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立件は4点でも、押収1万8千点が量刑を支配する

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立件は4点でも、押収1万8千点が量刑を支配する

立件は4点でも、押収1万8千点が量刑を支配する

2026/09/01

起訴された事実はフリマサイトで売った4点だけ。ところが自宅と勤務先からは約1万8千点が押収されている。海賊版の事件では、このように立件された数と押収された数が大きく食い違うことがあります。そして量刑を実質的に動かすのは、しばしば後者です。この記事では、実際に報じられた著作権法違反の事件をもとに、押収規模が刑にどう作用するのか、自ら複製していたのか仕入れて転売していたのかで非難の程度がどう変わるのかを整理します。

報じられた事件の概要

2026年8月25日の伊勢新聞およびNHKの報道によれば、三重県四日市市に住む中国籍の夫婦2人(化粧品販売会社役員の男性45歳、無職の女性44歳)が、フリマサイトで違法に複製されたライブDVD等4点を販売した疑いで著作権法違反により再逮捕されたと伝えられました。先行してアニメ映画のDVDに関して逮捕されていたとされ、自宅と勤務先からは約1万8千点が押収されたとされています。認否は公表されていないと報じられました。逮捕の段階の報道であり、起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。

立件4点と押収1万8千点の関係

起訴される事実は、証拠によって個別に立証できるものに絞られます。誰にいつ何を売ったのかが特定でき、鑑定によって違法複製物だと確認できたものだけが訴因になります。ですから、押収された物のすべてが起訴されるわけではありません。しかし、押収された数量は、犯行の期間や規模、利益の大きさ、常習性を示す事情として量刑の判断に入ってきます。ここで注意すべきなのは、起訴されていない事実を実質的に処罰する趣旨で量刑に用いることは許されないという原則です。押収数が大きい事件では、検察官の主張がこの一線を越えていないかを弁護人が点検し、量刑の対象を訴因の範囲に引き戻す作業が必要になります。

自ら複製したのか、仕入れて売ったのか

同じ海賊版の販売でも、非難の程度は同じではありません。原盤を入手して自ら複製し、盤面やジャケットを印刷して製品の形にしていたのであれば、権利侵害を生み出した主体そのものです。他方、既に出来上がった複製物を仕入れて転売していたのであれば、流通の一段階を担ったことになります。前者は複製設備の有無、印刷機材、原盤の入手経路、作業を行った場所という客観的な事実から認定されます。後者であれば、仕入先とのやりとり、仕入価格、送られてきた荷姿が手がかりになります。弁護人としては、この二つのどちらであるかを明確にし、複製の主体ではないのであればその事実を早い段階で示す必要があります。

役員と無職。夫婦の立場の違いはどう扱われるか

報道では、一方が会社役員、他方が無職とされています。しかし、肩書きは責任の重さを決めません。決めるのは実際の行為です。出品用のアカウントを誰が作り、誰が管理していたのか。商品の写真を撮り、説明文を書いていたのは誰か。梱包と発送を担当したのは誰か。売上の入金口座は誰の名義で、その資金を誰が使っていたのか。勤務先の倉庫に在庫を置くことを決めたのは誰か。これらの事実によって、共同正犯となるのか、限定的な関与にとどまるのかが分かれます。家庭内の分担がそのまま刑事責任の分担になるわけではありませんから、双方の弁護人が別々に事実を精査することになります。

著作権法違反という罪名の性質と在留への影響

著作権法違反は原則として親告罪であり、権利者の告訴が処罰の条件となります。ただし、平成30年の改正によって一部が非親告罪化されており、どの範囲の行為が対象になるかは、販売された物の性質と態様によって異なります。したがって、告訴の有無と、それが今も有効かどうかを確認することが弁護の出発点になります。在留については、著作権法違反は入管法24条4号チの薬物関係の罪にも、同4号の2の特定犯罪にも含まれません。したがって、退去強制事由となるのは原則として1年を超える拘禁刑の実刑に処せられた場合(同4号リ)です。もっとも、会社役員の立場で有罪となれば、事業の継続と在留資格の前提が同時に揺らぎます。刑の重さだけでなく、生活の基盤をどう守るかを併せて考える必要があります。

ご家族が最初にすべきこと

まず、押収品目録交付書を確認し、何がどこから押収されたのかを整理してください。自宅と勤務先の双方から押収されている場合、勤務先の在庫が誰の管理下にあったかが争点になります。次に、出品履歴と入金記録を保全してください。削除は避けてください。第三に、権利者側との対応を検討してください。著作権法違反は権利者が存在する類型ですので、許諾料相当額の支払いや損害の賠償が処分と量刑に影響する余地があります。第四に、二人が同時に拘束されている場合の家庭の維持、子どもの就学、住居の賃料、会社の事務をどうするかを書き出してください。刑事事件は生活を止めますので、生活を止めない準備を並行して進めることが必要です。

中文版:立案只有4件,但被扣押的1万8千件左右着量刑

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舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

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この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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