経営・管理の在留資格で無免許のまま運転していた場合に何が起きるか
2026/09/01
日本で会社を設立し、経営・管理の在留資格で滞在している方から、「中国の免許証は持っているが、日本の免許は取っていない。運転してしまった」というご相談を受けることがあります。国際運転免許証や外国免許証の翻訳文の制度は、対象となる条約や国・地域が限られており、中国本土の免許証はこれに含まれません。つまり、日本の免許に切り替えないまま運転すれば無免許運転です。この記事では、無免許運転が交通事故と重なったときに何が起き、別表第一の在留資格であることがなぜ決定的な意味を持つのかを説明します。
報じられている事件
産経ニュースが2026年6月26日に報じたところによれば、東京都文京区で、中国籍の23歳の会社役員の男性が、交差点を高速で右折して縁石に衝突し、その反動で中央分離帯を越えて対向車線の信号待ちの車2台に衝突し、男女3人に軽傷を負わせた疑いで逮捕されました。報道によれば、この男性は在留資格「経営・管理」で滞在し、日本の運転免許は取得していませんでした。事故直前は時速100キロメートルまで加速していたとされ、当初は安全運転義務違反で逮捕された後、危険運転致傷に切り替えて送検されたと報じられています。疑いで逮捕されたと報じられているにとどまり、起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。
別表第一であることが決定的な意味を持つ理由
入管法24条4号の2は、退去強制事由のうち、別表第一の在留資格をもって在留する人にだけ適用される特定の犯罪を定めた号です。ここに危険運転致死傷(自動車運転死傷処罰法2条・6条1項)が挙げられています。経営・管理は別表第一の在留資格です。したがって、この号の適用対象になります。他方、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者は別表第二であり、この号は適用されません。令和7年末の在留外国人統計では、中国籍の在留者は約93万人で、そのうち永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者を合わせると約47パーセントに達します。裏を返せば、残る約半数は別表第一であり、この条文の射程の中にいます。経営・管理の在留者は約2万4,800人です。同じ事故を起こしても、在留資格の別表がどちらかによって、退去強制事由の該当性がまったく違ってくるのです。
無免許は罪名を一段重くする
自動車運転死傷処罰法6条1項は、危険運転致傷の行為者が無免許であった場合の加重を定めています。つまり無免許は、単に道路交通法違反として別に処罰されるだけでなく、致傷の法定刑そのものを引き上げます。さらに、無免許であったという事実は、量刑の場面で「そもそも運転してはならない者が運転した」という評価につながり、示談が成立していても実刑を回避しにくくする方向に働きます。経営者の方は、事業の継続を理由に運転の必要性を説明されることがありますが、その説明は、必要性があったのに免許を取得しなかったという不利な評価にも転じ得ます。
刑事処分が確定する前から在留は動く
実刑で退去強制まで至らなくても、経営・管理の在留期間更新の場面では、素行が善良であることが審査されます。罰金であっても、審査では事実として現れます。加えて、身柄拘束が長引けば会社の事業活動そのものが止まり、事務所の実体、常勤職員、事業の継続性という経営・管理の在留資格該当性の前提が崩れます。取締役が拘束されている間に決算期や税務申告、社会保険の手続が来ることも多く、更新申請の際に説明を求められる材料が積み上がっていきます。刑事の見通しと並行して、会社をどう維持するかを設計する必要があります。
ご家族と会社の担当者が今日できること
まず、免許の有無に関する事実を正確に確認してください。中国の免許証の有無、外国免許の切替え手続をどこまで進めていたか、過去に日本で運転していた期間はどれくらいか。これらは供述の前提になりますから、記憶ではなく資料で確認します。次に、会社側では、代表者が不在の間の決裁権限、給与支払い、取引先への説明の担当を決めます。被害者が複数いる事故では、示談は一人ずつ進みますから、着手の順序と資金の準備を早く整えるほど選択肢が残ります。初回のご相談は無料ですので、ご本人が拘束されている段階でも、ご家族や会社の方からご連絡ください。
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舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。
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この記事を書いた弁護士
松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。
本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。
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