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券売機に不正なQRコードを読ませて乗車券12枚。何の罪に問われるのか

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券売機に不正なQRコードを読ませて乗車券12枚。何の罪に問われるのか

券売機に不正なQRコードを読ませて乗車券12枚。何の罪に問われるのか

2026/09/01

駅の券売機にコードを読み取らせて乗車券を受け取る。作業としては数分で終わり、頼まれた側には犯罪という実感が乏しいことがあります。しかし日本の刑事手続では、この行為が電子計算機使用詐欺として立件されます。しかも、決済に使われた口座の名義人が別にいる場合、発券した人は「末端の実行役」として扱われながら、被害の全体像を背負わされかねない立場に置かれます。この記事では、その構造と防御の視点を説明します。

報道されている事案:名古屋駅の券売機と12枚の乗車券

読売新聞は2025年8月28日、名古屋市に住む中国籍の37歳の女性が、同年6月にJR名古屋駅の券売機で不正に取得されたQRコードを読み取らせ、乗車券12枚(合計約12万円相当)を発券したとして、電子計算機使用詐欺の疑いで摘発されたと報じました。報道によれば、これらの券は埼玉県に住む男性名義の口座で購入されており、女性は発券する役割を担っていたとされています。これは有罪が確定した事案ではなく、被疑者には無罪推定が及びます。

なぜ「詐欺」ではなく「電子計算機使用詐欺」なのか

窓口で駅員に嘘をついて乗車券を受け取れば、人を欺いて財物を交付させたことになり、通常の詐欺罪の問題になります。ところが券売機を相手にした場合、欺かれる人がいません。機械は、提示されたコードが有効かどうかを判定して、有効であれば券を出すだけです。

そこで刑法246条の2が用意されています。同条は、コンピュータに虚偽の情報や不正な指令を与えて財産上の利益を得る行為などを処罰します。他人の決済手段に結び付いたコードを読み取らせて券を出させる行為は、機械に対して正当な権限があるかのような情報を与えたものとして、この規定で捉えられます。人と機械のどちらを相手にしたかで条文が変わる、というのが日本法の整理です。

発券役と口座名義人が別人であるときの共謀の立証

この類型で捜査機関が越えなければならないのは、発券した人と、口座やコードを用意した人との間に合意があったことの立証です。発券した人がコードの由来を知らず、単に「これを読ませて券を受け取ってきてほしい」と言われただけであれば、財産を不正に得るという認識があったかどうかが問われます。

ここで検討されるのは、依頼の経路(面識のない相手からの依頼か)、報酬の有無と金額、発券した回数と枚数、券の引渡し方法(その場で第三者に渡したか)、そして本人の説明の一貫性です。12枚をまとめて発券して手元に置かず引き渡した、という事実は、自分で使う意思がなかったことを示す一方で、転売の予定を認識していたことをうかがわせる事情にもなります。両方向に働く事実であることを理解したうえで、供述を組み立てる必要があります。

約12万円という規模をどう見るか

被害額が約12万円という規模は、この分野では小さい部類に入ります。被害弁償が現実的に可能であり、示談が成立すれば、起訴猶予の可能性を正面から検討できます。法務省『令和7年版犯罪白書』によれば、令和6年の来日外国人被疑事件の起訴猶予率は48.35%で、およそ半数が起訴猶予となっています。起訴前の段階でどれだけ材料をそろえられるかが、その後をすべて左右します。

他方で、背後に組織があるとみられる事件では、末端であっても余罪の捜査が続き、再逮捕によって身柄拘束が延びることがあります。被害額の小ささが、そのまま早期釈放につながるわけではありません。

在留資格への影響

報道からは本人の在留資格が分かりません。そこで場合分けをすると、就労資格であれば、勤務先の在籍が失われることが更新の障害になります。「日本人の配偶者等」「永住者」「定住者」といった別表第二の資格であれば、活動内容による取消しの問題は生じにくいものの、素行が更新や永住審査で問われます。いずれの場合も、罰金や執行猶予にとどまれば入管法24条4号リには該当しません。同号は無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた場合であり、全部執行猶予は但書で除かれるからです。

ご家族が最初にすべきこと

まず、依頼を受けたときのやり取りを保存してください。報酬の額、依頼者との関係、指示の文面。これらは従属的な立場を示す資料になります。次に、被害弁償の原資を検討します。約12万円という規模であれば、ご家族の協力で用意できる場合が多く、早い段階での申出が処分に影響します。

あわせて、在留カードと旅券の所在、在留期限、勤務先や家族の状況を整理してください。取調べは通訳を介して行われますから、「頼まれた」「知っていた」「もらった」といった言葉の訳し方が、そのまま故意の評価に響きます。中国語に対応できる弁護人が早期に接見に入り、調書の記載を本人と確認できる体制を作ることをお勧めします。

中文版:让售票机读取非法二维码取得12张车票,会被追究什么罪

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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