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在留カードの画像を渡しただけなのに、助成金詐欺の名義に使われていた

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在留カードの画像を渡しただけなのに、助成金詐欺の名義に使われていた

在留カードの画像を渡しただけなのに、助成金詐欺の名義に使われていた

2026/09/01

在留カードの画像を、勤め先の候補や知人に軽い気持ちで送ってしまうことがあります。2023年10月6日の読売新聞の報道によると、福岡市博多区の台湾料理店を経営する中国籍の男性(27)ら男女4人が、中国人留学生を雇用して休業手当を支給したかのように装い、緊急雇用安定助成金を3回にわたり計約57万円申請したとして詐欺の疑いで逮捕されました。報道では、実際には留学生を雇用しておらず、在留カードの画像データだけが利用されていたとされ、名義を使われた留学生が、税務申告の書類に身に覚えのない就労記録があることに気づいて届け出たことから発覚したと伝えられています。起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。この記事では、名義を使われた側が何に気づき、どう動くべきかを説明します。

名義を使われたことに気づく経路は、たいてい税と保険の書類です

自分の名前が使われていることに、本人が直接気づくことはほとんどありません。気づく入口になるのは、税と社会保険の書類です。給与を支払ったとされた会社は、市区町村に給与支払報告書を提出します。すると翌年の住民税の課税資料に、働いた覚えのない会社の名前と収入が現れます。学生の場合は、国民健康保険料の算定額が急に上がる、授業料の減免や奨学金の所得審査で見慣れない収入が計上される、といった形で表面化することもあります。年末調整や確定申告のために源泉徴収票を集めた際に、覚えのない支払者が出てくることもあります。留学生にとってこれは深刻です。資格外活動の許可には1週間あたりの上限時間があり、名義上の就労が加算されれば、上限を超えて働いていたかのような外形が出来上がってしまうからです。在留期間の更新や在留資格の変更の審査では、課税・納税の証明書が提出資料になりますので、身に覚えのない収入は説明を求められる材料になります。

渡した側にも刑事責任が及ぶ場面があります

「カードそのものは渡していない、画像を送っただけだ」という説明は、責任を免れる理由にはなりません。入管法は、在留カードの貸与や受供与、偽造カードの所持・提供を独立した犯罪として定めており(73条の8以下)、原本を渡す行為はそれ自体が処罰の対象になります。画像データの提供はこの類型に直接あたらない場合でも、提供した相手が公的給付の申請に使うと知っていた、あるいは、その可能性を認識しながら渡したと評価されれば、詐欺の共犯や幇助として扱われる危険があります。報酬を受け取っていた場合、金額の多寡にかかわらず、認識を推認させる事情として扱われます。実務では、通信アプリのやり取りが残っているかどうかが決定的です。「就職の相談だと思っていた」「登録に必要だと言われた」という説明を裏づける会話が残っていれば、それは有力な防御資料になります。削除してしまうと、証拠がないまま供述だけで争うことになります。

気づいたときの届出は、順番を決めて動きます

身に覚えのない就労記録を見つけたら、次の順で進めるのが実務的です。第一に、課税資料や源泉徴収票に記載された支払者の名称、支払金額、対象年を控えます。第二に、居住する市区町村の住民税の担当課に、給与支払報告書の内容に心当たりがないことを申し出て、内容の照会と修正の手続を確認します。第三に、税務署に対しても、源泉徴収票の発行元と支払の事実について申し出ます。第四に、警察に相談します。名義の冒用は、本人が被害を受けている側面がありますから、相談の記録が残ること自体に意味があります。第五に、これらの記録を整えたうえで、在留期間の更新や変更の申請の際に、経緯を説明する資料として提出できるように準備します。順番を飛ばして入管に説明だけをしても、裏づけ資料がなければ十分に評価されません。逆に、公的機関への届出の記録があれば、名義を貸したのではなく冒用されたのだという説明に厚みが出ます。

在留資格には、どこまで跳ね返るのか

詐欺の共犯として起訴され、無期または1年を超える拘禁刑の実刑(全部執行猶予は除かれます)を受けた場合には、退去強制事由(入管法24条4号リ)にあたります。もっとも、令和7年の出入国管理統計では、この事由単独での退去強制令書の発付は全国で41人にとどまり、退去強制の圧倒的多数は不法残留です。したがって、直ちに送還されるという理解は正確ではありません。実際に効いてくるのは、在留期間更新や在留資格変更の審査における素行の評価と、在留資格の取消し(入管法22条の4)です。特に留学生の場合、虚偽の就労記録によって資格外活動の上限を超えて働いていたと評価されると、学業の継続そのものが疑われます。逆に言えば、刑事処分を受けずに済むこと、そして名義を冒用された側であることを資料で示せることには、在留の観点からも大きな意味があります。令和6年の犯罪白書によれば、来日外国人被疑事件の起訴猶予率は48.35パーセントであり、起訴前の段階で処分が決まる事件が相当数あります。

名義を守るために、今日決めておくこと

在留カードは、警察官や入管職員の求めに応じて提示する場面を除き、他人に預ける必要のない書類です。アルバイトの応募で提示を求められた場合も、提示と撮影は別のことです。提示に応じるとしても、画像を送るのは採用が決まり、雇用契約書と労働条件通知書を受け取ってからで足ります。銀行口座の通帳やキャッシュカード、携帯電話の名義も同じです。ご家族の側でできることとしては、留学中のご本人に対し、毎年6月ごろに届く住民税の通知と、国民健康保険料の通知を捨てずに確認するよう伝えておくことが挙げられます。この二つは、名義の冒用に気づける数少ない機会です。すでに逮捕・任意の取調べを受けている段階であれば、通信履歴を消さないこと、報酬の受領があった場合はその事実を隠さず弁護人に伝えることが、防御の組み立てを大きく左右します。

中文版:只是把在留卡的照片发了出去,名字却被用在了补助金诈骗上

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舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

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この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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