舟渡国際法律事務所

「不起訴になれば同じ」という誤解|嫌疑なし・嫌疑不十分・起訴猶予の違いと、入管審査での意味

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「不起訴になれば同じ」という誤解|嫌疑なし・嫌疑不十分・起訴猶予の違いと、入管審査での意味

「不起訴になれば同じ」という誤解|嫌疑なし・嫌疑不十分・起訴猶予の違いと、入管審査での意味

2026/07/20

不起訴処分を得られたと聞けば、多くの方は「これで終わった」と受け止められます。刑事手続としては、確かにそのとおりでございます。しかし、外国人の方にとっては、その先に在留資格の審査が控えております。そして入管の審査においては、同じ不起訴でも、その理由によって意味が異なってまいります。この違いは、実務では極めて重要でありながら、ほとんど説明されることがございません。

不起訴には、大きく三つの種類がある

不起訴処分は、事件事務規程が定める処分理由によって区別されます。第一に、嫌疑なし。犯人でないことが明らかである、あるいは犯罪の成立を認定する証拠がない場合でございます。第二に、嫌疑不十分。犯罪の成立を認定するに足りる証拠が不十分である場合でございます。第三に、起訴猶予。犯罪の成立は認められるものの、犯人の性格・年齢・境遇、犯罪の軽重・情状、犯罪後の状況を考慮して、訴追を必要としないと判断された場合でございます(刑事訴訟法248条)。いずれも起訴されない点では同じでございますが、前提とする事実の評価は全く異なります。

入管審査では、この違いが効いてくる

在留期間の更新・変更の審査においては、素行が善良であることが求められます(入管法21条3項、在留資格の変更・在留期間の更新のガイドライン)。ここで入管は、刑事処分の結果だけでなく、その内容にも目を向けます。起訴猶予は、犯罪の成立自体は認められたうえで訴追を差し控えたという構造でございますから、素行の評価において考慮され得る余地が残ります。他方、嫌疑なし・嫌疑不十分は、犯罪の成立が認定されていないことを意味します。したがって、同じ不起訴を目指すにしても、可能であれば嫌疑不十分以上を目指すことに、在留の観点からの実益がございます。

もっとも、起訴猶予に価値がないわけではない

誤解のないように申し添えますと、起訴猶予も極めて重要な成果でございます。起訴猶予であれば前科は付かず、入管法24条4号リの退去強制事由にも該当いたしません。実務上、証拠関係から嫌疑不十分が現実的でない事案は数多くございますし、その場合に示談や被害弁償を尽くして起訴猶予を得ることは、在留を守るうえで決定的な意味を持ちます。申し上げたいのは、「不起訴ならどれでも同じ」という前提で弁護方針を立てるべきではない、ということでございます。

弁護方針にどう反映するか

事案の証拠構造を早い段階で見極め、犯罪の成立自体を争う余地があるのであれば、そこを正面から争う。争う余地が乏しいのであれば、情状面の資料を尽くして起訴猶予を確実にする。この見極めを、刑事処分の軽重だけでなく、その後の在留審査への影響まで見通して行うことが必要でございます。不起訴の理由は、検察庁に対する処分理由の告知請求によって確認できる場合がございますので、入管手続を見据えて記録を残しておくことにも意味がございます。

当事務所のご案内と解決事例

当事務所は、不起訴処分の獲得を弁護活動の最優先目標に据えたうえで、その先の在留審査までを一続きのものとして設計してまいりました。

たとえば、特殊詐欺の受け子として複数回にわたり再逮捕された事案において、取調べへの対応を徹底し、不当な取調べには抗議しつつ主張と立証を尽くした結果、全ての事件について不起訴処分を獲得した事例がございます。再逮捕が重なる局面では、事件ごとに証拠構造が異なりますので、一件ごとに争い方を切り分ける作業が要になりました。

また、覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、押収物と関係証拠を一点ずつ検証し、所持の故意と営利目的の不存在を主張して、無罪判決を獲得した事例もございます。犯罪の成立自体を争えるかどうかを見極める作業は、不起訴の理由を左右する場面でも同じ思考を用いております。

当事務所の最大の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行を行いません)。また、当事務所には外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を、刑事手続全般にわたってご利用いただけます。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更につきましても、提携の行政書士と連携し、ワンストップでご相談をお受けしております。

おわりに

「不起訴になった」という一言の内側には、実は異なる意味が幾つも含まれております。その違いを知ったうえで方針を選べることは、外国人の方にとって小さくない差になるものと考えております。

なお、本記事は令和8年7月時点の法令に基づく一般的な解説であり、個別の事案につきましては弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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