中国籍のご家族が日本で逮捕された 最初の72時間と20日間に何が起きるのか
2026/09/01
中国にお住まいのご家族から「息子が日本で警察に連れて行かれたようだ」というご連絡をいただくことがあります。この時期に最もつらいのは、何が起きているのか分からないまま日数だけが過ぎることです。日本の刑事手続では、逮捕された後の身柄の扱いに法律で決まった時間の区切りがあり、どの日に何が判断されるのかは、あらかじめ分かります。この記事では逮捕された日を0日目として日付を追いながら、ご家族が動ける時間の窓がどこにあるのかを説明します。
逮捕から72時間 警察に48時間、検察官に24時間
逮捕された方の身柄は、まず警察署の留置施設に置かれます。警察(司法警察員)は、逮捕したときから48時間以内に、事件と身柄を検察官に送致しなければなりません。送致を受けた検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ逮捕したときから72時間以内に、裁判官に勾留を請求するか、身柄を釈放するかを決めます。この72時間は法律上の上限であって、目安ではありません。土曜日も日曜日も祝日も止まりません。金曜の夜に逮捕された方であっても、月曜の昼には勾留請求まで進んでいるのが普通です。そしてこの間、ご本人が外部に自由に電話をかけることは通常できません。ご家族に何の連絡も来ないのは、事件が重いからではなく、この構造によるものです。
最初の勾留10日間 捜査の骨格が固まる時期
裁判官が勾留を認めると、勾留請求の日から原則として10日間、身柄拘束が続きます。捜査機関にとっては取調べと裏付け捜査の期間ですが、弁護人にとっては、被害者のいる事件であれば謝罪と被害弁償の申入れを始め、住居と身元引受の体制を整え、勾留を続ける必要がないことを主張する期間です。参考までに、令和6年の検察統計(全国籍・全事件)では、逮捕後の措置のうち勾留が許可されたものが9万1,358件、却下されたものが4,154件で、請求に対する許可の割合は95.7%という計算になります。国籍別の内訳は公表されていませんので、外国籍の方について別の数字があるわけではありません。この数字が示しているのは、勾留は原則として認められる前提で手続が動き始めるということです。
勾留延長のもう10日間 合計20日という上限
やむを得ない事由があると裁判官が判断すると、勾留はさらに10日を限度として延長されます。最初の10日と合わせて最大20日です。共犯者がいる事件、通訳を要する事件、国外に関係者や送金の流れがある事件では、延長されることが多いのが実情です。延長は自動的に決まるものではなく、検察官の請求に対して裁判官が判断します。したがって、延長の必要がないという意見を弁護人が出すことができます。逆に言えば、延長の判断がされる日を知らないまま過ごせば、その機会は失われます。
日付で見る全体像
おおよその流れを日付で並べると次のようになります。実際には勾留請求の日や決定の日が半日ずれることがありますので、目安としてご覧ください。
| 0日目 | 逮捕。警察署の留置施設へ |
| 0〜2日目 | 警察の48時間。取調べが始まる |
| 2〜3日目 | 検察官へ送致。検察官の24時間 |
| 3日目ごろ | 裁判官による勾留質問と勾留の決定 |
| 3〜13日目 | 最初の勾留10日間 |
| 12日目ごろ | 勾留延長の請求と、その判断 |
| 13〜23日目 | 延長された10日間 |
| 23日目ごろ | 起訴するか、不起訴とするかの判断 |
ご家族が動ける窓はどこにあるか
弁護人の選任は、逮捕された当日から可能です。勾留が決まるのを待つ必要はありません。むしろ72時間の中で弁護人が接見し、ご本人の言い分を確かめ、勾留の必要がないことを検察官と裁判官に伝えられるかどうかが、その後の20日を左右します。ご家族の側でこの時期にできるのは、住居の家賃と携帯電話の契約を止めないこと、在留カードと旅券の所在を確かめること、身元引受人になれる方を決めておくこと、被害弁償が必要になったときの原資を用意しておくことです。いずれも弁護人が裁判所に示す材料になります。
20日が終わった後に何が続くか
勾留の満期日までに、検察官は起訴するか不起訴とするかを決めます。法務省『令和7年版 犯罪白書』(対象年次・令和6年)によれば、来日外国人の被疑事件の終局処理人員1万8,696人のうち、起訴猶予は7,478人で、起訴猶予率は48.35%でした。約半数が起訴猶予、すなわち不起訴になっているということです。これは結果を約束する数字ではありませんが、起訴される前の段階での弁護活動に意味があることを示しています。起訴された場合には、そこで初めて保釈の請求ができるようになります。起訴前の保釈という制度は日本にはありません。そして刑事の処分が決まった後には、在留資格の問題が続きます。刑事と入管は別の手続ですが、切れ目なくつながっています。
中文版:在日本被警察抓了怎么办:最初的72小时与之后的20天究竟会发生什么
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舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。
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この記事を書いた弁護士
松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。
本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。
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