舟渡国際法律事務所

入管法24条4号チの構造|刑の重さを問わない退去強制事由と、外国人事件で最も警戒すべき罪名群

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入管法24条4号チの構造|刑の重さを問わない退去強制事由と、外国人事件で最も警戒すべき罪名群

入管法24条4号チの構造|刑の重さを問わない退去強制事由と、外国人事件で最も警戒すべき罪名群

2026/07/19

外国人の刑事事件を扱っていて、もっとも説明に注意を要するのが、入管法24条4号チでございます。同号は、他の号と異なり、刑の重さを問わずに退去強制事由となるという構造を持っております。すなわち、罰金であっても、執行猶予が付いていても、退去強制の対象となり得るということでございます。本記事は、この号の構造を条文に即して整理し、実務上の含意を検討するものでございます。

4号リとの決定的な違い

入管法24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由と定めており、刑の重さが要件に組み込まれております。これに対して4号チは、特定の法令に違反して有罪の判決を受けたこと自体を要件としており、刑の重さによる限定を置いておりません。この構造の違いは、弁護方針の立て方を根本から変えるものでございます。4号リの事案では1年以下の刑を得ることに意味がありますが、4号チの事案では、有罪であること自体が退去強制事由となるため、量刑の軽減という発想が機能いたしません。

同号が列挙する法令

4号チが列挙するのは、大麻取締法、覚醒剤取締法、麻薬及び向精神薬取締法、あへん法、毒物及び劇物取締法(一部)、そして刑法の一定の規定など、薬物関係を中心とする法令でございます。薬物事犯については、所持の量が少量であっても、初犯であっても、執行猶予が付いても、有罪となれば同号に該当し得るという理解が、実務の出発点となります。「初犯だから執行猶予で済む、だから日本に残れる」という説明は、この号の構造を踏まえていないものでございます。

立法の趣旨をどう読むか

なぜ薬物犯罪についてのみ、刑の重さを問わない構造が採られたのか。立法過程における議論を辿れば、薬物の拡散が社会全体に及ぼす影響を重く見て、個別の量刑判断とは別に、類型的に退去を求めるという政策判断があったものと解されます。もっとも、行政処分としての退去強制が、当該外国人の日本での生活の全体を奪う効果を持つことを踏まえれば、有罪の一事をもって一律に扱う構造が、比例原則との関係で常に正当化されるかについては、なお検討の余地があるものと考えております。

責任主義の射程という論点

関連して、退去強制事由の判断において故意・過失の有無が要件とされないとする入管実務の当否という論点がございます。責任なくして刑罰なしという責任主義の考え方を、行政処分たる退去強制にどこまで及ぼすべきか。この問題を正面から問う訴訟を、当事務所は現在係争中でございます。係争中の事案でございますので結果を予断することはいたしませんが、刑事事件の段階から故意・過失を徹底して争っておくことが、後の入管手続における主張の基礎を成すという実務上の帰結は、既に明らかであると考えております。

4号チの事案における弁護方針

  • 有罪となれば刑の重さを問わず該当し得る以上、弁護活動は起訴前の不起訴処分の獲得に集中させる必要がございます。起訴後の量刑弁護では、在留を守ることができません。
  • 所持・使用の故意、薬物であることの認識、押収手続の適法性といった争点を、初期段階から精密に検討いたします。
  • 仮に有罪となった場合に備え、在留特別許可の申請を見据えて、家族関係、在留期間、就労と納税の実態を示す資料を、刑事手続の段階から整えてまいります。

当事務所の薬物事犯・入管手続への取組と解決事例

当事務所は、薬物事犯における刑事弁護と、その後の入管手続を、一体の課題として取り扱ってまいりました。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、押収物と関係者の供述を一点ずつ検証し、被告人質問と反対尋問を尽くして、無罪判決を獲得した事例がございます。4号チの構造からすれば、薬物事犯における無罪または不起訴の獲得は、在留を守るうえで他に代えがたい意味を持ちます。

また、公的書類の乏しい困難な状況下で在留特別許可を一度の申請で獲得した事例、そして退去強制事由における故意・過失要件の要否を問う訴訟の係属がございます。刑事と入管を一本の線でつなぐ視点を、日々の事件で試し続けております。

当事務所の最大の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行を行いません)。また、当事務所には外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を、刑事手続全般にわたってご利用いただけます。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更につきましても、提携の行政書士と連携し、ワンストップでご相談をお受けしております。

おわりに

入管法24条の各号は、それぞれ異なる構造を持っております。どの号が問題となるのかを見誤れば、弁護の方針そのものが的を外すことになりかねません。薬物事犯において「執行猶予を目指しましょう」という説明を受けられた方は、4号チの構造を一度ご確認いただきたく存じます。

なお、本記事は令和8年7月時点の法令に基づく一般的な解説であり、個別の事案につきましては弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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