住宅リフォームの「点検商法」で詐欺に問われたら|訪問販売型の勧誘と、外国人従業員が巻き込まれる構造
2026/07/19
「床下の柱が腐っている」「このままでは地震で倒れる」などと告げて高額な工事契約を結ばせる、いわゆる点検商法の摘発が続いております。実際に現場で勧誘や工事に従事していた外国人従業員が、経営者とともに詐欺容疑で逮捕される例も見受けられます。本記事では、こうした事案でご自身やご家族が捜査対象となった場合に、何が争点となり、在留資格にどのような影響が及ぶのかを整理してまいります。
詐欺罪と特定商取引法違反、二つの入口
事実と異なる説明で契約を締結させ、代金を受け取った場合には、刑法246条1項の詐欺罪(10年以下の拘禁刑)が問題となります。他方、勧誘の態様そのものが問われる場面では、特定商取引法の不実告知(同法6条1項)や、氏名等の明示義務違反(同法3条)が適用され、行政処分と併せて刑事責任が問われることもございます。詐欺罪は個人の財産という保護法益を侵害する類型でございますので、被害弁償や示談が処分に反映されやすい領域でもございます。
従業員としての立場と「欺罔の故意」
この類型で外国人の方が捜査対象となる場合、多くは会社に雇われた営業担当・施工担当としての関与でございます。この場合の中心争点は、説明内容が虚偽であることを認識していたか、すなわち欺罔の故意の有無に絞られてまいります。会社が用意したマニュアルどおりに説明していただけであり、建物の状態を判断する専門知識も権限もなかったという事情は、故意を否定する方向に働き得るものでございます。指示系統、報酬体系、研修の内容といった客観資料を早期に確保することが有効でございます。
在留資格に及ぶ影響
詐欺罪で起訴され、1年を超える拘禁刑に処せられた場合、入管法24条4号リの退去強制事由に該当し得ます。加えて、就労資格をお持ちの方の場合、勤務先の営業が停止し退職に至れば、在留資格該当性そのものが失われ、在留資格取消し(入管法22条の4)の対象となる可能性も生じます。刑事事件と入管手続は別個の手続でありながら、実際には連動して進行いたします。
被害弁償と不起訴獲得
詐欺罪が侵害するのは被害者個人の財産でございますので、被害の回復が図られた場合には、反社会性が個別に解消されたと評価される余地が、社会的法益を侵害する類型より広くございます。会社が資力を失っている場合であっても、ご本人が関与した契約分について可能な範囲で弁償の意思を示し、示談の成立を目指すことは、不起訴処分の獲得にとって現実的な意味を持ちます。
初動で押さえておきたい点
- 会社の指示で行った説明について、記憶が曖昧なまま「虚偽と分かっていた」旨の調書に署名しないよう、取調べには慎重に臨んでいただく必要がございます。
- 雇用契約書、営業マニュアル、報酬明細、社内チャットの記録などは、故意を否定する重要な資料となりますので、ご家族を通じて保全されることをお勧めいたします。
- 被害者との示談交渉は、弁護人を通じて行うのが原則でございます。ご本人やご家族が直接接触しますと、罪証隠滅を疑われる危険がございます。
当事務所のご案内と解決事例
当事務所は、詐欺事件について、被害者側・加害者側の双方の立場から数多くの事案を取り扱ってまいりました。
たとえば、卸売業を営む依頼者が取り込み詐欺の被害に遭った事案では、刑事告訴を端緒として相手方を特定し、被害額を大きく上回る7500万円の解決金を獲得いたしました。被害者側の交渉を数多く経験していることは、加害者側で示談をまとめる局面でも、相手方が何を求めているかを見通すうえで役立っております。
また、特殊詐欺の受け子として複数回にわたり再逮捕された事案において、取調べ対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例がございます。組織の末端に位置づけられた方の関与の程度を丁寧に描く作業は、リフォーム事案の従業員の立場にも通じるものでございます。
当事務所の最大の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行を行いません)。また、当事務所には外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を、刑事手続全般にわたってご利用いただけます。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更につきましても、提携の行政書士と連携し、ワンストップでご相談をお受けしております。
おわりに
点検商法の事案では、会社ぐるみの構図の中で、末端の従業員が一括りに扱われてしまいがちでございます。しかし、誰が何を知り、どの判断に関与していたのかは、本来一人ひとり異なるはずでございます。その違いを証拠に基づいて示すことが、不起訴と在留資格の維持につながってまいります。
なお、本記事は令和8年7月時点の法令に基づく一般的な解説であり、個別の事案につきましては弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639
東京にて中国人の方をサポート
東京を中心に刑事事件の弁護
----------------------------------------------------------------------