共犯者がいる事件で接見禁止が付いたとき、ご家族に何ができるのか
2026/09/01
息子が友人数人と一緒に逮捕され、面会に行ったところ「接見禁止が付いているので会えません」と言われた。手紙も渡せない。中国語圏の相談サイトにも、同じ状況の投稿が数多く見られます。共犯者がいる事件では、この接見等禁止が付くことが珍しくありません。この記事では、なぜ禁止されるのか、それでも弁護人だけが会えるのはなぜか、家族が今できることは何か、そして共犯者やそのご家族と連絡を取ることがなぜ事態を悪化させるのかを説明します。
接見等禁止とは何か
勾留されている被疑者について、裁判官は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときに、弁護人以外の者との接見を禁じ、書類や物の授受を禁ずることができます(刑事訴訟法81条)。これが接見等禁止です。禁止の対象は面会と手紙が中心で、衣類や現金の差し入れまでは禁じられないことが多いのですが、この点も決定の内容によります。まず、どこまでが禁じられているのかを弁護人に確認してください。
なぜ共犯事件で付きやすいのか
共犯者がいる事件では、外部と連絡が取れると口裏合わせが可能になると考えられ、罪証隠滅のおそれが認められやすくなります。組織性の高い事案では、さらにその傾向が強まります。警察庁の「令和6年における組織犯罪の情勢」によれば、令和6年中の来日外国人による刑法犯の共犯事件率は41.1%で、日本人の12.5%の約3.3倍でした。母数の性質が異なる数字ですから単純な比較はできませんが、外国籍の方の事件が共犯構成で立件されやすい傾向を示しています。共犯事件になれば、その分、接見等禁止が付く場面も増えます。
弁護人だけが会えるのはなぜか
刑事訴訟法は、身体の拘束を受けている被疑者が、弁護人と立会人なしに接見し、書類や物の授受をすることができると定めています(同法39条1項)。この権利は、接見等禁止の決定によっても制限されません。したがって、家族が会えない状況でも、弁護人は本人に会い、話を聞き、外の状況を伝えることができます。接見等禁止が付いた事件で、弁護人の選任が持つ意味は、通常の事件よりもはるかに大きくなります。ご本人が身体を拘束されている場合、ご家族からの依頼で弁護人が接見に行くことができます。
ご家族が今できること
第一に、弁護人を通じた情報のやり取りです。健康状態、常用薬、持病、家族の様子といった、事件の内容に触れない事柄であれば、弁護人が本人に伝えることに支障はありません。第二に、差し入れです。手紙が止まっていても、衣類や現金の差し入れは認められることが多く、これは本人の生活を直接支えます。第三に、資料の収集です。身元引受書、勤務先や学校の状況を示す書面、被害弁償に充てられる資金の準備、在留カードと旅券の所在の確認。これらは接見等禁止の解除を求める際にも、起訴猶予を求める際にも、その後の在留手続でも使います。
接見等禁止は解除できるのか
できる場合があります。弁護人は、接見等禁止の決定に対して不服を申し立てることができ、また、家族との面会に限って禁止を解除するよう求めることもできます。事件の内容を知らない幼い子どもや、日本語を解しない高齢の親との面会について、一部解除が認められる例があります。すべての事件で通るわけではありませんが、申し立てなければ何も変わりません。捜査の進み具合によって判断が変わることもありますので、時期を見て複数回試みる価値があります。
共犯者やそのご家族と連絡を取ってはいけない理由
これは強く申し上げます。共犯者本人、その家族、あるいは事件の関係者と連絡を取り、事件の話をすることは絶対に避けてください。悪意がなくても、「どう話しているか」を確かめる行為は、口裏合わせと評価されます。その事実が捜査機関の知るところとなれば、罪証隠滅のおそれが現実化したと判断され、勾留の延長、接見等禁止の維持、そして本人の処分の重さに直結します。ご家族が良かれと思って行った連絡が、本人の身柄を長引かせた例は少なくありません。連絡を取る必要があると感じたときは、必ず先に弁護人に相談してください。
在留資格への波及も同時に見ておく
共犯事件は、否認や共犯者間の供述の食い違いによって長期化しやすく、身体拘束が長引きます。在留資格を持つ方であれば、その間に在留期限が到来したり、在留資格に応じた活動を継続していない状態が続いたりします。入管法は、在留資格に応じた活動を継続して三か月以上行っていない場合を在留資格の取消事由の一つとしています(同法22条の4第1項第5号)。刑事事件の見通しと並行して、在留の期限と手続を確認しておくことが必要です。刑事の弁護と入管の手続を同じ窓口で見られる体制を、早い段階で作っておくことをお勧めします。
中国語対応の刑事弁護のご相談
舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。
お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119
この記事を書いた弁護士
松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。
本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。
----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639
東京にて中国人の方をサポート
東京を中心に刑事事件の弁護
----------------------------------------------------------------------