舟渡国際法律事務所

上陸特別許可 拒否期間中でも日本に入国できる場合

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上陸特別許可 拒否期間中でも日本に入国できる場合

上陸特別許可 拒否期間中でも日本に入国できる場合

2026/09/03

日本の入国に関する制度は二層構造になっています。まず、入管法5条1項が上陸を拒否すべき場合を列挙し、その上で、それでもなお上陸を認める余地を12条1項が用意しています。前者だけを読むと道が閉ざされているように見えますが、後者を含めて読むと景色が変わります。

出入国在留管理庁の公表では、令和7年末の在留外国人は412万5,395人で、そのうち中国籍は930,428人と最も多くなっています。日本に家族や生活の基盤を残したまま、いったん日本を離れざるを得なかった方も少なくありません。

以下では、上陸特別許可がどのような場面で問題になるのか、そして日本人の配偶者や子の存在がどう位置づけられるのかを、条文に沿って説明します。

上陸特別許可とは何か

上陸特別許可は、上陸拒否事由に当たる方について、法務大臣が特別に上陸を許可することができるという入管法12条1項の制度です。

上陸の可否は、まず入国審査官の審査で判断され、認定に不服があれば特別審理官の口頭審理、さらに法務大臣への異議の申出という順に進みます。上陸特別許可は、この流れの最後に置かれた例外的な判断です。

退去強制手続の最後に置かれた在留特別許可(入管法50条)と構造が似ていますが、日本の外にいる方が入国の場面で問題にするのが上陸特別許可、日本国内にいる方が退去を免れる場面で問題にするのが在留特別許可という違いがあります。

上陸拒否事由と期間の関係

上陸拒否事由の中には、年限が付いているものと、付いていないものがあります。

退去強制を受けた方については入管法5条1項9号が定めており、イが1年、ロが5年、ハが10年です。ハは、過去に退去強制されたことがある方が再び退去強制された場合を指します。出国命令によって出国した方は同項9号の2により1年です。また同項4号は、1年以上の拘禁刑に処せられた方を対象としています(政治犯罪は除かれます)。

これに対し、薬物に関する同項5号には年限がありません。日本の罰金刑でも、外国の法令に違反した場合でも足ります。年限がない以上、期間の経過を待つという解決はなく、再入国は12条1項の上陸特別許可によることになります。

期間の短縮決定との違い

上陸拒否期間については、一定の場合に期間を短縮する決定がされる仕組みもあり、これは上陸特別許可とは別のものです。

短縮の決定は、期間そのものを見直す判断です。出入国在留管理庁の令和7年の公表では、上陸拒否期間の短縮決定は340件でした。これに対して上陸特別許可は、期間が残っている状態で、その回の上陸を認めるかどうかを判断するものです。どちらを目指すのかによって、準備する資料も申立ての時期も変わります。

刑事処分は在留資格にどう跳ね返るのか

刑事事件の結末は、刑の重さそのものよりも、入管法24条のどの号に当てはまるかという形で在留資格に跳ね返り、それが後の上陸の場面まで影響します。

24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を挙げますが、但書があり、刑の全部の執行を猶予された場合は除かれます。一部猶予でも実刑部分が1年以下であれば同様です。

これに対し24条4号チは、麻薬・大麻・あへん・覚醒剤等に関する法令違反で有罪の判決を受けた者を対象とし、罰金でも執行猶予付きでも刑の免除でも該当します。4号リの柱書が、ニからチまでに掲げる者のほか、となっているため、薬物事犯は4号リの外にあります。また24条4号の2は、別表第一の在留資格で在留する方が、強盗、不同意性交等、危険運転致死傷(自動車運転死傷処罰法2条・6条1項)等で拘禁刑に処せられた場合を対象とします。

日本人配偶者や子の存在はどう働くか

家族関係は、上陸特別許可を求める場面で中心的な事情の一つになります。

入管法50条5項が在留特別許可の考慮要素として、在留を希望する理由、家族関係、素行、本邦に在留することとなった経緯、在留期間その他を挙げていることは、家族関係が制度上重く扱われていることの表れです。上陸特別許可の場面でも、日本人の配偶者や子との同居の実態、扶養の状況、生活の基盤が日本にあることは、判断の資料になります。

もっとも、婚姻や親子関係があれば足りるというものではありません。関係の実態、退去強制に至った経緯、その後の生活状況が、資料に基づいて示されている必要があります。

よくある誤解

  • 一度退去強制されたら二度と入国できない、という理解。年限のある事由では期間の経過後に、また期間中でも12条1項の判断の余地があります。
  • 短縮の決定と上陸特別許可は同じだ、という理解。前者は期間の見直し、後者は個別の上陸の可否です。
  • 日本人の配偶者がいれば当然に認められる、という理解。制度上、家族関係は重要な事情の一つであって、それだけで結論が決まるものではありません。

ご本人とご家族が取れる行動

日本にいる段階で刑事事件が並行しているときは、弁護人を選任し、接見を通じて事実関係を確認することが出発点です(刑事訴訟法39条1項)。

取調べでは同法198条2項により黙秘権が告知され、同条4項が供述調書の読み聞けと増減変更の申立てを定めています。刑事手続で作成された供述調書は、その後の違反審査や口頭審理の資料となり、退去強制の理由として記録に残ります。その記録は、将来の上陸特別許可の判断でも参照されます。通訳を介した内容が自分の述べたことと違うと感じたときは、その場で訂正を求めてください。通訳・翻訳は同法175条・178条、一定の事件の録音録画は同法301条の2によります。

当事務所の対応

当事務所では、松村大介弁護士が接見と打合せに直接対応します。中国語については、外国人事件専属の通訳が常駐しています。

弁護方針としては、執行猶予判決ではなお不十分であると考え、不起訴処分を得ることを最優先の目標に置いています。刑事事件と入管手続は一体として設計し、退去強制事由の該当性についても故意や過失を争う視点で検討します。初回のご相談は無料です。

おわりに

入国の可否は、拒否事由の有無だけで決まるのではなく、その先に置かれた例外的な判断まで含めて組み立てられています。将来の再来日を考えるのであれば、日本を離れる前の刑事手続と入管手続で何が記録に残るかを含めて考えることになります。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事の簡体字中国語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099367/

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