舟渡国際法律事務所

中国で執行猶予を受けた人は日本に入国できますか

お問い合わせはこちら

中国で執行猶予を受けた人は日本に入国できますか

中国で執行猶予を受けた人は日本に入国できますか

2026/09/01

「中国で執行猶予(緩刑)の判決を受けました。日本に行けますか。」留学、就労、家族の訪問など、目的を問わずいただくご質問です。日本の入国審査は、日本国内での処分歴だけを見ているわけではありません。外国の裁判所で受けた判決も、上陸拒否事由の判断材料になります。この記事では、薬物に関する事案とそれ以外とで結論が分かれる仕組みを、順を追って説明します。

外国の判決も、判断の対象になります

出入国管理及び難民認定法(入管法)は、上陸を拒否すべき外国人を列挙しています。その中には、日本の法令に限らず、外国の法令に違反した場合を含む事由が置かれています。したがって、中国の人民法院で有罪判決を受け、緩刑(執行猶予)となった場合も、日本の入国審査との関係では検討の対象になります。「日本で事件を起こしたわけではないから関係ない」という理解は正確ではありません。まずは、どの罪名で、いつ、どのような刑を言い渡されたのかを正確に把握することが出発点です。

薬物に関する事案は、別の枠組みになります

入管法5条1項5号は、薬物に関する上陸拒否事由を定めています。この事由の特徴は三つあります。第一に、期間の定めがありません。5年や10年といった年限を待てば自動的に解消される、という構造になっていません。第二に、刑の重さを問いません。罰金にとどまった場合でも該当します。第三に、外国の法令違反でも足ります。したがって、中国において薬物に関する法令違反で処分を受けた方は、緩刑であっても、日本への上陸との関係では慎重な検討が必要です。再入国の道は、入管法12条1項の上陸特別許可に絞られます。

薬物以外の事案はどう考えるか

薬物以外の罪名については、入管法5条1項に別の上陸拒否事由が置かれており、刑の重さや内容に応じて個別に判断されます。執行猶予が付された場合の評価は、判決の内容、罪名、時期によって異なり得るところであり、この記事で一律の結論を示すことはできません。確かなことは、ご自身の判決の内容を正確に示す資料をそろえ、事前に確認しておくべきだ、ということです。中国語圏のインターネット上には断定的な回答が多く流通していますが、根拠となる条文が示されていないものは、そのまま信頼しない方が安全です。

査証申請での申告をめぐる注意

査証(ビザ)の申請書や、在留資格認定証明書の交付申請書には、過去の刑事処分について尋ねる欄があります。ここで事実と異なる記載をすれば、その記載自体が新たな問題となり、後の申請にも影響します。中国の判決書、緩刑の内容を示す書面、刑の執行が終了したことを示す資料などを整えたうえで、正確に申告するのが基本方針です。翻訳が必要な場合は、訳語の対応関係にも注意が必要です。中国刑法の「拘役」「有期徒刑」「緩刑」といった用語は、日本法の拘禁刑や執行猶予と完全に一対一で対応するわけではありません。

日本で家族が待っている場合

配偶者や子が日本で生活している場合、上陸特別許可を求める場面では、その家族関係が主張の柱になります。婚姻関係の実体、子の年齢と就学状況、日本での生活の継続性、経済的な支えの状況などを、書面と資料で具体的に示していくことになります。もっとも、これらは裁量に委ねられた判断であり、結果を約束できる性質のものではありません。時間もかかります。だからこそ、渡航を計画する段階から、資料の準備を始めておくことに意味があります。

日本で刑事事件になった場合との違い

参考までに、日本国内で刑事事件になった場合との違いにも触れておきます。日本で有罪判決を受けた場合、退去強制事由に当たるかどうかは入管法24条各号によって判断され、薬物を対象とする4号チは有罪判決があれば足り、4号リは無期又は1年を超える拘禁刑を対象として但書で全部執行猶予を除いています。これに対し、日本国外での判決は、退去強制ではなく上陸拒否の場面で問題になります。同じ「緩刑」でも、どの手続の中で問われているのかによって、参照すべき条文が変わるということです。

渡航を計画する前にご相談ください

手元にある判決書の写しと、その日本語訳、そして渡航の目的を整理していただければ、どの事由との関係を検討すべきかの見当を立てることができます。空港で上陸を拒否されてから相談されるより、計画の段階でご相談いただく方が、選べる手段は多くなります。当事務所では中国語での相談に対応しており、日本国内のご家族からのご連絡でも承ります。

中文版:曾判缓刑可以去日本吗|在中国被判缓刑的情形

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に刑事事件の弁護

東京にて行政事件に関する対応

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。