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日本の窃盗はどのくらいの刑になるのか 法定刑と実際の量刑の距離

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日本の窃盗はどのくらいの刑になるのか 法定刑と実際の量刑の距離

日本の窃盗はどのくらいの刑になるのか 法定刑と実際の量刑の距離

2026/09/01

日本で窃盗の疑いをかけられたご本人やご家族から、最初にいただくご質問はほとんど同じです。「何年の刑になりますか」。この問いに一つの数字で答えられる弁護士はいません。窃盗という同じ罪名でも、初めての事件で被害が回復されている場合と、同種の前科を重ねている場合とでは、行き着く先が正反対になるからです。この記事では、法律が定める刑の幅、公表統計から読み取れる実際の分布、両者の距離を埋めているものは何か、そして刑の重さが在留資格にどう跳ね返るかを、順を追って説明します。

窃盗の法定刑は10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金

窃盗罪の法定刑は、10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です。ここで見落とされがちなのは、罰金という選択肢が条文の中に用意されているという点です。罰金を選べる罪では、事案が軽く被害が回復していれば、公開の法廷を開かずに書面審理で罰金を科す略式手続によって終わることがあります。これに対して詐欺のように罰金の定めがない罪では、起訴されればそれだけで公開の裁判になります。窃盗が重い罪か軽い罪かという問いに一言で答えられないのは、この幅の広さが理由です。なお令和4年改正刑法により、日本の自由刑は拘禁刑に一本化されています。中国語圏の情報サイトでは今も旧来の訳語が使われていますが、現在の判決の言い渡しは拘禁刑です。

実際に言い渡される刑は、幅の下の方に集まっている

上限が10年であっても、その近辺の刑が選ばれるのは、組織的に反復された侵入盗のような限られた類型です。法務省『令和7年版犯罪白書』(対象年次は令和6年)によれば、通訳を要する被告人の通常第一審で有罪となった4,388人の内訳は、3年を超える実刑282人、3年以下の実刑155人、3年以下の全部執行猶予1,377人、2年未満の実刑141人、2年未満の全部執行猶予1,981人、1年未満の実刑63人、1年未満の全部執行猶予385人、無期4人でした。全部執行猶予の割合は全罪名で85.3%、入管法違反を除いても74.8%です。これは窃盗に限った集計ではありませんが、外国籍の被告人の裁判が実刑一色ではないことは、この数字が示しています。

初犯で被害が回復されている類型では、起訴されないこともある

日本では、検察官が事件ごとに起訴するかどうかを裁量で決めます。同じ事実でも、被害弁償と示談が成立し、身元引受人がいて、再犯のおそれが小さいと判断されれば、起訴猶予という不起訴処分で終わることがあります。法務省『令和7年版犯罪白書』によれば、令和6年の来日外国人被疑事件の起訴猶予率は48.35%でした。ただし窃盗に限ると起訴率は来日外国人52.53%で、全体の44.84%より7.7ポイント高く、終局処理人員は3,890人です。ここでいう来日外国人とは、警察庁と法務省の統計上の用語で、永住者、永住者の配偶者等、特別永住者、在日米軍関係者、在留資格不明者を除いた外国人を指します。日本に暮らす外国人全体の数字ではない点に注意してください。起訴前に動ける時間は、逮捕から起訴・不起訴の判断まで最大でも23日しかありません。

同種前科が重なると、同じ窃盗でも結論が反転する

他方で、量刑が急に重くなる分岐点があります。第一に、盗犯等の防止及び処分に関する法律には、常習として窃盗を繰り返した者を加重して処罰する規定があり、一定の前科要件を満たすと法定刑の下限が引き上げられ、執行猶予に届かせること自体が難しくなります。第二に、前の裁判の執行猶予期間中に再び罪を犯した場合には、刑法26条による執行猶予の必要的取消しの問題が生じ、前の刑と合わせて服役することになりかねません。第三に、被害品が転売目的でまとめて持ち出されている、道具を用意している、複数人で役割を分けているといった事情があると、たとえ被害額が大きくなくても計画性と組織性が重く評価されます。同じ窃盗でも、この分岐のどちら側にいるかで見通しはまったく変わります。

刑の重さは、そのまま在留資格の帰趨を決める

出入国管理及び難民認定法(入管法)24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としています。重要なのは但書で、全部執行猶予が付いた場合は除かれるという点です。「執行猶予でも強制送還される」という説明が中国語圏に広く流布していますが、少なくともこの号については正しくありません。出入国管理統計(令和7年)によれば、4号リ単独による退去強制令書の発付は全国で41人、うち中国籍は11人、不法残留との並立を含めても中国籍は47人です。同年の退令発付総数7,722人のうち圧倒的多数は不法残留の5,778人でした。もっとも、退去強制事由に当たらないことと、在留期間の更新が認められることは別問題です。更新の審査では素行が独立に評価されますから、罰金や執行猶予で終わった場合でも、更新の場面で結果があらためて問われます。

ご家族が今日できること

刑の見通しを動かせる時間は起訴前に集中しています。ご家族には、次の準備をお願いしています。第一に、ご本人の在留カードと旅券の所在を確認すること。第二に、被害弁償に充てられる原資の目処を立てること。金額の多寡より、いつ用意できるかが決定的です。第三に、身元引受を引き受けられる方を決め、住居と就労先または通学先が維持されていることを示せる資料を集めること。第四に、勤務先や学校への説明の時期を弁護人と相談してから決めること。先走った説明が解雇や退学につながり、かえって処分を重くすることがあります。第五に、逮捕直後は面会が制限されることが多いため、衣類や現金の差し入れと、弁護人を通じた連絡経路を早く確保することです。

中文版:日本 盗窃 判几年刑:法定刑与实际量刑之间的距离

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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