在留資格の申請で虚偽を述べたら|不正入国に関わった側・依頼した側の刑事責任
2026/06/23
富裕層からの依頼を受け、うその在留資格申請を行って外国籍の方を不正に入国させたとして、仲介・手配に関わった会社役員らが入管難民法違反(不法上陸)の疑いで逮捕されたとの報道がありました。この類型では、入国した本人だけでなく、書類を整えた仲介者、そして依頼した側まで、それぞれの立場で刑事責任を問われ得ます。在日中国人コミュニティでも、知人の在留手続を「手伝った」つもりが捜査の対象になることがあり、注意が必要です。
「手伝い」がなぜ犯罪になるのか
在留資格認定証明書の交付申請や上陸手続において、活動実態や雇用関係について虚偽の事実を述べ、あるいは虚偽の資料を提出して入国・在留を実現させる行為は、入管法上の罪に該当し得ます。実態のない雇用契約を作る、就労の予定がないのに就労資格で申請する、扶養や同居の実態を偽るといった行為が典型です。
こうした申請を主導・手配した仲介者は、入国した本人よりむしろ重く扱われることがあります。対価を得ていた、複数人を反復して手配していた、組織的に役割分担していたといった事情があると、捜査機関は背後の構造解明に注力し、関係者が次々と取調べの対象になります。
逮捕後に想定される手続
逮捕後の48時間・24時間・勾留という流れは他罪と共通です。本類型は関係者が多数にのぼることが多く、供述の食い違いを突く取調べが続き、再逮捕により拘束が長期化しがちです。だからこそ、最初の72時間で黙秘権の意義を理解し、弁護人と一貫した方針を立てることが結果を分けます。
外国人事件特有のリスク(退去強制・在留資格)
不正入国に関わった外国籍の方は、刑事処分に加えて自らの在留資格を失う危険があります。入管法上の罪で拘禁刑に処せられれば退去強制事由(24条4号ロ・リ等)に該当し得るほか、虚偽申請に関与したこと自体が「偽りその他不正の手段」と評価され、在留資格の取消し(22条の4)の対象になり得ます。号ごとに要件が異なるため、自分の関与がどの条項に触れ得るのかの見極めが欠かせません。
なお、不正入国に「協力させられた」側、たとえば名義を貸した、言われるまま署名したという立場の方については、認識(故意)の有無が刑事・入管双方で重要な争点になります。刑事事件における故意・過失の議論は、本来、退去強制という行政処分の判断にも及ぶべきではないか――この論点を松村大介弁護士は現在係争中の事案(事例D-2)で正面から問うています。結果を予断するものではありませんが、刑事段階から故意の不存在を争うことが、後の入管手続の備えにもなります。
不起訴処分を最優先に
在留を守るには、起訴前に不起訴処分を得ることが最も確実です。虚偽の認識がなかったこと、関与が周辺的・従属的であったこと、利得がなかったこと、再発防止の体制などを、検察官面談と意見書で丁寧に示します。執行猶予を最終目標に据えるのではなく、不起訴を目標に据える発想が重要です。
初動の3つのポイント
- 黙秘権:関係者間で供述が食い違うと共謀認定に傾きます。話す前に弁護人と確認を。
- 早期の弁護人選任:多人数事件では初動の遅れが致命傷になりがちです。
- 本人のための通訳:手配の経緯は細かな事実が重要です。質の高い通訳が誤った調書を防ぎます。
当事務所のご案内と解決実績
舟渡国際法律事務所の松村大介弁護士は、在留資格と刑事責任が交錯する事案に厚い経験を有します。観光目的で来日し在留資格を失った方について、婚姻・認知の手続を当局と交渉して成立させ、過去の許可事例の分析を通じて在留特別許可を一度で獲得した事例(事例D-1)はその一例です。
また、冤罪により不法就労助長罪に問われた女性の救済で、退去強制事由における責任主義の射程を問う訴訟を係争中であり(事例D-2・結果を予断しません)、特殊詐欺の受け子で複数回再逮捕された事案で全件不起訴を獲得した実績(事例B-2)もございます。
当事務所では、松村大介弁護士が全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐いたします。刑事手続後の在留資格の更新・変更等も、提携の行政書士と連携してワンストップで対応いたします。
おわりに
在留手続の「手伝い」は、善意であっても重い責任に転じ得ます。ご本人が背後で利用された立場であればなおさら、その経緯を正確に説明できる弁護が必要です。逮捕の知らせを受けたら、できるだけ早くご相談ください。
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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