舟渡国際法律事務所

執行猶予の判決は、在留期間の更新でどう評価されるのか 素行の要件とは

お問い合わせはこちら

執行猶予の判決は、在留期間の更新でどう評価されるのか 素行の要件とは

執行猶予の判決は、在留期間の更新でどう評価されるのか 素行の要件とは

2026/09/01

執行猶予の判決を受けた方から最も多く寄せられる質問が、「次の更新は通るのか」というものです。ここには二段構えの誤解があります。第1に、更新は届出ではなく審査であるという点。第2に、退去強制事由に当たらなければ更新も通る、という点です。どちらも正確ではありません。この記事では、更新の審査で何が見られているのか、素行が善良であるという要件の中身は何か、退去強制事由に当たらない事案でも不許可があり得るのはなぜか、そして申請までに何を整えるべきかを説明します。

更新は権利ではなく、審査です

在留期間の更新は、申請すれば当然に認められるものではありません。法務大臣が、在留を認めるに足りる相当の理由があるかどうかを判断します。出入国在留管理庁は、判断の透明性を高めるために「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」を策定・公表しており、そこに判断の要素が示されています。同ガイドラインは平成20年3月に策定され、その後も改定が重ねられています。更新の審査は、事件の有無だけを見るのではなく、その方が今後も日本で在留資格に応じた生活を続けられるかどうかを、総合的に見る作業です。

ガイドラインが挙げる判断の要素

示されている要素は、おおむね次のとおりです。行おうとする活動が在留資格に当たること。上陸許可の基準に適合していること。素行が善良であること。独立して生計を営むに足りる資産や技能があること。納税など公的な義務を履行していること。在留期間が定められた期間に適合していること。雇用や労働の条件が適正であること。これらは一つでも欠ければ直ちに不許可というものではなく、事案全体の中で重みが判断されます。刑事事件があった方の場合、素行の要素が正面から問題になり、あわせて、事件によって職を失っていないか、収入が続いているかという生計の要素も見られます。

素行が善良であることとは、何を指すのか

素行の要件は、法令に違反していないかという一点だけを指すのではありません。実務上は、退去強制事由に準ずるような刑罰法令の違反があるか、不法就労のあっせんなど他人の在留の適正を害する行為に関与していないか、たび重なる違反によって社会生活上の規律を守れていないと見られる事情があるか、といった観点から見られます。罰金であっても、執行猶予であっても、素行の判断材料になります。他方、初めての事件であること、被害が回復されていること、事件後に生活が安定していること、再発を防ぐ具体的な手当てがされていることは、いずれもこの判断の中で評価され得る事情です。

退去強制事由に当たらなくても、不許可はあります

ここが最も誤解されている点です。入管法24条4号リは、無期または1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由とし、但書で全部執行猶予を除いています。したがって、執行猶予の判決を受けただけでは同号には当たりません。しかし、退去強制事由に当たらないことと、更新が許可されることは別の判断です。退去強制は在留資格を強制的に終わらせる手続、更新は新たな在留期間を与えるかどうかの判断であり、要求される水準が違います。数字で見ても、令和7年に4号リ単独で退去強制令書が発付されたのは全国で41人にすぎませんが(出入国在留管理庁「出入国管理統計」第57表)、更新が認められなかった件数はこの数字には表れません。「退去強制されないから大丈夫」という発想は危うい、ということです。なお、在留資格の取消しは別枠で、令和7年の取消件数は1,446件と過去最高で、うち中国籍は66件でした。

更新申請までにできる具体的な準備

まず、判決書の謄本を取り寄せ、事件の経緯と処分の内容を正確に説明できるようにします。申請書の記載を事実と違えないことが出発点です。次に、勤務先が引き続き雇用する意思を持っていることを書面にしてもらいます。事件後に転職した場合は、新しい勤務先の在職証明と業務の内容が、在留資格に対応していることを示します。納税と社会保険料の未納があれば、更新の前に整理します。家族と同居している場合は、家族の在留の状況と、生活を監督する体制を書面にします。事件について反省の内容と、再発を防ぐために生活のどこを変えたのかを、具体的な事実で書きます。抽象的な決意より、通院、転職、交友関係の整理といった検証できる事実のほうが説得力を持ちます。申請の時期は、在留期間の満了日の三か月前から可能ですので、余裕をもって出してください。

不許可になった場合に何が起きるか

更新が不許可となると、在留期間の満了によって適法な在留の根拠を失います。実務では、出国の準備のために短期間の在留が認められることがありますが、これは帰国を前提とした扱いです。そのまま日本に残れば不法残留となり、入管法24条4号ロの退去強制事由に当たります。令和7年の退去強制令書発付総数7,722人のうち5,778人が不法残留であり、中国籍は432人でした(同統計)。刑事事件そのものよりも、更新の失敗から不法残留に至る経路のほうが、実際には多くの方の在留を失わせています。不許可の通知を受け取ったら、放置せず、その時点で弁護士に相談してください。

中文版:日本判缓刑影响签证吗?更新审查中的素行要件是什么

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に刑事事件の弁護

東京にて行政事件に関する対応

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。