留置場所が分からない 本人がどこにいるかを確かめる方法
2026/09/02
逮捕の一報は入ったのに、肝心の場所が分からない。警察署に電話をしても、氏名を伝えただけでは在監の有無すら答えてもらえないことがあります。これはご家族の説明の仕方が悪いからではなく、捜査上の必要と本人のプライバシーの双方が理由になっています。
ここでは、留置場所を特定するために実際に有効な手順と、警察の留置施設、拘置所、入管の収容施設という三つの場所の違い、そして場所の特定が在留資格の帰趨にまで関わってくる理由を説明します。
まず確認すべきは、どの機関の手続に乗っているのか
本人の所在を探す前に確かめるべきなのは、刑事手続と入管手続のどちらに乗っているのかという点です。同じ身体拘束でも、警察や検察による逮捕・勾留と、入管による収容とでは、根拠法も、面会のルールも、次に起きることもまったく異なります。
刑事手続であれば、身柄はまず警察署の留置施設に置かれ、起訴後に拘置所へ移されることがあります。入管手続であれば、収容令書または退去強制令書に基づき、地方出入国在留管理局の収容場や入国者収容所に収容されます。入管法50条2項は、収容令書により収容されている者や監理措置決定を受けた者に在留特別許可の申請権があることを定めており、どちらの手続にいるかで取り得る手段そのものが変わります。
留置場所を特定する具体的な手順
留置場所の特定は、家族からの一件の電話ではなく、複数の経路を並行させることで進みます。
- 事件が起きたと思われる場所を管轄する警察署へ、生年月日と国籍を添えて照会する
- 勤務先、監理団体、学校、寮の管理人など、本人と最後に連絡が取れた関係者に確認する
- 弁護士に依頼し、弁護人となろうとする者の立場で警察署や検察庁へ確認してもらう
- 入管手続の可能性がある場合は、地方出入国在留管理局への確認も並行する
- 本国の大使館や領事館を通じ、領事関係に関するウィーン条約36条に基づく領事接見の可否を確認する
弁護士が照会する場合、単に所在を尋ねるだけでなく、罪名、逮捕の日時、送致の予定を併せて確認できるため、その後の時間割を組み立てやすくなります。刑事訴訟法39条1項は、弁護人または弁護人となろうとする者が立会人なく接見できることを定めており、この接見が家族にとって最初の正確な情報源になります。
面会と差入れは場所によってルールが変わる
面会の可否と方法は、身柄が置かれている場所によって変わります。警察署の留置施設では、平日の限られた時間帯に、短時間の一般面会が認められるのが通常ですが、接見等禁止の決定が付いていると、弁護人以外は面会も手紙のやり取りもできません。
入管の収容施設では、面会の受付時間や差入れの取扱いが施設ごとの運用に従います。いずれの場所でも、弁護人の接見だけは制度上別枠で扱われます。ご家族が会えない期間が続く場合でも、弁護人を通じて本人の様子と意向を確認する経路は残されています。
所在の特定が在留資格の問題に直結する理由
所在の特定が急がれるのは、刑事手続の進行と在留資格の期限が並行して走っているからです。勾留が続いている間にも在留期間は経過し、更新の申請ができないまま期限を過ぎれば、入管法24条4号ロの不法残留の問題が生じます。
また入管法22条の4は在留資格の取消しを定めており、3か月以上、その在留資格に応じた活動を行わないで在留していること、正当な理由がある場合を除く、という類型が典型です。出入国在留管理庁の令和7年の統計では、在留資格の取消しは1,446件で、在留資格別では技能実習973件、留学343件と、活動の中断が問題になりやすい資格に集中しています。身体拘束によって就労や就学が止まっている状況は、この観点からも早期に把握しておく必要があります。
刑事処分そのものの影響も見落とせません。入管法24条4号リは無期または1年を超える拘禁刑を退去強制事由としますが、但書により全部執行猶予が付された場合は除外されます。他方、同条4号チの薬物犯罪は、罰金でも執行猶予でも有罪判決であれば該当し、入管法5条1項5号により期間の定めのない上陸拒否となります。どの条文の射程に入るのかを、罪名が分かった時点で見立てておくことが重要です。
この段階でよくある誤解
第一の誤解は、家族が警察に強く求めれば教えてもらえるはずだ、というものです。実際には、照会の仕方よりも、誰がどの立場で照会するかが結果を左右します。
第二の誤解は、連絡が取れないのは重い事件だからに違いない、というものです。接見等禁止は事件の性質や共犯の有無に応じて付されるもので、刑の重さを直接示すものではありません。第三の誤解は、刑事事件が終われば自動的に元の生活に戻れる、というものです。刑事の終局と入管手続の開始は連続しており、身柄が警察から入管へ引き継がれることもあります。
当事務所の対応
当事務所では、松村大介弁護士が留置先の確認から接見までを直接行います。中国語については外国人事件専属の通訳が常駐しており、その他の言語については事案に応じて通訳人を手配します。
所在が判明した後は、罪名と身柄の見通しを整理したうえで、不起訴処分の獲得を最優先の目標として弁護方針を立てます。刑事の供述調書が入管の違反審査や口頭審理の資料になることを踏まえ、刑事事件と入管手続を一体として設計します。退去強制事由に該当するかどうかについても、故意や過失の有無を含めて争う視点を持ちます。初回相談は無料で、微信IDはmatsumura1119です。
おわりに
本人がどこにいるかが分かるだけで、家族は次の一手を選べるようになります。逆に言えば、所在が分からない時間は、弁護方針を立てられない時間でもあります。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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この記事のベトナム語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099003/
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