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上陸拒否期間の短縮という制度 令和7年に340件の決定

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上陸拒否期間の短縮という制度 令和7年に340件の決定

上陸拒否期間の短縮という制度 令和7年に340件の決定

2026/09/03

340件。これは、出入国在留管理庁が公表した令和7年の上陸拒否期間の短縮決定の件数です。数としては多くありませんが、この制度の存在自体があまり知られていないため、そもそも検討されないまま期間の経過を待っている方がおられます。

一度日本を離れた後、家族が日本にいる、勤め先が待っている、学業が途中である。そうした事情があっても、上陸拒否期間中は原則として日本に入れません。ただし、期間そのものを短くする決定と、期間中でも入国を認める許可という、性質の異なる二つの道が制度上は存在します。

以下では、ベトナム語を母語とする方に向けて、上陸拒否期間の枠組みと、短縮という決定の位置づけを、入管法の条文に沿って説明します。

上陸拒否期間とは何か

上陸拒否期間は、入管法5条1項が定める上陸拒否事由のうち、退去強制歴や出国命令による出国を理由とするものに付けられた年限です。

退去強制を受けた方については同項9号が定めており、イが1年、ロが5年、ハが10年です。ハは、過去に退去強制されたことがある方が再び退去強制された場合を指します。出国命令によって出国した方は同項9号の2により1年とされています。

これとは別に、同項4号は1年以上の拘禁刑に処せられた方を対象としており(政治犯罪は除かれます)、同項5号は薬物に関する事由を定めています。5号には年限がなく、日本の罰金刑でも外国の法令違反でも足ります。

短縮という決定の仕組み

上陸拒否期間には、一定の場合にその期間を短縮する決定がされる仕組みが設けられています。

これは、期間そのものを見直す決定であり、期間が残っているまま個別に入国を認める入管法12条1項の上陸特別許可とは性質が異なります。上陸特別許可は上陸審査の場面で、法務大臣の裁決の特例として与えられるものです。両者は目的も判断の場面も違うため、どちらを目指すのかを最初に整理しておく必要があります。

短縮の判断では、退去強制に至った経緯、出国後の事情、日本との結び付き、そして本人の素行といった事情が考慮されます。実務上は、退去強制の原因となった事実が何であったか、その事実が刑事処分を伴うものであったかどうかが、出発点として重く働きます。

令和7年の運用

出入国在留管理庁の令和7年の公表によれば、上陸拒否期間の短縮決定は340件でした。

同じ年の在留特別許可は、申請2,424件、許可1,026件、不許可1,233件、終止119件です。日本を離れる前に在留特別許可を得られるかどうかが、そもそも上陸拒否期間の問題に進むかどうかを決めるという関係にあります。

刑事処分は在留資格にどう跳ね返るのか

刑事事件の結末は、刑の重さそのものよりも、入管法24条のどの号に当てはまるかという形で在留資格に跳ね返り、それが上陸拒否の場面にも引き継がれます。

24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を挙げますが、但書があり、刑の全部の執行を猶予された場合は除かれます。一部猶予でも実刑部分が1年以下であれば同様です。

これに対し24条4号チは、麻薬・大麻・あへん・覚醒剤等に関する法令違反で有罪の判決を受けた者を対象とし、罰金でも執行猶予付きでも刑の免除でも該当します。4号リの柱書が、ニからチまでに掲げる者のほか、となっているため、薬物事犯は4号リの外にあります。また24条4号の2は、別表第一の在留資格で在留する方が、強盗、不同意性交等、危険運転致死傷(自動車運転死傷処罰法2条・6条1項)等で拘禁刑に処せられた場合を対象とします。

薬物事犯では期間の短縮という発想が働かない

入管法5条1項5号には期間の定めがないため、そもそも短縮すべき期間が存在しません。

この場合、再入国の道は入管法12条1項の上陸特別許可に限られます。期間の経過を待つ、あるいは期間を短くしてもらうという解決が制度上ないという点で、ほかの上陸拒否事由とは構造が違います。

なお大麻については、令和6年12月12日施行の改正により、大麻取締法が大麻草の栽培の規制に関する法律へ改称され、大麻は麻薬及び向精神薬取締法上の麻薬となりました。使用罪が新設され、単純所持の法定刑も引き上げられています。

日本を離れる前に検討すべきこと

上陸拒否期間の話に入る前に、そもそも出国しないで済む道が残っていないかを確認する必要があります。

入管法50条は在留特別許可を定め、2項により、収容令書で収容されている方と監理措置決定を受けた方に申請権があります。3項により退去強制令書の発付後は申請できません。5項は、在留を希望する理由、家族関係、素行、本邦に在留することとなった経緯、在留期間その他を考慮要素として法定し、不許可の場合は10項により理由を付記した書面が交付されます。運用の基準は2024年6月改定のガイドラインです。

よくある誤解

  • 短縮の決定と上陸特別許可は同じものだ、という理解。前者は期間を見直す決定、後者は期間中の個別の入国を認めるもので、判断の場面が違います。
  • 時間が経てば自動的に短くなる、という理解。短縮は決定によるものです。
  • 薬物事犯でも何年か待てばよい、という理解。5条1項5号には年限がありません。

ご本人とご家族が取れる行動

刑事事件が並行しているときの出発点は、弁護人を選任し、接見を通じて事実関係を確認することです(刑事訴訟法39条1項)。

取調べでは同法198条2項により黙秘権が告知され、同条4項が供述調書の読み聞けと増減変更の申立てを定めています。刑事手続で作成された供述調書は、その後の違反審査や口頭審理の資料になり、退去強制の理由として記録に残ります。その記録は、将来の短縮の判断や上陸特別許可の判断の場面でも参照される資料になります。通訳を介した内容が自分の述べたことと違うと感じたときは、その場で訂正を求めてください。通訳・翻訳は同法175条・178条、一定の事件の録音録画は同法301条の2によります。

当事務所の対応

当事務所では、松村大介弁護士が接見と打合せに直接対応します。通訳体制については、中国語は外国人事件専属の通訳が常駐しており、ベトナム語を含むその他の言語は事案に応じて通訳人を手配します。

弁護方針としては、執行猶予判決ではなお不十分であると考え、不起訴処分を得ることを最優先の目標に置いています。刑事事件と入管手続は一体として設計し、退去強制事由の該当性についても故意や過失を争う視点で検討します。初回のご相談は無料です。

結び

340件という数字は、道が開かれていることも、その道が広くはないことも同時に示しています。将来の再来日を視野に入れるなら、日本を離れる前の手続で何がどう記録されるかまで含めて考えることになります。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事のベトナム語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099365/

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