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万引きで逮捕された外国人 起訴率52.53%という現実と示談の意味

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万引きで逮捕された外国人 起訴率52.53%という現実と示談の意味

万引きで逮捕された外国人 起訴率52.53%という現実と示談の意味

2026/09/02

スーパーやドラッグストアで商品を持ち出したとして警察に呼ばれた。金額は数千円で、店にはその場で謝った。これくらいなら注意で終わるはずだと考えて、そのまま数日が過ぎる。ご相談としては、ここから始まることが最も多いです。

しかし、統計を見る限り、外国人の窃盗事件が軽く扱われているという事実はありません。むしろ逆の傾向が出ています。この記事では、その数字を確認したうえで、示談が実際にどのような意味を持つのか、そして罰金や実刑が在留資格にどう跳ね返るのかを、条文に即して説明します。

来日外国人の窃盗は、起訴率が全体より高い

数字から始めます。令和7年版犯罪白書によれば、令和6年における来日外国人被疑事件の起訴率は44.28%で、全体の40.38%を上回っています。罪名別に見ると、窃盗は来日外国人が52.53%、全体が44.84%です。詐欺は53.35%と51.42%、文書偽造は59.18%と33.72%でした。分母は、過失運転致死傷等及び道路交通法違反を除く終局処理人員18,696人です。

ここでいう来日外国人とは、永住者、永住者の配偶者等、特別永住者、在日米軍関係者、在留資格が不明な者を除いた定義です。つまり、就労や留学の在留資格で来日しておられる方が中心になります。

この数字を、外国人だから厳しく扱われていると単純に読むべきではありません。ただ、軽微に見える窃盗であっても起訴される可能性が相当程度あるという前提で動く必要がある、ということは確実に言えます。

なぜ起訴されやすいのか 背景にある実務上の事情

起訴・不起訴の判断では、事案の内容とともに、被害の回復がされているか、再犯のおそれがどう評価されるか、身元を引き受ける人がいるかといった事情が考慮されます。

来日して間もない方の場合、日本国内に身元を引き受ける親族がいない、住居が勤務先の寮であって退職すれば住む場所を失う、といった事情が重なることがあります。また、言葉の壁のために被害店舗との示談交渉が進まないまま時間が過ぎ、身柄が続いている間に処分が決まってしまうこともあります。手続の設計が遅れることが、そのまま結果に出やすい類型なのです。

示談は、被害弁償だけの問題ではない

示談は、被害を金銭的に回復するだけの手続ではありません。被害者が処罰を求めない意思を示すこと、再発防止のための約束をすること、当事者間で紛争が終了したことを書面で確認すること、これらを含めた総体です。

窃盗は親告罪ではありませんので、示談が成立すれば当然に不起訴になるというものではありません。この点を保証することはできません。しかし、被害が回復され、被害者の処罰意思が和らいでいる事実は、検察官の判断において重く扱われる要素です。だからこそ、身柄が続いている段階から、弁護人を通じて速やかに交渉に入る必要があります。

刑事処分が在留資格にどう跳ね返るか

窃盗事件の在留への影響は、量刑によって段階的に変わります。

刑事処分入管法上の帰結
不起訴退去強制事由に該当しない。更新審査で説明を要する場合はある
罰金24条4号リには該当しない。在留期間の更新・変更の審査で素行が考慮される
1年を超える拘禁刑で全部執行猶予24条4号リの但書により除外される
1年を超える拘禁刑の実刑24条4号リの退去強制事由に該当する

入管法24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としつつ、但書で全部執行猶予が付された場合を除外しています。一部猶予の場合も、実刑部分が1年以下であれば同様です。なお、別表第一の在留資格をもって在留する方について定める24条4号の2は、強盗、不同意性交等、危険運転致死傷、盗難特定金属製物品の処分の防止に関する法律22条等の罪を掲げており、通常の窃盗はここに挙げられていません。

他方で、退去強制事由に該当しないことと、在留が安泰であることは違います。在留期間の更新や在留資格の変更の審査では素行が考慮されますので、罰金であっても影響します。帰化を検討される方については、国籍法5条1項3号が素行が善良であることを条件としています。

当事者とご家族が取れる行動

  • 取調べでは、記憶にないことを認めない。刑事訴訟法198条2項は、自己の意思に反して供述する必要がない旨の告知を定めている
  • 調書に署名する前に、事実と違う部分について増減変更を申し立てる。同条4項が定めている
  • 刑事訴訟法39条1項の接見交通権に基づき、早い段階で弁護人と打ち合わせる
  • 通訳の訳出に疑問があればその場で確認する。同法175条・178条が通訳と翻訳を定め、裁判所法74条は裁判所で日本語を用いる旨を定めている
  • ご家族は、身元引受書、住居と就労の継続を示す資料、生活状況の資料を早めに準備する

領事関係に関するウィーン条約36条は、逮捕・勾留された外国人について、本国の領事機関への通報と領事による接見を定めています。希望される場合は、その旨を明確に伝えてください。

よくある誤解

第一に、金額が小さいから起訴されないという理解です。統計の示すところはむしろ逆で、窃盗の起訴率は全体より高い水準にあります。第二に、店に謝ったから示談が成立したという理解です。口頭の謝罪と、書面による示談は別物です。第三に、罰金なら在留に影響しないという理解です。退去強制事由には当たらなくても、更新審査で素行が考慮されます。第四に、初犯だから執行猶予になるので大丈夫という理解です。執行猶予判決を得ることと不起訴を得ることでは、その後の在留の見通しが大きく異なります。

当事務所の対応

舟渡国際法律事務所では、松村大介弁護士が接見と打合せに直接対応します。中国語については外国人事件専属の通訳が常駐しており、ベトナム語を含むその他の言語は事案に応じて通訳人を手配します。

弁護方針として、執行猶予判決ではなお不十分と考え、不起訴処分を最優先の目標に据えます。窃盗の事案では被害弁償と示談の成否が判断を大きく左右しますので、身柄が続いている早い段階から交渉に着手します。刑事の供述調書は違反審査や口頭審理の資料になりますので、刑事事件と入管手続は一体として設計します。初回相談は無料です。微信(WeChat)ID matsumura1119 からもご連絡いただけます。

おわりに

数千円の商品が、在留資格の議論にまでつながることがある。これは大げさな話ではなく、統計と条文から素直に導かれる帰結です。早い段階で手続の見通しを立てておけば、選べる道はまだ広く残っています。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事のベトナム語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099131/

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