舟渡国際法律事務所

偽装結婚を疑われたら|公正証書原本不実記載罪と入管法違反、そして本当の婚姻との境界

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偽装結婚を疑われたら|公正証書原本不実記載罪と入管法違反、そして本当の婚姻との境界

偽装結婚を疑われたら|公正証書原本不実記載罪と入管法違反、そして本当の婚姻との境界

2026/07/20

在留資格を得る目的で婚姻届を提出したとして摘発される事案が、継続的に報じられております。他方で、実態のある夫婦が、生活の形が世間の想定と違うというだけで疑いをかけられる場面も、実務では珍しくございません。本記事は、婚姻の実態をめぐって捜査や審査の対象となった方、そして日本人配偶者として何が起きているのか知りたい方に向けて、争点の所在を整理するものでございます。

問われうる罪名

婚姻の意思がないにもかかわらず婚姻届を提出し、戸籍に記載させた場合、刑法157条1項の公正証書原本不実記載罪(5年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)及び同法158条の同行使罪が問題となります。さらに、その婚姻を前提として在留資格を取得・変更した場合には、偽りその他不正の手段による許可として、入管法70条1項2号の2等が併せて検討されます。仲介した者や、報酬を支払って相手方を探した者も、共犯として立件されることがございます。

「婚姻の意思」とは何か

この類型の核心は、届出の時点で当事者に婚姻をする意思があったかどうかでございます。捜査機関は、同居の有無、生計の同一性、交際期間の短さ、言語の共通性の乏しさ、金銭の授受、写真や連絡記録の不自然な作為性といった事情から、意思の不存在を推認しようといたします。もっとも、これらはいずれも間接事実にすぎません。国際結婚では、就労や在留の都合で別居が生じることも、共通言語が限られることも、現実に起こり得ることでございます。生活の実態を、日々の記録に即して具体的に示すことが、防御の中心になります。

刑事と入管、二つの手続が同時に進む

この類型で特に注意を要するのは、刑事手続と入管手続が並行して進む点でございます。刑事で不起訴となっても、入管が独自に婚姻の実態を否定すれば、在留資格取消し(入管法22条の4)や更新拒否に至ることがございます。逆に、刑事段階で作成された供述調書の記載が、そのまま入管の判断資料として用いられることも少なくありません。刑事の取調べで述べる内容は、入管手続の帰趨をも左右いたします。この一体性を意識した弁護活動が不可欠でございます。

不起訴処分を最優先の目標に置く

有罪となり1年を超える拘禁刑に処せられた場合、入管法24条4号リの退去強制事由に該当し得ます。執行猶予の獲得を目標とするのではなく、起訴前の段階で不起訴処分を得ることを最優先に据えるべき類型でございます。婚姻に至る経緯、同居の実態、家計の状況、周囲の証言といった資料を早期に整え、検察官面談と意見書によって具体的に示してまいります。

初動で押さえておきたい点

  • 黙秘権は正当な権利でございます。取調べで「在留資格のことも考えていた」と述べると、それだけで意思の不存在を認めたかのような調書になりかねません。在留の便宜を考えることと、婚姻の意思があることは、両立し得るものでございます。
  • 生活の実態を示す資料(写真、送金記録、連絡履歴、賃貸借契約、公共料金の名義等)は、早い段階で保全してください。
  • 通訳の質が結果を左右いたします。夫婦間の事情という機微に触れる話題では、訳出のずれが誤解を生みやすく、後の公判や入管審査に影響いたします。

当事務所のご案内と解決事例

当事務所は、婚姻・認知といった身分関係と、在留資格・刑事手続とが複雑に絡み合う事案を、数多く取り扱ってまいりました。

たとえば、観光目的で来日された方が日本人女性との間にお子様を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案がございます。婚姻と認知の手続が未了であったため当局から一旦は受理されない状況にございましたが、憲法的な観点から当局と交渉して手続を実現させ、刑事裁判では在留を見据えた立証活動を行いました。国籍国の公的書類がほとんど得られない中で有利な証拠を積み上げ、過去の許可事例を分析した結果、在留特別許可を一度の申請で獲得しております。

また、退去強制の局面では、入管庁が公表している過去の許可事例を年度横断的に分析し、同種の事情について許可の実績があるにもかかわらず本件のみ不許可とすることは、合理的な理由のない別異の取扱いであると主張する手法を用いております。

当事務所の最大の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行を行いません)。また、当事務所には外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を、刑事手続全般にわたってご利用いただけます。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更につきましても、提携の行政書士と連携し、ワンストップでご相談をお受けしております。

おわりに

婚姻が本物かどうかを、外形だけで判断されることの理不尽さは、当事者にしか分からないものがございます。ご夫婦の歩みを、法的な意味のある形で言葉にしていく作業を、ご一緒にさせていただければと存じます。

なお、本記事は令和8年7月時点の法令に基づく一般的な解説であり、個別の事案につきましては弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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