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薬物事件だけは上陸拒否に年限がありません|5年でも10年でもない理由

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薬物事件だけは上陸拒否に年限がありません|5年でも10年でもない理由

薬物事件だけは上陸拒否に年限がありません|5年でも10年でもない理由

2026/09/01

「日本から帰国して5年たてば、また入国できますか。」薬物事件に関するご相談で、この質問をいただくことがあります。しかし薬物については、5年・10年といった年限の話とは別の枠組みが用意されています。出入国管理及び難民認定法(入管法)5条1項5号の上陸拒否事由には、期間の定めが置かれていないからです。この記事では、なぜ薬物だけが違う扱いになるのか、再入国の可能性はどこに残るのかを説明します。

結論:薬物に関する上陸拒否には、年限がありません

入管法5条1項は、日本に上陸することができない外国人を列挙しています。そのうち9号は、退去強制を受けた者などについて、1年・5年・10年という上陸拒否期間を定めています。これに対し、薬物に関する上陸拒否事由である5条1項5号には、そのような期間の定めがありません。したがって、「何年たてば自動的に入国できるようになる」という考え方が、この事由には当てはまりません。時間の経過だけを頼りに再入国を待つという方針は、薬物事案では成り立たないということです。

罰金でも、外国の法令違反でも足ります

もう一つ重要なのは、この事由が刑の重さを問わない点です。罰金にとどまった場合でも該当します。さらに、日本の法令に限らず、外国の法令に違反した場合も対象になります。つまり、日本で処分を受けたことがなくても、中国や第三国で薬物に関する法令違反があれば、日本への上陸との関係では問題になり得ます。査証(ビザ)の申請書や上陸審査の質問票で、過去の処分歴について尋ねられた際に、これを申告しないまま入国しようとすれば、別途、虚偽の申告という問題が加わります。正直に申告したうえで、どのような主張ができるかを検討するのが筋です。

退去強制事由の側にも、薬物だけの特則があります

入管に関する薬物の扱いが厳しいのは、上陸の場面に限りません。退去強制事由のうち、覚醒剤取締法、麻薬及び向精神薬取締法、大麻草の栽培の規制に関する法律、あへん法、麻薬特例法等の違反を対象とする24条4号チは、有罪判決があれば足り、罰金でも執行猶予でも該当します。在留資格の種類も問いません。さらに、自ら出頭した場合に収容を経ずに出国できる出国命令の制度(入管法24条の3)についても、その要件として24条4号ハからヨまでに該当しないことが求められるため、薬物該当者は利用できません。入口も出口も、薬物だけが別に設計されています。

再入国の道は、上陸特別許可に絞られます

それでは、二度と日本に来られないのか。制度としては、入管法12条1項の上陸特別許可があります。これは、上陸の条件を満たさない外国人について、法務大臣が特別に上陸を許可することができるという仕組みです。年限が過ぎるのを待つのではなく、個別の事情を示して判断を求める手続だと理解してください。日本に配偶者や子がいる、長期にわたり日本で生活してきた、処分から相当の期間が経過し再犯がない、といった事情が主張の柱になります。もっとも、これは裁量に委ねられた判断であり、見通しを軽々に語ることはできません。

だからこそ、有罪判決に至る前の段階が重要になります

ここまでの整理から分かるとおり、薬物事案では有罪判決があるかどうかが分水嶺です。法務省の令和7年版犯罪白書によれば、令和6年の薬物事犯の起訴猶予率は大麻で35.5%、覚醒剤で8.5%、麻薬で15.9%、麻薬特例法で52.5%です。不起訴となれば有罪判決が存在しませんから、退去強制事由の24条4号チは発動しません。逮捕直後から、押収物の鑑定、所持や使用の事実、故意の有無といった刑事事件としての争点に取り組むことが、そのまま在留と再入国の可能性に直結します。

ご家族が今できること

まず、罪名の根拠となる法律の正式名称を確認してください。指定薬物のように、医薬品医療機器等法による規制であって、24条4号チの列挙に含まれない場合もあります。次に、在留カードと旅券の所在、在留期間の満了日、勤務先や学校への説明の段取りを整理します。そして、ご本人が中国語しか話せない場合、取調べでの説明が正確に伝わっているかを、接見を通じて確かめる必要があります。刑事の処分が決まってから入管のことを考えるのでは遅い場面が多く、両者は同時並行で検討すべきものです。

中文版:毒品案件的入境禁止没有年限,既不是五年也不是十年

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舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

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この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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