職場・実習先でのトラブルから傷害事件になったら|外国人の刑事責任と在留への影響
2026/07/16
はじめに
技能実習先や勤務先での人間関係のこじれが、暴行や傷害、時には重大な事件へと発展し、外国人が逮捕される事案が報じられることがあります。慣れない環境での長時間労働や言葉の壁が背景にあることも少なくありません。本記事は、職場での対人トラブルから刑事事件になった場合を念頭に、手続の流れと外国人特有の注意点を一般的に整理します。特定の事件を論評するものではありません。
想定される刑事手続の流れ
人にけがを負わせれば傷害罪(刑法204条・15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)、暴行にとどまれば暴行罪(同208条)が問題となり、凶器を用いて生命に危険を及ぼした場合には殺人未遂罪(同199条・203条)として裁判員裁判の対象となることもあります。逮捕後は、送致・勾留を経て、起訴・不起訴が判断されます。被害者のある事件では、被害の程度と示談の成否が処分を大きく左右します。事実関係に争いがある場合は、防御の方針を早期に固めることが重要です。
外国人事件特有のリスク(退去強制・在留資格)
傷害等の事件で1年を超える拘禁刑の実刑に処せられれば、入管法24条4号リに該当し、退去強制の対象となり得ます。重大な結果を伴う事件ほど実刑の可能性が高まり、在留を失う危険も大きくなります。もっとも、傷害や暴行は被害者個人の身体という個人的法益を侵害する類型であり、被害弁償や示談の成立によって反社会性が個別に和らぐ余地が比較的広いという特徴があります。刑事処分の軽減は、その後の在留資格の更新審査における素行評価にも良い方向で反映され得ます。
不起訴処分の重要性
在留を守るうえで決定的に重要なのは、起訴前の段階で不起訴処分を得ることです。示談の成立、被害者の宥恕、事件に至る経緯や再発防止の環境を丁寧に示し、検察官に対して起訴を思いとどまるべき事情を提示します。正当防衛や過剰防衛が問題となる場面では、防御の主張を裏づける客観証拠を早期に確保することが求められます。執行猶予を得ても在留を失う場面があることを踏まえ、目標は常に不起訴に置くべきです。
初動対応で押さえておきたい3つのポイント
- 黙秘権の行使:正当防衛の有無や暴行の程度は、供述の細部で評価が変わります。方針が定まる前の不用意な供述は避けるべきです。
- 早期の弁護人選任と示談着手:被害者のある事件では、弁護人を通じた早期の被害弁償が処分を大きく左右します。
- 経験ある通訳の確保:職場でのやり取りの再現には正確な訳出が不可欠です。ご本人のために動く通訳の確保が、供述の正確性を担保します。
当事務所のご案内と解決事例
当事務所は、外国人が当事者となる対人事件について、刑事弁護と入管手続の両面から数多く対応してまいりました。裁判員裁判対象となる重大事件から、示談による解決を目指す事件まで、事案の軽重に応じた戦略を組みます。
無罪判決の獲得
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠を徹底的に分析し、被告人質問と反対尋問を尽くして無罪判決を得た事例がございます。争うべき事件で最後まで争い抜く姿勢を示すものです。
重大事件への対応実績
裁判員裁判対象事件を含め、世間の注目を集めた重大な事案にも数多く対応してまいりました。中国籍の方の重大事件についても、経験に裏打ちされた弁護を提供いたします。
特殊詐欺での不起訴
複数回の再逮捕を経た事案でも、取調べへの適切な対応と主張立証を尽くし、全件で不起訴処分を得た事例がございます。
当事務所の最大の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行を行いません)。また、当事務所には外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を、刑事手続の全般にわたってご利用いただけます。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更等については、提携の行政書士とも連携し、ワンストップでご対応いたします。
おわりに
感情的な対立から生じた事件でも、経緯を丁寧に読み解けば、量刑や処分を左右する事情は必ず見つかります。まずは落ち着いて、経験ある弁護人にご相談ください。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
【執筆者】
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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