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飲酒運転の車に乗っていた同乗者が不起訴になった。何が判断を分けたのか

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飲酒運転の車に乗っていた同乗者が不起訴になった。何が判断を分けたのか

飲酒運転の車に乗っていた同乗者が不起訴になった。何が判断を分けたのか

2026/09/01

飲酒運転の車に乗っていたというだけで、同乗者も同じように処罰されるのでしょうか。産経ニュースが報じた埼玉県三郷市の事案では、2025年5月18日に中国籍の解体工の男性(当時42)が、下校中の小学6年の男子児童4人の列に車で衝突し、救護せずに立ち去ったとして逮捕されました。報道によれば、事故当日の昼に中華料理店で飲酒しており、後に、賠償の見込みと反省が考慮されて執行猶予付きの判決が言い渡されています(報道の表記は懲役2年6か月・執行猶予4年です。判決当時の表記であり、令和4年改正刑法により現在は拘禁刑に一本化されています)。この事案では、同乗していた中国籍の男性(当時25)について、道路交通法65条4項の関係で不起訴となったと報じられました。この記事では、同乗者の責任がどこで分かれるのかを説明します。

同乗者を処罰する規定は、どういう作りになっているか

道路交通法65条4項は、車両等の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、その運転者に対して自分を運送するよう要求し、または依頼して、その車両に同乗することを禁じています。ここで押さえるべきは、二つの要素が同時に必要だという点です。一つは、運転者が酒気を帯びていることを知っていたこと。もう一つは、自分を運んでもらうよう要求または依頼して乗ったことです。単に隣に座っていた、たまたま乗り合わせた、というだけでは、この規定の枠には入りません。逆に、飲食の席から「送ってほしい」と頼んで乗ったのであれば、要求または依頼の要素は満たされやすくなります。日本の飲酒運転対策は、運転者だけでなく、車を提供した人、酒類を提供した人、そして同乗した人にも責任が及ぶ構造をとっており、同乗者の処罰はその一環です。

「知っていた」は、どのように認定されるのか

実務で最も争われるのは、運転者の飲酒を知っていたかどうかです。同じ席で一緒に飲んでいた場合には、認識があったと認定されやすくなります。逆に、途中から合流した、別の部屋にいた、運転者が飲んでいたのは離れた時間帯で、乗車の直前には飲酒を示す様子が見えなかった、といった事情があれば、認識を争う余地が生まれます。認定の材料になるのは、飲食店の伝票、注文の履歴、防犯カメラの映像、同席者の供述、通信アプリでの誘い方や待ち合わせのやり取りです。運転者が飲酒を否定していた、ノンアルコール飲料を飲んでいると説明していた、といった事情があれば、それを裏づける会話の記録が防御の中心になります。取調べで「たぶん飲んでいたと思う」と述べると、それだけで認識があったと整理されかねません。記憶が曖昧な点は曖昧なままに述べることが、後の争いを残すことにつながります。

乗車の経緯が、結論を分ける

もう一つの要素である要求または依頼については、乗るに至った経緯が決め手になります。自分から送迎を頼んだのか、運転者から誘われて断りきれずに乗ったのか、公共交通の終了時刻や現場の状況からほかに帰る手段があったのか、代行運転を呼ぼうと提案していたのか。こうした事情は、責任の有無だけでなく、責任があるとしても起訴するかどうかの判断に影響します。令和6年の犯罪白書によれば、来日外国人被疑事件の起訴猶予率は48.35パーセントであり、事情によって起訴前に処分が決まる事件は少なくありません。報じられた事案でも、運転者は起訴されて有罪判決を受け、同乗者は不起訴となっており、同じ車に乗っていた二人の結論が分かれています。同乗者だから軽く済むという一般則があるのではなく、認識と経緯という要件の当てはめが結論を分けたと理解するのが正確です。

不起訴になっても、確認しておくべきこと

不起訴となれば、有罪判決を前提とする退去強制事由には該当しません。無期または1年を超える拘禁刑の実刑を受けた場合の退去強制事由(入管法24条4号リ)は、そもそも問題になりません。もっとも、逮捕や取調べを受けた事実自体は残ります。勤務先を長期間休んだ結果として退職に至れば、就労資格の方は在留資格に応じた活動の実体を失い、在留資格の取消し(入管法22条の4)の問題が生じ得ます。留学中の方であれば、出席日数や学業の継続に影響します。不起訴の場合、その事実を示す書面の交付を検察庁に求めることができますので、後の在留手続で説明を求められたときのために、取得しておくと安心です。あわせて、運転者側の事故の被害者との関係では、同乗者に賠償責任が生じる場面は限られますが、事故の状況について事情を聴かれる立場になることはあります。

飲酒の席に車がある日の、具体的な備え

この類型は、事前の行動で避けられる数少ない事件です。飲食の席に運転してきた人がいる場合は、店に着いた時点で帰りの手段を決めておくこと、運転者が飲むと分かった時点で代行運転や公共交通の利用を提案すること、そのやり取りを通信アプリに残しておくことが、実務的な備えになります。すでに事件になってしまった場合には、飲食店の伝票、注文履歴、同席者の連絡先、当日のやり取りを保全してください。ご家族としては、ご本人が身柄を拘束された場合に備え、在留カードと旅券の所在、勤務先や学校への連絡の要否、身元引受を引き受けられる方の有無を、早い段階で整理しておくことをお勧めします。取調べでは、通訳が入っていない場面で調書に署名しないこと、記憶にないことを推測で答えないことを、ご本人に伝えてください。

中文版:乘坐酒驾车辆的同乘者获得不起诉,究竟是什么分开了结论

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舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

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この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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