舟渡国際法律事務所

白タクは三つの形で摘発される。運転する人、名義を貸す人、そして高度専門職の人

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白タクは三つの形で摘発される。運転する人、名義を貸す人、そして高度専門職の人

白タクは三つの形で摘発される。運転する人、名義を貸す人、そして高度専門職の人

2026/09/01

在日中国人の方が観光客を車で送迎する行為は、条件によっては道路運送法違反として摘発されます。いわゆる白タクです。報道を並べると、この類型は三つの異なる形で現れることが分かります。運転して運賃を受け取る形、事業者が名義を貸す形、そして本来はまったく別の仕事のために在留資格を得ている人が休日に運転する形です。この記事では、実際に報じられた三つの事案を対比しながら、有償性と業としての要件、資格外活動が同時に問題になる理由、在留資格ごとに結末がどう分かれるのかを説明します。以下に挙げる事案は、いずれも起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。

報じられた三つの形

第一の形は、自分で運転して運賃を受け取る類型です。2025年10月29日の新潟日報の報道によると、富山市の会社員である中国籍の男性(44)が、新潟東港でクルーズ船の乗客を自家用車で運び運賃を受け取ったとして、道路運送法違反の疑いで摘発されました。報道では、同県で外国人観光客を対象とした白タクの摘発は初めてとされています。第二の形は、名義を貸す類型です。2026年7月22日の産経新聞の報道によると、東京都中野区のハイヤー会社の実質的経営者である中国籍の男性(41)が、自社名義で登録した緑ナンバーの車両を運転手らに貸与したとして、道路運送法違反(名義貸し)の疑いで逮捕されました。名義使用料は、2024年11月から2026年5月にかけて約3800万円に上るとされています。第三の形は、就労資格を持つ人が運転する類型です。2026年7月12日の産経新聞および共同通信の報道によると、在留資格「高度専門職」で在留する中国籍のシステムエンジニアの男性(42)が、米国籍の観光客3人を正規料金の約1割高い金額で運送したとして、東京駅前で声をかけていたところを現行犯逮捕されました。報道によれば本人は容疑を否認しています。

「有償」と「業として」は、どこで線が引かれるのか

この類型で最初に争われるのは、受け取った金銭が運賃なのか、実費の分担なのかという点です。知人を送って高速道路料金とガソリン代を折半しただけであれば、直ちに有償運送とは言えません。他方、走行距離や時間に応じて金額が決まっている、あらかじめ料金表がある、実費を上回る金額を受け取っている、といった事情があれば、運送の対価と評価されやすくなります。決済アプリの履歴、送迎の依頼を受けた通信アプリのやり取り、車内での金銭授受の状況が、ここでの主要な証拠になります。次に問題になるのが、反復継続して行っていたかという点です。一度限りの好意であれば事業性は認めにくいのに対し、案内所や交流サイトで客を募っていた、複数の運転手と配車を分担していた、同じ港や空港に繰り返し現れていたという事情があれば、事業として行っていたと評価されます。第三の形の事案で、東京駅前で声をかけていたところを摘発されたと報じられているのは、まさに客の募集という外形が捉えられたためです。

名義貸しが別に重く扱われる理由

第二の形は、自分がハンドルを握っていません。それでも独立して摘発されるのは、事業許可の制度が、車両と運転者を管理する責任と一体で与えられているからです。名義だけを貸して実際の運行管理を放棄すれば、事故時の責任の所在も、運転者の適格性の確認も失われます。実務上の争点は、貸主が誰に、どのような使われ方をすると認識していたかという点に集約されます。使用料の受領は、認識を推認させる有力な事情です。あわせて、多額の名義使用料は、犯罪収益としての没収・追徴の対象になり得るほか、税務上の処理にも波及します。事業許可が取り消されれば、経営者本人の在留資格に応じた活動の実体そのものが失われますから、刑事処分より先に在留の問題が動き出すことがあります。

資格外活動が同時に走り出す

白タクの事案では、道路運送法の問題だけでは終わらないことが多くあります。就労を認められた在留資格は、認められた活動の範囲でのみ収入を伴う活動ができるという構造になっているため、運送で収入を得れば資格外活動の問題が並走します。ここは在留資格によって帰結が分かれます。「高度専門職」「技術・人文知識・国際業務」「経営・管理」といった別表第一の在留資格の方は、本来の活動と無関係な運送で報酬を得ていたと評価されると、在留期間の更新や資格の再評価で不利に働きます。資格外活動を専ら行っていたと評価される場合には、退去強制事由(入管法24条4号イ)の問題にもなり得ます。「留学」の方は、資格外活動の許可を得ていても時間の上限があり、運送のような業務が許可の範囲に含まれるかという問題が生じます。他方、「永住者」「日本人の配偶者等」「定住者」といった身分に基づく在留資格の方は就労の制限がありませんので、資格外活動の問題は生じません。もっとも、素行の評価や、無期または1年を超える拘禁刑の実刑を受けた場合の退去強制事由(入管法24条4号リ)は、どの在留資格でも共通の問題として残ります。

摘発されたとき、最初に整えるもの

まず、受け取った金銭の性質を裏づける資料を保全してください。決済履歴、通信アプリのやり取り、給油の記録、高速道路の利用明細は、実費の分担であったという主張の裏づけにも、逆の認定の材料にもなります。削除は避けてください。次に、送迎の頻度と相手方を、日付ごとに整理してください。反復継続性の評価は、全体の印象ではなく個々の日の事実の積み重ねで決まります。名義貸しが問題となっている場合は、貸与の相手方、使用料の入金経路、運行管理の実態を示す資料が中心になります。在留資格については、勤務先の在職証明、給与明細、実際の業務内容を示す資料を早めに用意してください。刑事処分が軽くても、本業の実体が失われれば在留は維持できません。ご家族としては、在留カードと旅券の所在を確認し、勤務先への説明の時期を弁護人と相談したうえで決めることをお勧めします。

中文版:黑车有三种被查处的形态:开车的人、借出名义的人,以及持高度专门职的人

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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