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取調べの録音録画は、どの事件で行われますか。外国人事件での意味

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取調べの録音録画は、どの事件で行われますか。外国人事件での意味

取調べの録音録画は、どの事件で行われますか。外国人事件での意味

2026/09/01

「日本の取調べは全部録画されているのですか」。中国語のご相談でよく受ける質問です。答えは、いいえ、すべてではありません。身柄を拘束された被疑者の取調べを原則として全過程にわたり録音録画する仕組みは設けられていますが、その対象は限られた類型の事件です。多くの外国人事件は対象外であり、記録として残るのは、日本語で作成された供述調書だけということが少なくありません。この記事では、対象となる事件、対象外の事件で何が起きるのか、通訳を介した供述をどう検証するのか、そして取調べで本人が守るべきことを説明します。

結論:録音録画は限られた事件だけです

取調べの録音録画が原則として義務づけられているのは、裁判員裁判の対象となる事件と、検察官が自ら捜査を行った独自捜査事件です。裁判員裁判の対象は、殺人、強盗致傷、現住建造物等放火といった重大な事件に限られます。したがって、不法残留、資格外活動、窃盗、傷害、詐欺の受け子といった、外国人の事件で数が多い類型の多くは、原則としてこの仕組みの対象外です。この点を誤解して「録画があるから大丈夫」と考えていると、後で取り返しがつきません。なお、対象外の事件であっても、捜査機関の判断で録音録画が行われることはあります。

対象外の事件では、何が記録として残るのか

対象外の事件で証拠として残るのは、多くの場合、日本語で作成された供述調書です。取調べは通訳を介して行われ、話した内容は通訳を経て日本語の文章にまとめられ、それを通訳が読み聞かせ、本人が署名押印します。ここで起きるのは、三重の変換です。中国語の話し言葉が、通訳の理解を通り、日本語の書き言葉に整理される。その過程で、ニュアンス、条件付き、時間の前後関係、あいまいな記憶が、断定的な文章に整えられてしまうことがあります。「たぶん自分もそう思った」が「自分もそう思っていた」になれば、共謀の認定に直結することがあります。録音録画がなければ、この変換の過程を後から検証する材料が残りません。

通訳を介した供述の、どこが危ういのか

第一に、方言や業界用語の問題です。中国語といっても地域差があり、通訳との相性で伝わり方が変わります。第二に、法律用語の問題です。共謀、故意、認識、未必といった概念は、日常の中国語には対応する語がなく、訳し方によって意味が変わります。第三に、質問の形式です。誘導的な問いに「はい」と答えたことが、そのまま自白として記録されることがあります。法務省『令和7年版犯罪白書』によれば、令和6年に被告人に通訳が付いた通常第一審の終局人員は4,649人で、通訳の言語は41言語に及び、中国語は726人で第2位でした(第1位はベトナム語1,794人)。通訳を要する事件は前年比で2割以上増えており、通訳の質の問題は制度全体の課題でもあります。

録音録画がない事件では、どう検証するのか

弁護人ができることはあります。第一に、早期に接見して、本人が実際に何を話したのかを記録に残すことです。取調べの直後に接見すれば、記憶が新しいうちに経過を確認できます。第二に、調書に署名する前の段階で、内容の確認方法を本人に伝えておくことです。第三に、取調べの状況、時間、質問の仕方について、本人から継続的に聴き取り、記録を積み重ねることです。第四に、公判になった場合に、調書の任意性や信用性を争う準備をすることです。これらは、事後に思いついてもできません。勾留の期間は延長を含めて最長20日ほどですから、その間に弁護人が入っているかどうかが決定的です。

取調べで、ご本人が守るべきこと

次の点を、面会や弁護人を通じて本人に伝えてください。第一に、供述するかどうかは本人が決められるということ。話したくないことは話さなくてよく、その態度を理由に不利益な扱いを受けるべきではありません。第二に、調書の内容が自分の話したことと違うと感じたら、署名を求められても署名しなくてよいということ。署名は義務ではありません。第三に、意味が分からないまま署名しないこと。通訳の読み聞かせが速すぎるとき、理解できないときは、その場で言ってよいのです。第四に、通訳がうまく伝わらないと感じたら、その旨を弁護人に伝えること。第五に、弁護人と話すまで結論を出さないこと。取調べの場で「認めれば早く帰れる」と感じても、その判断が在留資格にどう跳ね返るかまでは、その場では分かりません。

ご家族ができること

ご家族が取調べに立ち会うことはできません。しかし、できることはあります。第一に、弁護人を早く付けることです。第二に、本人の言語環境を弁護人に伝えることです。出身地、日常使う言語、日本語をどの程度理解するか、読み書きができるかといった情報は、通訳の適否を判断する材料になります。第三に、事実関係のうち、家族だけが知っている事情、たとえば就労の経緯、送金の目的、同居していた期間などを、弁護人に整理して伝えることです。第四に、本人が孤立しないよう、面会や差入れ、弁護人を通じた連絡を絶やさないことです。取調べに耐えるのは、想像以上に消耗します。外に自分を気にかけている人がいると分かっていることが、正確な供述を保つ支えになります。

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中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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