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中国人が日本で逮捕されたら大使館に連絡が行きますか|領事通報と面会の実務

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中国人が日本で逮捕されたら大使館に連絡が行きますか|領事通報と面会の実務

中国人が日本で逮捕されたら大使館に連絡が行きますか|領事通報と面会の実務

2026/09/05

ご家族が日本で逮捕されたとき、中国にいるご家族のもとには、多くの場合、何の連絡も来ません。電話がつながらなくなり、勤務先や友人からの伝聞で逮捕を知り、どこの警察署にいるのかも分からないまま日が過ぎていく。実際にお受けするご相談の多くが、この状態から始まります。日本の当局が中国大使館に自動的に通報してくれるのか、大使館に頼めば会えるのか、そもそも通報されると本国の勤務先や親族に知られるのではないか。本稿では、領事通報の仕組みと、そこでできること、できないことを整理します。

本記事の要点

  • 領事関係に関するウィーン条約36条1項は、拘禁された方が要請したときに、当局が遅滞なく領事機関へ通報することを定めています。通報は原則としてご本人の要請が前提です。
  • 当局は、ご本人に対しこの権利があることを遅滞なく告げなければなりません。告げられているかどうかは、弁護人が確認すべき事項の一つです。
  • 領事官は面会や本国との連絡の仲介はできますが、取調べへの対応、示談、勾留への不服申立て、入管手続の代理といった弁護活動を行うことはできません。
  • 勾留された場合、裁判所は弁護人に通知し、弁護人がいないときはご本人が指定する配偶者・親族等一人に通知します(刑事訴訟法79条)。逮捕の段階にはこの仕組みがありません。
  • ご本人が明示的に反対する場合、領事官はそのために行動することを差し控えることとされています。通報を望まないという意思は尊重されます。

逮捕されると、自動的に中国大使館へ連絡が行きますか

自動的には行きません。領事関係に関するウィーン条約36条1項(b)は、拘禁されている者の要請があるときに、接受国の当局が遅滞なく領事機関へ通報することを定めています。要請が起点になっているという点が重要です。

同時に、同項は、当局がその者に対してこの権利があることを遅滞なく告げなければならないとしています。実務では、逮捕時や勾留質問の前後に告知が行われるのが通例ですが、通訳を介した短い説明の中で告げられるため、ご本人が意味を理解しないまま流れてしまうことがあります。何を告げられたのか、通報を希望する意思を示したのかは、初回の接見で必ず確認すべき事柄です。日本と中国との間には二国間の領事協定も締結されており、この枠組みの下で運用されています。

領事通報を望まない場合は、どうなりますか

通報しない扱いが原則です。条約36条1項は、拘禁されている国民が明示的に反対する場合には、領事官はその者のために行動することを差し控えなければならないとしています。したがって、本国に知られたくないというご本人の意思は、制度上尊重されます。

実際、ご相談の中には、本国の勤務先や親族に知られることを最も恐れておられる方が少なくありません。この点について、日本で受けた刑事処分が中国国内でどのように扱われるかは中国法の問題であり、当事務所は中国法上の助言を行う立場にありません。中国の弁護士にご確認いただくべき事柄です。当事務所が申し上げられるのは、日本の手続の中で、通報を希望するかしないかをご本人が選べるということ、そしてその判断には後述の実際上の利害得失があるということです。

もっとも、通報を断り続けることが常に有利とは限りません。旅券を紛失している方、旅券の有効期間が切れている方が退去強制手続で送還される場面では、渡航証明書の発給等について領事機関の関与が必要になるのが通例です。領事機関との連絡が取れないまま手続が止まれば、その間の収容が長引くこともあります。通報を希望するかどうかは、刑事手続だけでなく、その後の入管手続まで見通して判断すべき事項です。

領事館は、何をしてくれますか

面会と連絡の仲介が中心であり、弁護活動そのものは行いません。条約36条1項(c)は、領事官が拘禁されている自国民を訪問し、面談し、通信し、及びその者のために弁護人をあっせんする権利を有すると定めています。逆に言えば、そこに書かれていないことは領事官の役割ではありません。

場面領事官弁護人
面会訪問し、面談・通信ができる。方法は当局の運用による立会人なしで面会でき、回数・時間の制限も原則としてない(刑事訴訟法39条1項)
取調べへの対応助言する立場にない黙秘権(憲法38条1項)の行使を含め、供述方針を助言する
身柄の解放権限がない勾留への準抗告、勾留取消しの請求、起訴後の保釈請求ができる
被害者との示談行わない示談交渉、被害弁償、贖罪寄付の手配を行う
本国の家族との連絡連絡を仲介できる面会内容を随時ご家族へ共有できる
旅券・渡航証明発給等の手続を行う行えない
入管手続代理できない在留特別許可の申請、監理措置の申立て等の代理ができる

