舟渡国際法律事務所

ポイントを不正に使った場合、被害額は額面か、それとも商品の値段か

お問い合わせはこちら

ポイントを不正に使った場合、被害額は額面か、それとも商品の値段か

ポイントを不正に使った場合、被害額は額面か、それとも商品の値段か

2026/09/01

ポイントは、現金でも商品券でもありません。しかし、それを他人のアカウントから勝手に使って商品を手に入れれば、刑事事件になります。そこで避けて通れないのが、被害額をいくらと数えるのかという点です。ポイントの額面なのか、実際に手に入れた商品の値段なのか。この違いは量刑にも被害弁償にも影響します。この記事では、報じられたポイント不正使用の事件を素材に、被害額の考え方と、立件された分と余罪の関係、そして弁償の相手方を整理します。

報じられた事案の概要

読売新聞と朝日新聞が2022年4月28日に報じた事件では、埼玉県蕨市に住む中国籍の30代の男性3人が、他人のポイントを不正に使用して薬局などで商品を購入したとして、警視庁サイバー犯罪対策課に摘発されたと報じられています。立件された分は約300点、約20万円相当とされ、余罪を含めると約1,700点に上るとされました。罪名は詐欺で、再逮捕が行われたと報じられています。起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。

ポイントに財産としての性格はあるか

実務上、ポイントは財産的な価値を有するものとして扱われます。商品と交換でき、事実上の対価として機能している以上、これを不正に使用して商品を得た行為が処罰の対象になること自体は、争いにくいところです。他人のアカウントに入り込んでポイントを使ったのであれば、不正アクセス禁止法違反が併せて問題となることもあります。店頭で店員に対して他人名義のポイント画面を提示し、店員が正当な会員による利用と誤信して商品を渡したのであれば詐欺、無人の端末で処理が完結するのであれば電子計算機使用詐欺というように、現場の態様によって条文が分かれる点も、この類型に共通します。

被害額は額面か、商品の値段か

ここは実際に争える余地のある部分です。ポイントの額面をそのまま被害額とする考え方は分かりやすいのですが、ポイントの多くは、購入額に応じて事後的に付与される販売促進の手段であり、発行企業が現金と同一の価値で買い取っているわけではありません。他方、被害の実質を、実際に持ち出された商品の小売価格で捉える考え方もあります。両者は一致しないことがしばしばあり、たとえばポイント倍付けのキャンペーン期間に付与された分では、額面と企業の実質的な負担が大きく食い違います。弁護人としては、発行企業がそのポイントをどのような会計上の負担として処理しているのか、実際に失われた利益は何なのかを確認し、被害額の算定根拠を求釈明で明らかにさせることが有効です。

立件された約20万円と、余罪の約1,700点

報道された「余罪を含め約1,700点」という数字は、捜査上把握された利用の総量であって、起訴事実ではありません。処罰の対象になるのは起訴された事実に限られ、起訴されていない事実を実質的に処罰する趣旨で量刑に用いることは許されません。もっとも、実際には、余罪の総量が「常習性」や「組織性」を語る材料として量刑に持ち込まれやすい構造があります。弁護人は、余罪に関する立証がどの事実を証明するためのものかを問い、必要性を争います。同時に、再逮捕が繰り返される見通しについても早い段階で見極め、身柄拘束の長期化に備えた生活面の手当てを家族と設計します。

被害弁償は誰に対して行うのか

この類型で見落とされがちなのが、弁償の相手方です。損害を受けたのは、ポイントを発行した企業なのか、商品を引き渡した店舗なのか、それともアカウントを乗っ取られた会員本人なのか。実際には、企業が会員に対してポイントを回復し、店舗との間では企業が精算しているという場合が多く、そうであれば弁償の相手は発行企業になります。他方、会員本人には、アカウントの再設定や不安といった実害があり、別途の謝罪と見舞いが意味を持つこともあります。弁護人は、まずこの権利関係を確認したうえで、企業の担当窓口と交渉します。企業は個別の示談に応じない方針を採ることもあり、その場合は供託や贖罪寄付といった代替手段を検討することになります。

在留資格への影響とご家族ができること

詐欺は、有罪判決だけで退去強制事由となる薬物事犯とは異なります。無期又は1年を超える拘禁刑の実刑となった場合に、出入国管理及び難民認定法(入管法)24条4号リが問題となり、同号の但書により全部執行猶予の判決は除かれます。被害額が限定され、弁償が完了していれば、処分が軽くなる可能性は現実にあります。ご家族には、購入した商品が手元に残っていないかを確認していただくことをお願いします。未使用のまま返還できれば、被害回復として明確に評価されます。あわせて、本人の在留期限、勤務先との関係、家賃や公共料金の支払いを整理し、身柄拘束が長引いた場合に生活の基盤が崩れないよう手当てをしてください。

中文版:非法使用积分时,被害额按面值算还是按商品价格算

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に刑事事件の弁護

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。