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日本で執行猶予の判決を受けたら再入国できますか|入管法24条4号リ但書の読み方

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日本で執行猶予の判決を受けたら再入国できますか|入管法24条4号リ但書の読み方

日本で執行猶予の判決を受けたら再入国できますか|入管法24条4号リ但書の読み方

2026/09/01

「日本で執行猶予(中国語でいう緩刑)の判決を受けました。このまま日本にいられるのでしょうか。いったん帰国したら、もう入国できないのでしょうか。」中国語での刑事弁護のご相談で、判決の直後に最も多く寄せられるのがこの質問です。この記事では、出入国管理及び難民認定法(入管法)24条4号リという一つの条文の但書に絞って、全部執行猶予がついた場合と実刑になった場合とで、なぜ結論が正反対になるのかを、判決主文の読み方に即して説明します。中国籍の在留者ご本人と、判決の内容を聞いて不安になっているご家族に向けた記事です。

結論から:全部執行猶予であれば、24条4号リには当たりません

入管法24条4号リは、退去強制事由の一つとして、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を挙げています。しかし同号には但書があり、刑の全部の執行を猶予された者は除かれます。したがって、判決の主文が「拘禁刑2年に処する。この裁判が確定した日から4年間その刑の全部の執行を猶予する」であれば、刑期そのものは1年を超えていても、この号による退去強制事由には当たりません。逆に、同じ2年でも執行猶予が付かない実刑であれば該当します。刑期の長さだけを見て絶望する必要も、また安心する必要もありません。見るべきは主文の後半、すなわち猶予の有無です。

「執行猶予でも強制送還される」という説明は、どこが誤っているのか

中国語のインターネット上には、「在日本判缓刑也会被遣返」という断定的な書き込みが数多く流通しています。これは、入管法24条の各号を区別せずに一括りにしていることから生じる誤りです。24条4号リは刑の重さで線を引く規定であり、但書によって全部執行猶予が明文で除かれています。他方、薬物事犯を対象とする4号チは有罪判決があれば足り、罰金でも執行猶予でも該当します。危険運転致死傷等を対象とする4号の2は、別表第一の在留資格をもって在留する者に限って適用されます。「執行猶予でも該当する場合がある」こと自体は事実ですが、それは4号リの話ではなく別の号の話です。号を特定せずに語られた説明は、ご自身の事案には当てはまらない可能性が高いと考えてください。

数字で見ると、1年超の実刑による退去強制は年間どれくらいか

出入国在留管理庁の出入国管理統計(令和7年、第57表)によれば、退去強制令書の発付人員は総数7,722人であり、その圧倒的多数は不法残留(24条4号ロ)の5,778人です。これに対し、4号リ単独による発付は41人(うち中国籍11人)、不法残留との並立を含めても204人にとどまります。「刑事事件を起こせば即強制送還」という理解は、統計の上では正確ではありません。ただし国籍によって様相は異なります。中国籍についてみると、退去強制令書発付総数686人のうち4号リ関係は単独11人と並立36人の計47人(6.9%)であり、ベトナム籍の2.3%のおよそ3倍です。母数が違えば見え方も違うという点は、正直に押さえておく必要があります。

実刑と執行猶予で、具体的に何が正反対になるのか

第一に、退去強制事由に当たるかどうかが分かれます。第二に、仮に別の事由(例えば在留期間の経過)で退去強制手続に入った場合の、在留特別許可の見通しが変わります。入管法50条1項の但書には加重要件が置かれており、これは無期又は1年を超える実刑(全部猶予、及び一部猶予で実刑部分が1年以下のものを除く)で発動します。全部執行猶予であればこの加重要件は発動しません。第三に、身柄です。実刑であれば刑事施設での服役が続き、その満期が近づいた時点で入管の手続が接続します。執行猶予であれば判決の日に釈放され、そこから在留資格の問題に自分の足で取り組むことができます。この差は、実務上きわめて大きいものです。

執行猶予でも、在留期間の更新が当然に認められるわけではありません

ここが最も誤解されやすい点です。退去強制事由に当たらないということと、在留期間の更新や在留資格の変更が許可されるということは、別の問題です。更新・変更は法務大臣の裁量に委ねられており、出入国在留管理庁が公表しているガイドラインでは、素行が善良であることが考慮要素とされています。前科があること自体は、この素行の評価において不利に働きます。加えて、就労資格であれば勤務先での就労が続いているか、留学であれば学籍が維持されているかという、在留資格に応じた活動の実体も問われます。だからこそ、刑事の段階で不起訴を得られるか、罰金にとどまるか、執行猶予か実刑かという差が、後の入管手続に長く影響します。法務省の令和7年版犯罪白書によれば、令和6年の来日外国人被疑事件の起訴猶予率は48.35%です。起訴される前の弁護活動に意味があることを示す数字です。

判決の日に、ご家族が確認しておくべきこと

まず、判決主文の正確な文言です。刑名(拘禁刑か罰金か)、刑期、そして猶予期間の記載の有無を、伝聞ではなく判決書の文言で確認してください。次に、判決の確定日です。控訴期間が経過して確定した日が、猶予期間の起算点になります。さらに、在留カードと旅券が今どこにあるか、次の在留期間の満了日はいつか、勤務先や学校にいつどのように説明するかを、その日のうちに整理しておくことをお勧めします。ご本人が中国語しか話せない場合、判決の内容が正確に伝わっていないことが少なくありません。判決書の写しを弁護人から受け取り、中国語で説明を受けることが、次の手続の出発点になります。

中文版:在日本判缓刑还能再入境吗|超过一年的刑期与但书的读法

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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