舟渡国際法律事務所

外国人弁護の落とし穴|「不起訴」を取っても日本で暮らし続けられるとは限らない

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外国人弁護の落とし穴|「不起訴」を取っても日本で暮らし続けられるとは限らない

外国人弁護の落とし穴|「不起訴」を取っても日本で暮らし続けられるとは限らない

2026/06/26

外国人の方の刑事事件で、本当に守らなければならないものは何でしょうか。それは刑の重さそのものではありません。ご本人が、これまでどおり日本で暮らし続けられること――それが最終の目標です。ところが、刑事手続で良い結果が出ても、その後の入管手続でつまずいて在留資格を失う、という落とし穴が、外国人事件にはいくつも潜んでいます。ご家族が逮捕された、強制送還されてしまうのではないか、とご不安を抱えて検索された方に向けて、刑事と入管という二つの手続をどう一体で見るべきか、そしてなぜ経験のある弁護士が必要なのかを整理します。

最終の目標は「日本で暮らし続けられること」

外国人事件の弁護では、刑事処分が軽くなれば一安心、というわけにはいきません。日本人の事件であれば、執行猶予が付けば社会に戻って生活を続けられます。しかし外国人の方の場合は、刑が確定したその先に、在留資格を維持できるか、強制送還(退去強制)を回避できるか、という第二の関門が控えています。

そのため弁護方針も、「刑を軽くする」ことではなく、「在留を守り抜く」ことを出発点に組み立てる必要があります。この視点の有無が、外国人弁護の成否を分けます。

だから刑事事件では「不起訴」を目指す

入管法24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制の対象としています(全部執行猶予の場合は除外規定により外れます)。問題は、「執行猶予が付いたから日本に居られる」とは限らないという点です。罪名・刑期によっては、執行猶予判決でも在留資格を失う場面があります。

最も確実に在留を守る道は、有罪判決そのものを回避すること――すなわち起訴前の段階で不起訴処分を獲得することです。検察官への意見書提出、示談交渉、取調べ対応など、勾留決定までの初動と起訴前の弁護活動が、結果を大きく左右します。執行猶予の獲得を最終目標と考える弁護方針は、外国人事件では不十分なのです。

不起訴でも安心できない――入管の独自判断という落とし穴

ここが外国人弁護で最も見落とされやすい点です。刑事手続と入管手続は別個の手続であり、入管は刑事処分の結果に拘束されず、独自に退去強制事由や在留資格該当性を判断します。刑事で良い結果を得ても、入管でつまずく類型があります。

不法就労助長(入管法73条の2。退去強制事由は同法24条4号ヌ)。他の外国人に不法就労をさせた、あっせんした、という類型では、刑事事件で不起訴・無罪を得ても、入管が客観的に助長行為があったと認定すれば、在留資格の取消し・退去強制の対象となりうるという構造があります。

売春・性風俗関連業務への従事。これらは在留資格該当性(資格外活動)や「素行不良」の評価を通じて、刑事処分の軽重とは別に、在留資格の更新拒否・取消し・退去強制へとつながりうる類型です。不起訴になっても在留が当然に守られるわけではありません。

薬物犯罪(入管法24条4号チ)。覚醒剤・大麻・麻薬等の薬物関係法令違反は、有罪となれば刑の軽重を問わず退去強制の対象となりうる類型です。罰金でも、執行猶予でも例外ではありません。だからこそ薬物事件では、不起訴の獲得が在留を守る上で決定的な意味を持ちます。

これらに共通するのは、刑事だけを見て「終わった」と判断すると、入管の段階で在留を失う、という落とし穴です。初動から刑事と入管を一体で設計しなければ、最終の目標は守れません。

従来の判例・実務を乗り越える――憲法と行政事件の力

入管手続では、これまでの実務運用や裁判例が依頼者に不利に働く場面があります。そこで道を切り開くには、条文と前例をなぞるだけでなく、憲法が保障する基本的人権の観点と、行政事件をたたかってきた経験が必要になります。

第一に、退去強制事由における故意・過失要件論。退去強制事由の判断に故意・過失は要らない、という運用が長年踏襲されてきました。しかし、責任なくして罰なしという責任主義の射程は、行政処分にも及ぶべきではないか。これは憲法31条(適正手続)・13条(個人の尊重)・14条1項(平等原則)に関わる根本問題です。当事務所は、冤罪により不法就労助長を問われ強制退去の危機にある依頼者の事案で、この論点を正面から問う訴訟を現在係争中です。

第二に、在留特別許可における平等原則論。出入国在留管理庁は、許可・不許可の事例を年度別に公表しています。これは行政自身が「許可相当」と判断した先例であり、同種の事情がありながら本件だけ不許可とすることは、合理的理由なく異なる取扱いをするもので憲法14条1項に反する、という主張の根拠になります。公表事例を年度横断的に分析する作業が、ここで効いてきます。

そして、これらは刑事の知識だけでは戦えません。処分性、行政裁量の統制、確認の利益といった行政訴訟の実務経験が不可欠です。当事務所は、ストーカー規制法に基づく警告処分の取消等を求めた控訴事件で、「警告は単なる行政指導ではなく法的効果を持つ」として処分性を正面から認める判決を獲得した実績を有します(令和6年大阪高裁)。当事務所のこれまでの代表的な案件は、いずれもこうした困難に正面から立ち向かって勝ち取ってきた成果です。

なぜ経験のある弁護士が必要か

当事務所には全国からご相談が寄せられますが、その中には、前任の弁護士が刑事手続だけを見て、入管手続を見落としていたと見受けられるケースが少なくありません。執行猶予を獲得して「これで終わった」と安心した後に、退去強制の手続が始まってしまう――こうした事態を防ぐには、初動の段階から刑事と入管を一体のものとして設計し、判決後の在留手続まで見据えて証拠を残しておく必要があります。外国人事件に精通した弁護士に早期に依頼することの意味は、まさにここにあります。

当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077/2019年登録)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。刑事事件と行政訴訟(在留関連)の双方を取り扱ってきた経験から、刑事と入管を一体で設計する弁護を行っています。

これまでの解決事例の一部をご紹介します(個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません)。

  • 在留特別許可の獲得:観光目的で来日した方が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を喪失し、不法滞在で起訴された事案。婚姻・認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされましたが、憲法的観点から当局と交渉して手続を成功させ、国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況の下、過去の許可事例を分析して在留特別許可を獲得しました。
  • 退去強制実務への挑戦(係争中):冤罪により不法就労助長を問われ強制退去の危機にある女性を救済する裁判で、「退去強制事由に故意・過失は不要」とする従来の実務を覆すべく、責任主義の射程を問う訴訟を係争中です。
  • 薬物事件での無罪:覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、徹底した証拠分析と尋問により無罪判決を獲得しました。
  • 特殊詐欺での不起訴:受け子として複数回再逮捕された事案で、取調べ対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得しました。
  • 行政事件での勝訴:ストーカー規制法に基づく警告処分の取消等を求めた控訴事件で、処分性を正面から認める判決を獲得しました。

当事務所の最大の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。また、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を刑事手続全般にわたってご利用いただけます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更等についても、提携の行政書士と連携してワンストップで対応いたします。

おわりに

外国人事件で本当に守るべきものは、ご本人が日本で暮らし続けられることです。刑事と入管は別の手続ですが、最終の目標から逆算すれば、両者は一本の線でつながっています。だからこそ、初動の早さと、刑事・入管を一体で見通す経験が、結果を分けます。ご家族が逮捕されてどうしてよいか分からない、というときほど、早い段階でご相談いただくことが道を開きます。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、本記事でご紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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