舟渡国際法律事務所

永住者が在留資格を失うのはどんな場面か 取消しと退去強制手続

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永住者が在留資格を失うのはどんな場面か 取消しと退去強制手続

永住者が在留資格を失うのはどんな場面か 取消しと退去強制手続

2026/09/02

永住許可を得るまでには、長い年月と、途切れのない在留の実績が必要です。だからこそ、永住者の方はご自身の在留資格を安定したものと考えます。実際、多くの場面でそれは正しい理解です。

もっとも、永住は無条件の地位ではありません。永住者であっても在留資格が取り消されることはありますし、退去強制事由に該当すれば手続の対象になります。他方で、永住者だからこそ適用されない規定もあり、そこを知っているかどうかで見通しは変わります。本記事では、永住者が在留資格を失う具体的な場面を、条文に即して整理します。

警察庁の令和7年の統計では、永住者の総検挙人員は3,175人で、国籍別では中国1,015人、ブラジル469人、フィリピン412人、韓国367人、ペルー196人でした。永住者が刑事手続の当事者になる場面は、決して珍しいものではありません。

永住者は別表第二 まずここを確認する

永住者の在留資格は別表第二に掲げられています。この点はまず有利に働きます。入管法24条4号の2は、強盗、不同意性交等、危険運転致死傷等の一定の重大犯罪で拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますが、その対象は別表第一の在留資格をもって在留する者に限られています。永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者はいずれも別表第二ですから、この規定の適用を受けません。留学や技術・人文知識・国際業務の方とは、この一点で立場が異なります。

永住者に適用される退去強制事由

では何が適用されるのか。中心は二つです。第1に、入管法24条4号リは、無期または1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますが、但書があり、全部執行猶予が付された場合は除外されます。一部猶予の場合も、実刑部分が1年以下であれば除外されます。つまり、この規定で問題になるのは1年を超える実刑です。第2に、同条4号チは、麻薬・大麻・あへん・覚醒剤等に関する法令違反で有罪の判決を受けた者を対象とします。こちらは罰金でも、執行猶予でも、刑の免除でも該当し、在留資格の別表を問いません。同条4号リの柱書がニからチまでに掲げる者のほかと定めていることからも分かるとおり、薬物事犯は4号リの守備範囲の外側にあり、刑の重さによる絞りがかかりません。永住者にとって最も重い意味を持つのは、実はこの規定です。

在留資格の取消し(入管法22条の4)

入管法22条の4は在留資格の取消しを定めています。典型として挙げられる、正当な理由なく3か月以上その在留資格に応じた活動を行わないで在留しているという事由は、活動を前提とする在留資格を念頭に置いたものです。永住者は活動に制限のない在留資格ですから、この類型が直ちに問題になる場面は限られます。他方で、虚偽の申請によって在留資格を取得した場合や、住居地の届出義務に90日以上違反した場合の取消しは、永住者にも関わり得ます。永住許可の申請時に提出した書類の内容が後に問題とされる場面がある、ということです。

退去強制手続への移行と在留特別許可

退去強制事由に該当すると判断されると、手続は違反調査、違反審査、口頭審理、異議の申出という順で進みます。この流れの中で在留特別許可が検討されます。入管法50条2項は、収容令書により収容されている者と監理措置決定を受けた者に申請権を認め、同条3項は退去強制令書の発付後の申請を認めていません。考慮要素は同条5項に法定されており、在留を希望する理由、家族関係、素行、本邦に在留することとなった経緯、在留期間などが挙げられます。不許可の場合には同条10項により理由を付記した書面が交付されます。運用の基準は2024年6月に改定されたガイドラインです。永住者の場合、在留歴の長さ、日本で形成された家族関係、生活の基盤は、いずれも同条5項の考慮要素に正面から乗る事情です。出入国在留管理庁の令和7年の統計では、在留特別許可は申請2,424件に対し許可1,026件でした。

一度出国すると戻れないことがある

見落とされがちなのが上陸拒否の問題です。入管法5条1項5号は薬物関係の法令違反に基づく上陸拒否を定めていますが、この事由には年限がありません。罰金でも、外国の法令違反でも足ります。期間の経過によって自動的に解消されることがないという点で、他の事由とは性質が違います。再び入国するには同法12条1項の上陸特別許可によるほかありません。また同条1項9号は、過去に退去強制された者について、イが1年、ロが5年、ハが10年の上陸拒否期間を定めています。永住者として長く暮らしてきた方が、一度日本を離れた後に戻れなくなるという事態は、この規定から生じます。

よくある誤解

第1に、永住者は何があっても退去強制されないという理解です。4号リと4号チは永住者にも適用されます。第2に、罰金なら在留に影響しないという理解です。薬物事犯では罰金でも4号チに該当します。第3に、執行猶予が付けば安心という理解です。4号リについてはそのとおりですが、4号チには当てはまりません。同じ執行猶予判決でも、罪名によって結論が分かれます。

当事務所の対応

当事務所では、松村大介弁護士が接見と打合せに直接対応します。中国語については外国人事件専属の通訳が常駐しており、ポルトガル語その他の言語については事案に応じて通訳人を手配します。永住者の事案では、執行猶予判決を得れば足りるとは考えず、不起訴処分の獲得を最優先の目標としています。とりわけ薬物事犯では、刑の種類にかかわらず有罪判決そのものが退去強制事由に直結しますから、起訴前の段階での活動が決定的な意味を持ちます。刑事の供述調書は違反審査や口頭審理の資料になりますので、刑事弁護と入管手続を一体として設計し、退去強制事由の該当性についても故意や過失を含めて争う視点を持ちます。初回のご相談は無料です。微信(WeChat)ID matsumura1119 でもご連絡いただけます。

おわりに

永住者の事案では、失うものの大きさに比べて、判断の時間があまりに短いという特徴があります。だからこそ、最初の段階で全体像を持つことに意味があります。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事のポルトガル語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099109/

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