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中国人の刑事事件で私選弁護人を選ぶ基準|国選との違いと確かめるべき点

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中国人の刑事事件で私選弁護人を選ぶ基準|国選との違いと確かめるべき点

中国人の刑事事件で私選弁護人を選ぶ基準|国選との違いと確かめるべき点

2026/09/05

ご家族が中国から日本の弁護士を探すとき、判断材料はほとんどありません。日本語のウェブサイトを読み解くのも簡単ではなく、どこも似たようなことが書かれているように見えます。それでも、外国人の刑事事件では選び方の差が結果に表れます。刑事手続の先に入管手続が控えており、その両方を見通せているかどうかで方針の立て方が変わるからです。ここでは、国選弁護人との違いと、確かめておきたい点を整理します。

本記事の要点

  • 被疑者国選弁護人が選任されるのは勾留状が発せられた後です。逮捕直後の数日間は、私選弁護人か当番弁護士に頼るほかありません。
  • 中国本土にお住まいのご家族も、配偶者・直系の親族・兄弟姉妹であれば、独立して弁護人を選任できます(刑事訴訟法30条2項)。
  • 外国人の事件で最初に確かめるべきは、入管法24条の号ごとの違いを踏まえた説明ができるかどうかです。
  • 刑事弁護は弁護士の業務であり、弁護士でない者が報酬を得て取り扱うことは禁じられています(弁護士法72条)。
  • 弁護士報酬に統一の基準はありません。着手金と報酬金の区別、成功報酬の条件、実費の範囲を、契約前に書面で確かめてください。

国選弁護人と私選弁護人は、何が違いますか

最も大きな違いは、選任できる時期と、弁護人を選べるかどうかです。被疑者に国選弁護人が選任されるのは勾留状が発せられた後であり(刑事訴訟法37条の2)、資力が基準額に満たないことなどが要件となります。逮捕から勾留が決まるまでの間は、原則として国選の対象外です。

項目国選弁護人私選弁護人
選任できる時期勾留状が発せられた後逮捕の直後から
資力の要件基準額(50万円)に満たないことなど要件なし
弁護人を選べるか選べない選べる
交代法律上限られた事由がある場合に限られる依頼者の判断で変更できる
接見に同行する通訳手配には運用上の制約があり得る事務所側で手配できる
入管手続刑事手続が対象。入管手続は別に依頼する同じ弁護士が続けて担当できる
費用国が負担。有罪判決の際に訴訟費用の負担を命じられることがある(刑事訴訟法181条)依頼者の負担

国選弁護人が力を尽くさないという意味ではありません。ただ、外国人の事件では、通訳を伴う接見の頻度、在留への影響の見通し、入管手続への引き継ぎといった部分が結果を左右します。そこに使える手が多いのが私選弁護人だということです。

逮捕された直後に使えるのは、どの制度ですか

逮捕から勾留が決まるまでは、原則として最長で72時間です。この間に検察官は勾留を請求するかどうかを判断し、裁判官が勾留の可否を決めます。ここで動けるかどうかが、その後の20日間を大きく左右します。

使える手立ては二つです。一つは弁護士会の当番弁護士で、1回に限り無料で接見に来てもらえます。もう一つが私選弁護人の選任です。ここで重要なのが刑事訴訟法30条2項で、被疑者の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、独立して弁護人を選任することができるとされています。つまり、中国本土にお住まいの親御さんや配偶者、ご兄弟が、弁護人選任の手続を進められるということです。ご本人と連絡が取れない状況でも動き出せます。

共犯者がいる事件では接見等禁止決定が付くことも多く、ご家族の面会・手紙・差入れが止まります。立会人なしで本人と会えるのは弁護人だけです(刑事訴訟法39条1項)。

外国人の事件では、どこを見て弁護人を選べばよいですか

刑事の経験だけでは足りません。入管手続まで見通せているかを確かめてください。目安として、次の点を尋ねてみることをお勧めします。

  1. 在留資格が別表第一か別表第二かによって結論が変わることを、説明できるか。入管法24条4号の2は別表第一の在留資格者だけを対象とし、執行猶予付きでも該当します。
  2. 薬物事件は有罪判決を受けたこと自体で同条4号チに該当し、罰金でも執行猶予でも、永住者を含む全ての在留資格が対象になることを踏まえているか。
  3. 目標を執行猶予に置いているか、起訴前の不起訴処分に置いているか。執行猶予でも在留を失う類型があるため、目標の置き方は方針全体を変えます。
  4. 接見に同行できる中国語通訳を、事務所として確保できるか。捜査機関が手配する通訳とは立場が異なります。
  5. 誰が接見に行くのか。担当者が入れ替わると、通訳を介して積み上げた事実関係が引き継がれにくくなります。
  6. 中国本土のご家族と、どの手段で連絡を取るのか。時差と言語の壁があるため、連絡経路は最初に決めておくべき事項です。
  7. 見通しを断定していないか。不起訴になります、強制送還されません、といった断定は、事案の見立てを省いた説明である可能性があります。

