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「友人とトランプをしていただけ」という否認は、賭博開張図利にどこまで通じるか

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「友人とトランプをしていただけ」という否認は、賭博開張図利にどこまで通じるか

「友人とトランプをしていただけ」という否認は、賭博開張図利にどこまで通じるか

2026/09/01

友人同士でカードゲームをして少額を賭けたことが、そのまま重い犯罪になるわけではありません。しかし、部屋を用意し、参加者から金銭を集める仕組みができあがると、評価は一変します。2025年5月11日の共同通信の報道(旅日僑網が引用)によると、東京都豊島区のマンションの一室で中国人客を対象としたポーカー賭博を開いていたとして、中国籍の男女3人が賭博開張図利の疑いで逮捕されました。報道では、1日あたり約8人から12人の客があり、約10か月で6000万円を超える不法収益があったとされ、3人のうち1人は容疑を認め、2人は「友人とトランプをしていただけ」と否認していると伝えられています。起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。この記事では、この否認がどこまで通じるのかを整理します。

賭け事そのものと、賭博場を開くことは別の犯罪です

日本の刑法は、賭け事に加わった者を処罰する規定と、賭博の場を開いて利益を図った者を処罰する規定を、別に置いています。前者は、その場に居合わせて賭けた者を対象とし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまる場合は処罰されません。飲食代や少額の景品を賭けた程度であれば、この例外に収まる余地があります。これに対して後者は、賭博をする場所を主宰し、そこから利益を得る立場に着目した犯罪です。法定刑は前者より重く、参加者としての責任とは質が異なります。捜査機関がマンションの一室に踏み込むとき、狙っているのは通常この後者です。したがって、争点は「賭けたかどうか」ではなく、「場を主宰して利益を得ていたのはだれか」に移ります。この構造を理解しないまま、賭けた事実だけを否定しようとすると、防御の方向を誤ります。

「開張」を基礎づける三つの外形

実務で、場を主宰していたかどうかを判断する材料になるのは、おおむね三つです。第一に、場所の提供です。誰が部屋を借り、賃料を払い、鍵を管理し、机や配牌の道具を用意していたか。賃貸借契約書、家賃の送金記録、鍵の所持者、内装や設備の購入履歴が資料になります。第二に、手数料の徴収です。参加者から場代を取っていたか、勝ち金の一部を差し引いていたか、チップを換金する仕組みがあったか。現金の管理者、集計のためのノートや表計算のデータ、決済アプリの履歴が中心の証拠になります。第三に、客の募集です。交流サイトや通信アプリのグループで参加者を集めていたか、常連に開催日を知らせていたか、初めての客を紹介制で入れていたか。この三つがそろえば、単なる遊びとは評価されません。逆に、いずれか一つしか関与していない者、たとえば部屋を貸しただけの者や、飲み物を運んでいただけの者については、主宰者と同じ責任を負うのかを個別に検討する余地が生まれます。役割の違いを日ごとに整理して主張することが、この類型の弁護の中心になります。

「友人と遊んでいただけ」が成り立つ場面、成り立たない場面

この説明が説得力を持つのは、参加者が固定した知人に限られ、場代の徴収がなく、収支が参加者の間だけで完結し、開催が不定期である場合です。逆に、面識のない客が入れ替わりで訪れる、一日の来客数がある程度そろっている、長期間にわたって同じ場所で続いている、収益が積み上がっているという事情があると、友人同士の遊興という説明は維持しにくくなります。報道されている内容が事実であるかは今後の手続で確かめられることですが、来客数と期間、収益の規模が問題にされているのは、まさにこの点が争点だからです。否認する場合には、単に否定するのではなく、部屋の使用態様、金銭の流れ、参加者との関係を具体的に説明できるかどうかが分かれ目になります。なお、賭博に加わった側の客についても、一時の娯楽に供する物の範囲を超えていれば責任が問われ得ますので、「自分は客だから関係ない」という理解も正確ではありません。

否認事件の身柄と、収益の行方

共犯者のうち一部が認め、一部が否認している事件では、否認している側の身柄拘束が長引く傾向があります。共犯者の供述の整合性を確かめる必要があるとして、接見禁止が付されることも珍しくありません。令和6年の検察統計(全国籍)では、勾留請求に対する裁判所の許可は91,358件、却下は4,154件であり、計算すると許可率は95.7パーセントになります。国籍別の内訳は公表されていませんので、外国人だから勾留されやすいという言い方を統計で裏づけることはできませんが、住居や身元引受人の確保が勾留の判断に影響することは実務上明らかです。また、賭博で得られた収益は、没収や追徴の対象になり得ます。報道されている収益額がそのまま認定されるとは限らず、期間、来客数、一人あたりの金額のどれをとっても、認定の根拠が争われます。金額の認定は量刑に直結しますので、概括的な数字を早い段階で認めてしまわないことが重要です。

在留資格への影響と、今日できること

賭博開張図利は、薬物関係の罪のように刑の軽重を問わず退去強制事由となる類型ではありません。退去強制との関係で問題になるのは、無期または1年を超える拘禁刑の実刑(全部執行猶予は除かれます)を受けた場合の退去強制事由(入管法24条4号リ)です。令和7年の出入国管理統計では、この事由単独での退去強制令書の発付は全国で41人、中国籍は11人でした。もっとも、実刑に至らない場合でも、在留期間の更新や在留資格の変更の審査における素行の評価には影響しますし、身柄拘束が長引けば就労や学業の実体が失われ、在留資格の取消し(入管法22条の4)の問題が生じます。ご家族としては、まず賃貸借契約書や送金記録など、部屋と金銭の管理者を示す資料を保全してください。通信アプリのグループのやり取りは、募集の有無を示す資料であると同時に、本人が主宰者でなかったことを示す資料にもなり得ますので、削除しないでください。そして、接見に行かれる際は、共犯者の供述に引きずられて事実と異なる説明をしないよう、ご本人に伝えてください。

中文版:“只是和朋友打牌而已”这样的否认,在赌博开张图利罪面前能走多远

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

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この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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