会社のお金をめぐる業務上横領・背任で疑われたら|外国人従業員と在留資格
2026/06/27
在日中国系企業の経理や出納を任されていた方が、会社の資金をめぐって業務上横領や背任の疑いをかけられる。こうした事案は、社内の人間関係や経営権の対立を背景に生じることもあります。外国人にとっては在留資格にも関わるだけに、慎重な対応が求められます。本稿では、その手続とリスクを整理いたします。
1. 想定される刑事手続の流れ
他人の物を業務上預かって自分のものにすれば、刑法253条の業務上横領罪として10年以下の拘禁刑が定められています。会社に損害を与える任務違背があれば、刑法247条の背任罪(5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)も問題となります。これらは被害額が大きくなりやすく、被害弁償や示談の成否、そして「不法領得の意思」や「図利加害目的」といった主観的要素の有無が、処分を大きく左右します。
2. 外国人事件特有のリスク(強制送還・在留資格)
業務上横領・背任で1年を超える拘禁刑の実刑となれば、入管法24条4号リにより退去強制の対象となります。執行猶予が付く場合は除外規定が問題になりますが、被害額が大きい事案では実刑のリスクが現実味を帯びます。就労の在留資格をもつ方の場合、退職や有罪により在留資格該当性そのものが揺らぎ、更新拒否(入管法21条)につながる懸念も併存します。
3. 不起訴処分の重要性
業務上横領・背任は、被害者である会社の財産という個人的法益を侵害する類型であり、被害弁償・示談により反社会性が個別に解消される余地が比較的広い類型です。だからこそ、起訴前に会社側と誠実に交渉し、被害回復を図ったうえで不起訴処分を獲得することが、在留を守るうえで決定的になります。主観的要素を争う余地があれば、嫌疑そのものを争うことも検討します。
4. 初動対応で押さえておきたい3つのポイント
第1に、黙秘権の行使です。会計処理の経緯は複雑で、不用意な供述が不利に働きやすい類型です。第2に、早期の弁護人選任により、会計資料の精査と会社側との交渉を急ぐことです。第3に、経験ある通訳の確保です。資金の流れや経緯を正確に説明できるかどうかが、嫌疑の評価を左右します。
6. 当事務所のご案内と解決事例
当事務所(舟渡国際法律事務所・東京都豊島区)は、企業内紛争を背景とする事件や、財産犯の示談交渉に幅広く対応してまいりました。
取り込み詐欺の被害に遭った卸業の依頼者について、刑事告訴を端緒に相手方を特定し、被害額を大きく上回る7,500万円の解決金を獲得した事例がございます。示談・被害回復の交渉力が結果を左右することを示すものです。
特殊詐欺の出し子に関わったとされた若い依頼者について、指示役からの欺罔や脅迫的状況、犯意の不存在を総合的に主張し、不起訴処分を獲得した事例がございます。
当事務所の最大の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行を行いません)。また、当事務所には外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を、刑事手続全般にわたってご利用いただけます。
会社の資金をめぐる事件は、背景に経営権の対立や内部紛争が潜んでいることも少なくありません。当事務所は、企業法務に関する経験も踏まえ、事案の全体像を見極めたうえで、刑事手続と在留資格の双方を見据えた方針を立てております。
万一、刑事手続終了後に退去強制手続へ進んでしまった場合にも、在留特別許可の獲得実績を踏まえて対応いたします。在留資格の更新・変更については、提携の行政書士と連携し、刑事手続終了後までワンストップでお支えいたします。
7. おわりに
会社のお金をめぐる嫌疑は、複雑な経緯を丁寧にほどくことで、評価が変わり得る類型です。早めにご相談いただくことが、ご本人の立場と在留を守る第一歩になります。
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639
東京にて中国人の方をサポート
東京を中心に刑事事件の弁護
----------------------------------------------------------------------