ご家族には、いつ、どのように連絡が来ますか

逮捕の段階では、ご家族に連絡する仕組みがありません。捜査機関に通知義務はなく、ご本人が電話をかけることも原則としてできません。

勾留の段階になると仕組みが変わります。裁判所は勾留した旨を弁護人に通知し、弁護人がいないときは、ご本人が指定する配偶者、直系の親族、兄弟姉妹等のうち一人に通知します(刑事訴訟法79条。被疑者の勾留にも準用されます)。ただし通知は書面で行われるのが通例であり、中国国内のご家族に国際郵便で届くまでには相当の日数を要します。逮捕から起訴・不起訴の判断までは最長で23日ですので、この経路だけに頼っていては手遅れになります。

共犯者がいる事件では、接見等禁止の決定(刑事訴訟法81条)が付されることが少なくありません。この決定があると、弁護人以外の方は面会も手紙のやり取りもできません。中国から来日されても会えないという事態が起こるのはこのためです。決定が付されているかどうかは、弁護人であれば確認できます。

接見等禁止決定が出ていても、領事は面会できますか

事案によって扱いが分かれるため、個別に確認する必要があります。接見等禁止の決定は、弁護人又は弁護人になろうとする者以外の者との面会・書類の授受を禁じるものです。他方、条約36条2項は、同条1項に定める権利は接受国の法令に従って行使されるものとしつつ、当該法令はこの条の目的が完全に実現されるようなものでなければならない旨を定めています。

通訳の問題は、どう考えればよいですか

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見に同席します。捜査機関側の通訳とは別に、ご本人のために動く立場の通訳が入ることの意味は、供述の細部が結論を左右する事件ほど大きくなります。中国人の刑事事件・在留のご相談もあわせてご覧ください。

当事務所はどのように対応しますか

  • 初回接見で、領事通報の告知の有無とご本人の意向を確認します。通報を希望するか否かは、その後の入管手続まで見通したうえでご説明します。
  • 不起訴処分を最優先目標とする弁護方針。執行猶予判決でも在留を失う類型があることを前提に、起訴前の23日間に活動を集中させます。
  • 刑事弁護と入管手続のワンストップ対応。受任時に入管法24条のどの号が問題になるかを特定し、退去強制手続まで同じ弁護士が担当します。
  • 退去強制事由についても故意・過失を争う。制裁的な行政処分に責任主義の射程が及ぶべきであるとの主張を展開しており、係争中の論点です。
  • 松村大介弁護士本人が全工程を直接担当し、外国人事件専属の中国語通訳が在籍します。
  • 微信で中国本国のご家族と直接連絡できます。接見のたびに状況をお伝えし、必要な資料の準備をご案内します。

不法就労助長罪が認定された事件で在留特別許可を得た実績もありますが、結果は個別の事情によります。手続全体の流れは外国人の刑事事件と在留に、よくいただくご質問は外国人刑事・在留Q&Aにまとめています。弁護士の経歴は弁護士紹介をご覧ください。ご相談はお問い合わせから承ります。留置されている警察署名と罪名をお知らせいただければ、接見の手配を検討します。

よくある質問

逮捕されてから、何日で家族に連絡が来ますか

何時間以内に家族へ連絡するという定めはありません。勾留された場合に弁護人又はご本人が指定する親族等一人へ通知される仕組みはありますが(刑事訴訟法79条)、書面で行われるため国外には時間がかかります。最も速く確実な経路は、弁護人を選任することです。

大使館に連絡すれば、釈放してもらえますか

領事官に釈放させる権限はありません。釈放を求める手続は、勾留への準抗告や勾留取消しの請求、起訴後の保釈請求であり、いずれも弁護人が行います。領事官の役割は、面会、連絡の仲介、旅券や渡航証明に関する事務、拘禁の状況についての申入れが中心です。

本国の会社や親族に知られたくありません。通報を断れますか

断ることができます。条約は、ご本人が明示的に反対する場合には領事官がその者のために行動することを差し控えるものとしています。ただし旅券が失効している場合など、その後の手続で領事機関の関与が必要になる場面があることは、あらかじめご承知おきください。

中国から家族が面会に行くことはできますか

できますが、接見等禁止の決定が付されていると、来日されても面会はできません。決定の有無は弁護人が確認できますので、渡航の前にご確認ください。ご家族の来日は、保釈請求や身元引受けの場面では意味を持ちますので、時期と持参すべき資料を相談したうえでお決めいただくのが効率的です。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。運用は事件の内容や拘束されている施設によって異なる場合があります。具体的なご事情は弁護士に直接ご相談ください。

本記事は2026年9月時点の情報です。

執筆:松村大介(弁護士・第一東京弁護士会所属/登録番号59077)。舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田3-4-10 布施ビル本館3階)代表。外国人の刑事事件と在留(退去強制・在留特別許可)を主たる注力分野とし、中国語圏の依頼者の事件を数多く取り扱う。外国人事件専属の中国語通訳が在籍し、逮捕直後の接見から在留手続まで弁護士本人が一貫して対応する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

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