刑事と在留の関係については外国人の刑事事件と在留、退去強制の手続については退去強制・在留特別許可・監理措置のページで整理しています。

行政書士やビザの代行業者に、刑事事件を頼めますか

頼めません。弁護士法72条は、弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事件に関して法律事務を取り扱うことを禁じています。刑事弁護、すなわち接見、取調べへの対応の助言、検察官との交渉、公判の弁護は、弁護士の業務です。

入管手続については、出入国在留管理庁長官の承認を受けた行政書士等が申請の取次ぎを行う制度があります。もっとも、刑事事件が背景にある案件では、刑事処分の見通しと在留の帰趨が絡み合うため、両方を同じ視野で扱える体制が必要です。ご相談の窓口を選ぶ際は、扱える業務の範囲を最初に確認してください。

費用は、どう考えればよいですか

弁護士報酬に統一の基準はありません。かつての報酬基準は廃止され、現在は各弁護士が自ら定めています。したがって、金額そのものより、何にいくらかかるのかが明示されているかを確かめることが重要です。弁護士は事件を受任するにあたり、報酬に関する事項を含む委任契約書を作成することとされています(弁護士職務基本規程30条)。

確認しておきたいのは次の点です。第一に、着手金と報酬金の区別です。着手金は結果にかかわらず必要となり、報酬金は一定の結果が得られた場合に発生します。第二に、報酬金が発生する条件です。不起訴処分、保釈の許可、執行猶予判決、在留特別許可のうち、どれが対象なのかを具体的に定めておく必要があります。第三に、実費の範囲です。外国人事件では通訳費用、翻訳費用、記録の謄写費用、遠方の警察署への交通費が生じます。第四に、起訴された場合、控訴した場合、入管手続に移った場合に、あらためて費用が必要かどうかです。

なお、保釈保証金は弁護士報酬ではありません。裁判所に預けるお金であり、条件を守って手続が終われば返還されます。この違いを知らないまま総額を比べると、判断を誤ります。

当事務所はどのように対応しますか

起訴前の不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えています。執行猶予付きの判決でも在留を失う類型があるためで、逮捕直後から示談・被害弁償・環境調整を組み立て、検察官へ意見書を提出します。令和6年の来日外国人の被疑事件では、起訴率が44.28%、起訴猶予率が48.35%でした(法務省「令和7年版犯罪白書」)。起訴前の活動には現実的な意味があります。

刑事弁護と入管手続は同じ弁護士が一貫して担当します。受任時に入管法24条のどの号が問題になるかを特定し、在留特別許可の申請や退去強制手続まで続けて扱うことで、刑事の弁護人と入管の代理人が別々になる情報の断絶を避けます。退去強制事由の判断についても故意・過失の有無を争うべきであるという主張を展開しており、不法就労助長罪が認定された事件で在留特別許可を得た実績もありますが、結果は個別の事情によります。

松村大介弁護士が初回接見から入管手続まで全工程を直接担当し、外国人事件専属の中国語通訳が同席します。中国本国のご家族とは微信(WeChat ID:matsumura1119)で直接やり取りしています。取り扱った事件の類型は外国人事件の解決事例に、ご相談の流れは中国人の刑事事件・在留のご相談にまとめています。中国語での説明は中文页面をご覧ください。

よくある質問

国選弁護人から私選弁護人に変えられますか

できます。私選弁護人を選任すると、国選弁護人は解任されるのが通常の扱いです。時期が遅くなるほど打てる手は減りますので、方針に不安があるときは早めにご相談ください。

中国にいる家族だけで弁護人を頼めますか

配偶者、直系の親族、兄弟姉妹であれば、独立して弁護人を選任できます(刑事訴訟法30条2項)。実務上は、ご家族から事情を伺って受任し、その後の接見でご本人の意思を確認する流れをとることが多くあります。

逮捕された当日に、弁護士は来てくれますか

連絡をいただいた時点の状況によりますが、留置されている警察署名とお名前、生年月日が分かれば、接見の手配を検討します。逮捕から勾留の判断までは最長72時間であり、この間の対応が後の流れを決めます。

結果を約束してくれる弁護士のほうが安心ではありませんか

結果の断定は、事案の見立てを省いた説明である可能性があります。刑事処分の見通しは、証拠関係、被害の有無、示談の成否によって動き、在留の帰趨は在留資格の種類と罪名によって変わります。当事務所は、確からしいことと不確かなことを分けてお伝えする方針をとっています。

費用を分割で払うことはできますか

事案とご事情に応じてご相談に応じています。詳細はお問い合わせからお尋ねください。ご本人が身柄拘束中の場合は、留置先と罪名をあわせてお知らせいただけると、初動の検討が早く進みます。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。弁護人の選び方も費用の考え方も、事案の内容とご事情によって変わります。具体的なご事情は弁護士に直接ご相談ください。

本記事は2026年9月時点の情報です。

執筆:松村大介(弁護士・第一東京弁護士会所属/登録番号59077)。舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田3-4-10 布施ビル本館3階)代表。外国人の刑事事件と在留(退去強制・在留特別許可)を主たる注力分野とし、中国語圏の依頼者の事件を数多く取り扱う。外国人事件専属の中国語通訳が在籍し、逮捕直後の接見から在留手続まで弁護士本人が一貫して対応する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

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