舟渡国際法律事務所

補助金を装って受け取ると、詐欺罪と消費税法違反が同時に来る

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補助金を装って受け取ると、詐欺罪と消費税法違反が同時に来る

補助金を装って受け取ると、詐欺罪と消費税法違反が同時に来る

2026/09/01

補助金や助成金の申請に虚偽があったとき、どの法律で処理されるのかは、経営者の方にとって想像以上に重い意味を持ちます。補助金の適正化に関する法律による処罰と、刑法の詐欺罪では、法定刑も、事件の広がり方もまったく違います。さらに、同じ会社の税務処理が問題になれば、消費税をめぐる法令違反が並行して立件され、会社そのものが起訴されることもあります。この記事では、報道された事案をもとに、この重なりの構造を説明します。

報道されている事案

読売新聞、産経新聞、新周南新聞社などが2026年2月から3月にかけて報じたところによれば、山口県周南市の再生樹脂加工販売会社の実質的な経営者である中国籍の男性(37)が、二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金について、設備を導入していたのに導入していないように装って4,445万円を受給したとされ、また架空の仕入れを計上して消費税等約1,339万円の還付を不正に受けたとされ、さらに中小企業の再構築に関する補助金についても虚偽の発注書を用いて3,000万円を受給したとされています。いずれの事実についても起訴され、法人も起訴されたと報じられており、脱税については広島国税局が告発したと伝えられています。起訴されたと報じられている段階であり、有罪が確定したものではなく、被告人には無罪推定が及びます。

なぜ補助金の法律ではなく、詐欺罪なのか

補助金の交付に関しては、不正な手段で交付を受けた場合を処罰する特別の法律があります。それにもかかわらず、実務では刑法の詐欺罪で構成されることが少なくありません。理由のひとつは法定刑の差です。詐欺罪の方が重く、複数回の受給や高額の事案では、量刑の幅を確保できます。もうひとつは、事実の捉え方です。虚偽の申請によって担当者を欺き、交付決定と支払いを受けたという流れは、財物をだまし取ったという詐欺の構造にそのまま当てはまります。

弁護の観点からは、この選択が争点になり得ます。詐欺罪が成立するには、相手方が錯誤に陥り、その錯誤に基づいて交付したという関係が必要です。審査の実態として、提出された書類のどの部分が判断の決め手だったのか、現地確認は行われていたのか、担当者は何を確認していたのか。これらを丁寧に検討すると、欺かれた内容と交付との結びつきが、当初の見立てほど単純ではない事案もあります。

消費税の不正還付が同時に問題になる仕組み

補助金の申請では、設備の購入や工事の発注を示す資料を提出します。その資料が実際の取引を反映していない場合、同じ資料が税務申告にも使われていることが多く、架空の仕入れとして消費税の還付を受ける結果につながります。つまり、ひとつの虚偽の書類が、補助金の側と税の側の両方で違法を生みます。捜査機関と国税当局は、同じ帳簿と同じ発注書を見ることになりますから、一方が動けば他方も動くのが通例です。

経営者の方に理解していただきたいのは、税の側は刑事とは別のルートでも進むという点です。修正申告や納付は、刑事処分を自動的に軽くするものではありませんが、被害の回復に相当する事情として量刑で考慮され得ます。他方で、加算税や延滞税を含む納付の負担は、会社の資金繰りに直接響きます。刑事弁護人と税理士が、同じ事実関係の上で方針をそろえておく必要があります。

法人も起訴される、両罰の仕組み

行政取締法規の多くには、行為者を罰するほか、その法人にも罰金を科す規定が置かれています。両罰規定と呼ばれるもので、たとえば商標法82条や入管法76条の2がこれに当たります。法人の側は、従業者の選任監督に相当の注意を尽くしたことを示せなければ責任を免れません。したがって、法人としての弁護方針は、経営者個人の弁護とは別に立てる必要があります。両者の利害が一致しない場面もあり、その場合は別々の弁護人が就くのが通常です。

法人が起訴されると、事業への影響は刑罰そのものにとどまりません。補助金の返還請求、指名停止、取引先との契約解除、金融機関の対応など、実務上の影響が連鎖します。従業員の雇用も直撃します。

経営者が身柄を取られたとき、在留資格はどうなるか

経営・管理の在留資格は、日本で事業の経営や管理に従事することを前提としています。令和7年末の在留外国人統計では、中国籍の在留者930,428人のうち経営・管理は24,840人です。事業が停止し、あるいは代表を退けば、その資格に対応する活動を行っていない状態になります。入管法は、活動を継続して3か月以上行っていないことを在留資格の取消事由としています(22条の4第5号)。有罪判決を受けた場合には、無期または1年を超える拘禁刑に処せられたときの退去強制事由(24条4号リ)も視野に入りますが、刑の全部の執行を猶予されればこの号からは除かれます。

ご家族と会社に最初にお願いするのは、帳簿・発注書・補助金申請書一式の保全、会社の資金繰りの把握、代表者不在の間の業務体制の確定、そして在留カードと旅券の所在の確認です。書類を整理しようとして原本の状態を変えてしまうと、後で説明ができなくなります。手を加えず、そのまま保管してください。

中文版:骗取补助金,会同时面临诈骗罪与消费税法违反

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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