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会社が被疑者になるとき。商標法82条の両罰規定と代表者の刑責

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会社が被疑者になるとき。商標法82条の両罰規定と代表者の刑責

会社が被疑者になるとき。商標法82条の両罰規定と代表者の刑責

2026/09/01

「捜索に来た警察官が、会社を被疑者として扱っていた」。偽造品の取扱いが問題になった事件で、ご相談を受けるときによく聞く言葉です。日本の法律には、違反行為をした従業員や役員を罰するだけでなく、その会社にも罰金を科す仕組みがあります。商標法82条の両罰規定です。この記事では、法人が処罰される仕組みと、代表者個人の刑責がどこで切り分けられるのか、そして「国内での発送を請け負っただけ」という説明がどこまで通るのかを説明します。

法人が被疑者になるとはどういうことか

両罰規定は、実際に違反行為をした人を罰するほか、その人が属する法人にも罰金を科すというものです。法人には身体がありませんから、拘禁刑はなく、罰金だけが科されます。捜査の対象としては、法人と行為者が別々の被疑者として扱われ、送致も別々に行われます。会社に前科がつくことになり、取引先や金融機関との関係、許認可、入札参加資格に影響することがあります。役員個人の処分ばかりに目を奪われて法人側の弁護を欠くと、会社の側で不利な事実が固まってしまうことがあります。

報道された事案では、法人が書類送致されました

フリマアプリで偽造香水が販売された事案では、中国籍の40代の男性が代表を務める法人が被疑法人として商標法違反の疑いで捜査を受け、2025年9月5日の捜索で合計2,230点が押収され、2026年1月9日に書類送致されたと公表されています。出品は中国国内の別人が複数のアカウントで行い、この法人は国内での発送を請け負っていたとみられると報じられました(ユニオン・デ・ファブリカン「事件簿」 2026年4月16日掲載。捜査は警視庁)。起訴・有罪が確定したものではなく、無罪推定が及びます。逮捕を経ていないため、代表者は身柄を拘束されずに手続が進んだことになります。

商標法82条の両罰規定の仕組み

両罰規定が適用されるのは、法人の代表者や従業員が、その法人の業務に関して違反行為をした場合です。したがって、従業員が会社と無関係に個人的に行った行為であれば、法人は処罰されません。逆に、会社の口座で仕入れ、会社の倉庫に保管し、会社の名義で発送していたのであれば、業務に関する行為であることは動かしにくくなります。実務では、会社が違反を防ぐためにどのような体制をとっていたかが問われます。仕入先の確認手順、真正品であることの裏づけ資料、疑わしい商品を扱わないための社内ルールが整っていたかどうかが、法人側の防御の中心になります。

「国内発送を請け負っただけ」という主張の射程

この説明は、事実としては正確でも、法的な結論を導くには足りません。商標権の侵害は、商品を作る行為だけでなく、譲渡すること、譲渡のために所持することも含むからです。発送のために在庫を保管していれば、譲渡のための所持に当たり得ます。そこで争点になるのは、偽造品であることの認識、いわゆる故意です。仕入価格と市場価格の差、包装や付属品の状態、出品者からの指示内容、アカウントが凍結された後の対応といった具体的な事情から、未必の故意が推認されていきます。したがって弁護活動は、「知らなかった」と述べることではなく、知らなかったことを裏づける具体的な資料を示すことに向かいます。

会社と代表者、どちらに何が及ぶか

代表者自身が仕入れや発送を指示していたのであれば、行為者として刑を受け、あわせて法人に罰金が科されるという二重の結果になります。他方、実際の行為は従業員が行い、代表者は関与していないという場合、代表者個人が起訴されずに法人だけが罰金となることもあります。法人に科された罰金は、代表者個人の前科ではありません。この区別は在留資格を考えるうえで重要です。個人が有罪となれば素行の評価に直結しますが、法人の罰金は、直ちに個人の退去強制事由になるものではありません。

経営・管理の在留資格への影響

経営・管理の在留資格で会社を経営している方の場合、審査では事業の適正さと継続性が見られます。会社が有罪となった事実は、事業の適正さの評価に影響し得ます。取引先を失い、口座が使えなくなれば、事業の継続性も揺らぎます。処分を受けた後にどのような改善をしたのかを、社内規程、仕入先の管理表、権利者への対応記録といった形で残しておくことが、更新の場面で意味を持ちます。刑事の弁護と会社の立て直しを、同じ時間軸で進める必要があります。

中文版:公司成为嫌疑对象时,商标法第82条的两罚规定与代表者的刑责

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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