飲食店や路上のトラブルで暴行・傷害に問われた外国人の方へ|示談と不起訴、在留資格を守るために
2026/06/25
はじめに
お酒の席での言い争い、肩がぶつかった、声をかけられて押し合いになった。そうした日常のいさかいが、暴行罪や傷害罪として立件されることは決して珍しくありません。「ほんの小競り合いのつもりだった」「相手も手を出していた」と感じておられる方ほど、逮捕の知らせに戸惑われます。本記事は、飲食店や路上でのトラブルから暴行・傷害に問われた外国人の当事者ご本人と、そのご家族に向けて、刑事手続の流れと在留資格への影響を整理するものです。
暴行罪・傷害罪の刑事手続の流れ
暴行罪は2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金等、傷害罪は15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金と定められています(刑法208条・204条)。けがの程度や凶器の有無によって見通しは大きく変わります。逮捕されると、警察での留置に続き、検察官が勾留を請求するか否かを判断し、裁判官が勾留を認めれば原則10日間、延長を含めて最大20日間、身柄を拘束されたまま捜査が進みます。最初の72時間は弁護人以外との面会が制限されることも多く、この間に方針を固められるかどうかが結果を左右します。
外国人事件で見落とされがちな在留へのリスク
傷害事件で在留資格を失う典型は、入管法24条4号リの退去強制事由です。これは無期または1年を超える拘禁刑に処せられた場合を指しますが、注意すべきは、執行猶予が付いても、言い渡された刑そのものが1年を超えれば、号の文言上は該当しうるという点です(全部執行猶予の場合の除外の有無は事案ごとに精査を要します)。「執行猶予だから日本に残れる」という説明は、外国人事件では必ずしも当てはまりません。さらに、退去強制に至らない場合でも、有罪歴は在留期間更新の際に素行面で不利に働き、更新拒否につながることがあります。
示談と不起訴処分の決定的な重要性
暴行・傷害は、被害者個人の身体という個人的法益を侵害する類型です。だからこそ、被害者との示談が成立し、宥恕(許す意思)が得られれば、起訴前の段階で不起訴処分を獲得できる余地が大きく広がります。外国人事件では、執行猶予を取りに行くのではなく、起訴そのものを回避する不起訴目標主義で臨むことが、在留資格を守る最短の道です。被害感情の調整、適切な示談金の提示、再発防止策の提示を、捜査の早い段階から進める必要があります。
初動で押さえたい3つのこと
- 黙秘権を理解して臨む。酩酊時の記憶が曖昧なまま供述すると、正当防衛や過剰防衛の主張が後から立てにくくなります。
- 早期に弁護人を選任する。当番弁護士の利用も一つの入口ですが、示談交渉まで一貫して任せられる私選弁護人を早く選ぶことが望まれます。
- 信頼できる通訳を確保する。捜査機関の通訳を介した供述は、わずかなニュアンスのずれが調書に残り、後の公判で不利に働くことがあります。
当事務所の対応と解決事例
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護に注力しております。示談交渉では、たとえば取り込み詐欺の被害に遭われた依頼者について、刑事告訴を端緒に相手方を特定し、被害額を上回る7,500万円の解決金を獲得した事例があり、当事者間の利害調整と交渉の実務に厚い経験を有します。また、特殊詐欺の受け子で複数回再逮捕された事案でも、徹底した取調べ対応により全件で不起訴処分を獲得した実績があります。在留資格に直結する場面では、不法滞在で起訴された方について、過去の許可事例の分析を通じて在留特別許可を一度の申請で獲得した事例もございます。
当事務所では、接見の初動から公判の結審まで松村弁護士が全工程を直接担当し(事務員や若手弁護士による代行を行いません)、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しております。刑事手続終了後の在留資格更新・変更については、提携の行政書士と連携してワンストップで対応いたします。
結びに
暴行・傷害は、初動での示談着手の早さがそのまま結果に表れる類型です。早い段階で方針を定めれば、不起訴と在留継続の双方に道が開けます。なお、本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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