出国命令制度とは|自ら出頭して帰国する道と、退去強制との決定的な違い
2026/07/12
在留期間を過ぎて日本にとどまってしまった(いわゆるオーバーステイ)方の中には、「見つかれば強制送還され、長い間日本に戻れなくなるのではないか」と不安を抱える方が少なくありません。しかし日本の入管法には、一定の要件を満たす方が自ら出頭して比較的短期間で帰国できる「出国命令制度」(入管法24条の3、55条の2以下)が設けられています。退去強制とは効果が大きく異なるこの制度を、正確に理解しておくことは、その後の再来日の可能性にも関わります。本記事で整理いたします。
退去強制と出国命令の違い
不法残留などの退去強制事由がある方は、原則として退去強制の手続に乗り、その過程で入管施設に収容され得るほか、退去強制を受けると、原則として上陸拒否期間(日本に再び入れない期間)が科されます。これに対し、出国命令制度は、一定の要件を満たす方が自ら出頭して申告した場合に、収容されることなく、比較的短期間で出国できる仕組みです。両者は、収容の有無と、その後日本に戻れるまでの期間において、決定的に異なります。
出国命令の主な要件
- 速やかに自ら出頭したこと:摘発される前に、自ら入管に出頭して申告したこと。
- 退去強制事由が不法残留などに限られること:他の重い退去強制事由がないこと。
- 一定の前科がないこと:拘禁刑に処せられた一定の場合などに該当しないこと。
- 過去に退去強制・出国命令を受けていないこと、および速やかに出国する意思があること。
要件の当てはめは個別の事情によって微妙であり、ご自身が対象となるかは、出頭の前に専門家に確認しておくことが安全です。
上陸拒否期間という違い
この制度の最大の意味は、その後日本に戻れるまでの期間にあります。退去強制を受けた場合、原則として5年間(過去に退去強制歴があるなど一定の場合は10年間)、日本への上陸が拒否されます。重大な犯罪により退去強制された場合には、無期限で上陸が拒否されることもあります。これに対し、出国命令により出国した場合の上陸拒否期間は、原則として1年間にとどまります。将来、正規の在留資格で再び日本を訪れたいと考えるなら、この差は極めて大きなものです。
弁護士・専門家に相談する意味
もっとも、日本人の配偶者や日本で生活する子がいるなど、日本に生活基盤がある方の場合は、帰国ではなく在留特別許可を求める道を検討すべき場面もあります。出国命令で帰国するか、在留特別許可を求めて日本にとどまる道を探るかは、家族関係・在留期間・発覚の経緯などの事情を踏まえた慎重な判断を要します。松村大介弁護士は、こうした場面で、憲法上の平等原則(憲法14条1項)や入管庁の公表事例を踏まえ、最善の道を一緒に検討いたします。
当事務所のご案内と解決事例
舟渡国際法律事務所の松村大介弁護士は、入管手続に注力し、難関とされた在留特別許可を1件で獲得した実績を有します。観光目的で来日した方が日本人女性との間に子をもうけたものの在留資格を失い、不法滞在で起訴された事案で、婚姻・認知を成立させ、入管庁の過去の許可事例を分析して、在留特別許可を獲得しました。加えて、不法就労助長の認定事案で、退去強制事由の判断における故意・過失のあり方を問う訴訟を現在係争中であり、責任主義の射程を行政処分に及ぼすべきかという論点に正面から取り組んでいます(本論点は係争中であり、結果を予断するものではありません)。
当事務所の特徴は、松村大介弁護士による全工程の直接対応と、外国人事件に精通した中国語専属通訳の常駐です。刑事手続と入管手続を一体的に見据え、刑事手続の終了後は提携の行政書士が在留資格の手続を支援いたします。
結語
出国命令制度は、要件を満たせば、収容を避け、短い上陸拒否期間で帰国できる道です。他方で、日本に生活基盤がある方は在留特別許可を求める選択もあり得ます。いずれの道が最善かは事情により異なりますので、出頭の前に、まずは弁護士にご相談ください。なお、本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください(本文僅為一般性解說,個別案件請逕向律師諮詢)。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません(本文所述過往解決案例係基於個別情事,並不保證相同結果)。本記事は2026年7月時点の情報に基づきます。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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