入管法24条4号チを正しく理解する|薬物・銃刀法の有罪が刑の軽重を問わず退去強制となる理由
2026/06/25
号ごとに違う退去強制事由
退去強制事由を定める入管法24条は、号ごとに要件の構造が異なります。外国人刑事事件では、どの号に該当しうるかを正確に見極めることが、見通しを立てる出発点になります。本記事は、薬物事犯や銃刀法違反で問題となる4号チに焦点を当て、1年を超える拘禁刑を要する4号リとの違いを整理する制度解説です。
4号リの構造
入管法24条4号リは、無期または1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由とします。重要なのは、刑の重さが「1年を超える」という下限で区切られている点と、全部執行猶予の場合には除外される定めがある点です(除外の適用の有無は事案ごとに精査を要します)。一般の財産犯や粗暴犯などは、この4号リの枠組みで判断されることが多く、量刑が在留に直結します。
4号チの構造
これに対し、入管法24条4号チは、旅券法違反、薬物関係の各法令(覚醒剤取締法、麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法に由来する規制、あへん法等)、銃砲刀剣類所持等取締法などに違反して有罪となった者を、退去強制事由として明文で列挙しています。ここでの決定的な違いは、4号チには、4号リのような「1年を超える」という刑の重さの下限も、執行猶予による除外規定も置かれていない点です。すなわち、これらの法令違反で有罪となれば、罰金でも、執行猶予でも、退去強制の対象となりうるのです。
なぜこの違いが重要か
この構造の違いは、弁護方針に直結します。4号リの類型では、量刑を1年以下に抑える、あるいは執行猶予を得ることに一定の意味があります。しかし4号チの類型では、有罪となること自体が在留にとって致命的であり、量刑を軽くするだけでは在留を守れません。したがって、薬物事犯や銃刀法違反では、有罪を回避すること、すなわち起訴前の不起訴処分の獲得が、在留継続の唯一に近い道となります。「軽い罰金で済んだ」という安心が通用しない類型なのです。
責任主義の射程という論点
4号チのように、有罪の事実のみで刑の軽重を問わず退去強制を導く構造については、退去強制という重大な不利益を、刑事責任とどこまで連動させるべきかという問題が残ります。当事務所は、退去強制事由の判断にも責任主義(責任なくして処罰なし)の射程が及ぶべきではないか、すなわち故意・過失を要件とすべきではないかという論点を重視し、関連する訴訟を係争中です。これは現在進行形の議論であり、結果を予断するものではありませんが、刑事段階から故意・過失を丁寧に争っておくことが、将来の入管手続における主張の基礎になります。
当事務所の実績
松村大介弁護士は、覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で無罪判決を獲得するなど、4号チに直結する薬物事犯の防御に強みを有します。また、不法滞在で起訴された方に在留特別許可を一度の申請で獲得した実績もあり、刑事と入管の双方を貫く視座をもって対応しております。当事務所では松村弁護士が全工程を直接担当し、中国語専属通訳が常駐、在留手続は提携行政書士と連携いたします。
おわりに
入管法24条は、号ごとに構造が異なります。とりわけ4号チは、刑の軽重を問わず退去強制を導く点で、薬物事犯・銃刀法違反の外国人事件における最大の注意点です。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。なお、退去強制事由は条文ごとに精査を要するため、適用にあたっては最新の条文(e-Govを参照)と専門家の確認をお勧めします。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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