が決めます。入管の判断は、在留資格取消しと更新審査という別の枠組みで行われます。不起訴になっても大学が退学処分にすれば在留の基礎が失われますし、大学に残れても有罪判決が出れば退去強制事由の問題が残ります。

当事務所は、起訴前の不起訴処分の獲得を最優先に据えたうえで、大学へ提出する説明資料と入管に提出する資料を、同じ事実関係で整合させて準備します。刑事弁護と入管手続を同じ弁護士が扱うのはそのためです。松村大介弁護士本人が初回接見から一貫して担当し、外国人事件専属の中国語通訳が在籍しています。ご家族が中国におられる場合は微信で直接ご連絡いただけます。ご相談はお問い合わせから。

よくある質問

先月だけ30時間働いてしまいました。自首すべきですか

自ら申告するかどうかは、超過の程度、継続期間、更新の時期によって判断が変わります。まず給与明細とシフト表で実際の時間を確定し、超過が一時的なものであることを説明できる状態にしてから、更新申請の方針とあわせて弁護士と相談してください。

夏休み中なら1日8時間まで働けますか

在籍する教育機関が学則で定める長期休業期間中であれば、1日8時間以内という扱いになります。学校の休業期間と自分の感覚上の休みは一致しないことがあるため、学則上の期間を確認してください。

卒業後も同じアルバイトを続けられますか

卒業すると「留学」の活動の根拠が失われます。就職して在留資格を変更するか、就職活動のための在留を認められるかによって扱いが変わり、資格外活動許可も当然には続きません。卒業前に見通しを立ててください。

逮捕されたことは大学に知られますか

捜査機関が大学へ通知する義務はありません。ただし身柄拘束が続けば欠席が重なり、事実上把握されることは避けにくくなります。大学への説明は、刑事手続の見通しを踏まえて内容と時期を検討します。

不起訴になれば、在留資格に影響は残りませんか

有罪判決が存在しないため、退去強制事由の各号には該当しません。もっとも更新審査では事件の内容が素行の評価として考慮されることがあり、資格外活動の状態が続いていた場合はその点も別途審査されます。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。結論は在籍状況、超過の程度、罪名その他の事情によって変わります。具体的なご事情は弁護士にご相談ください。

本記事は2026年9月時点の情報です。

執筆:松村大介(弁護士・第一東京弁護士会所属/登録番号59077)。舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田3-4-10 布施ビル本館3階)代表。外国人の刑事事件と在留(退去強制・在留特別許可)を主たる注力分野とし、中国語圏の依頼者の事件を数多く取り扱う。外国人事件専属の中国語通訳が在籍し、逮捕直後の接見から在留手続まで弁護士本人が一貫して対応する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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