育成就労制度(2027年4月施行)と技能実習の廃止|外国人労働者の在留と刑事リスクへの影響
2026/07/09
令和6年に成立した育成就労法により、これまでの技能実習制度は廃止され、2027年4月1日から新たな在留資格「育成就労」が始まります。単なる名称の変更ではなく、制度の目的や転籍の可否が根本から見直される大きな転換でございます。本記事は、この制度改正が、外国人労働者の在留と刑事リスクにどう影響するかを、立法の経緯を踏まえて整理いたします。
1 技能実習から育成就労へ
技能実習制度は、「国際貢献」を建前としながら、実態は人手不足を補う労働力として機能し、原則として本人の意向による転籍が認められないことが、失踪や不法残留、劣悪な労働環境の温床になっていると、かねて批判されてまいりました。育成就労は、人材の「確保」と「育成」を正面から目的に掲げ、分野に応じて1年ないし2年で本人の意向による転籍を一定の要件のもとで認めるなど、こうした批判を踏まえた見直しでございます。
2 既存の技能実習生への経過措置
2027年4月の施行後も、在留期限までは「技能実習」の在留資格のまま活動でき、直ちに新制度へ強制的に切り替わるわけではございません。もっとも、転籍の制限や、送出し・受入れの構造が変わることで、失踪・不法就労をめぐる問題の現れ方も変化していくことが予想されます。制度の過渡期には、情報の行き違いから、意図せず在留資格の要件を外れてしまう例が生じやすい点に注意が必要でございます。
3 刑事リスク・在留リスクへの影響
転籍が一定範囲で認められても、要件を満たさない移動や資格外活動は、依然として入管法上の問題となりえます。失踪して不法残留に至れば入管法24条4号ロの退去強制事由に、資格に対応しない収入活動は同4号ハに該当しえます。また、失踪者を働かせた側は不法就労助長罪(入管法73条の2)に問われます。制度が変わっても、故意・過失の有無や関与の程度を丁寧に主張することの重要性は変わりません。当事務所は、退去強制事由の判断にも責任主義の射程が及ぶべきであるとの観点から、関連訴訟を現在係争中でございます。
4 立法論的な視座
制度の背後にある立法の議論を丁寧に読み解くことは、目の前の事案の解釈にも生きてまいります。育成就労への転換は、外国人を単なる労働力ではなく、権利の主体として受け入れる方向への一歩と位置づけることができます。制度がなお不十分であれば、運用の是正や制度設計の見直しを提言していくことも、依頼者の権利を守る弁護の一つのあり方でございます。
5 当事務所のご案内と解決事例
舟渡国際法律事務所の松村大介弁護士は、入管手続と刑事弁護の双方に注力しております。難関とされた在留特別許可を一度の申請で獲得した事例のほか、退去強制事由の判断に故意・過失を要件とすべきかを問う訴訟を現在係争中でございます。制度の過渡期にあって在留に不安を抱える外国人労働者の方について、松村大介弁護士が接見の初動から全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳、提携の行政書士と連携して、刑事から在留までを一体として支えます。
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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