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五か月で2,300万円。包括一罪にすると量刑が重くなることもある

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五か月で2,300万円。包括一罪にすると量刑が重くなることもある

五か月で2,300万円。包括一罪にすると量刑が重くなることもある

2026/09/01

他人のアカウントを使った決済が何か月も続いていたとされる事件では、報道の見出しに「被害総額○千万円」という数字が出ます。ご家族は、その金額をそのまま背負わされるものと考えて青ざめます。しかし刑事裁判で問題になるのは、あくまで検察官が起訴した事実と、そこで認定される被害額です。この記事では、長期間・多数回にわたる決済不正の事件について、認定される被害額をどう絞るか、そして「まとめて一つの罪と評価する」という包括一罪の主張が、被告人にとって有利とは限らない理由を説明します。

報じられた事案の概要

読売新聞と朝日新聞が2022年5月26日に報じた事件では、東京都板橋区を拠点としていたとされる中国籍の女性2人が、他人のアカウントを使って決済アプリで美容品や化粧品などを購入したとして摘発されたと報じられています。報道によれば、その期間は約五か月間、金額は約2,300万円に上るとされ、2人のうち1人は貿易会社を経営していたとされます。罪名は詐欺です。起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。

店頭か無人端末かで罪名が分かれる

この類型では、まず罪名の整理が必要です。店舗で店員に対して他人名義の決済画面を提示し、店員がそれを正当な決済と誤信して商品を引き渡したのであれば、人をだましたことになりますから詐欺です。他方、店員が介在せず、機械が自動的に処理する仕組みに虚偽の情報を与えて利益を得たのであれば、刑法246条の2の電子計算機使用詐欺が問題となります。同じ「決済アプリの不正使用」でも、購入の現場が有人か無人かで条文が変わり、それに応じて起訴事実の書き方も、争う対象も変わります。捜査段階から、一件ごとにどちらの類型なのかを整理しておくことが、後の防御の土台になります。

認定される被害額をどう絞るか

約2,300万円という数字は、通常、アカウントの利用履歴を集計した「捜査上の被害総額」です。これがそのまま起訴事実になるとは限りません。個別の決済について、いつ、どのアカウントで、誰が操作し、どの商品を得たのかが証拠で裏づけられて初めて、被害額として認定されます。弁護人は、決済履歴の一件ごとに、端末の同一性、本人が現場にいたことの裏づけ、商品の受領者、返品や取消しの有無を洗います。名義人が自ら使った分、他の関与者が使った分、システム上の重複計上が混ざっていることは珍しくありません。ここを丁寧に潰すことが、量刑にも被害弁償の設計にも直結します。

包括一罪の主張は、有利とは限らない

多数回の犯行を、一個の犯意に基づく一連の行為として「包括して一罪」と評価するか、それとも一件ごとの犯罪が併合罪として並ぶと評価するか。罪数の議論は、しばしば「包括一罪の方が刑が軽くなる」と単純に語られます。併合罪の加重が働かないという点だけを見ればそのとおりです。しかし実際の量刑では、包括一罪として評価することが、五か月にわたり同じ手口を反復した一個の継続的な犯行、つまり常習性と組織性のある行為として全体を描き出すことにつながります。その結果、量刑の出発点そのものが引き上げられることがあるのです。逆に、一件ごとに切り分ければ、個々の被害額は小さく、本人が関与した回数も限定される、という構図を作りやすくなります。

罪数の主張は戦略として選ぶ

したがって、罪数の主張は「理論的に正しいか」だけでなく、「本件でどちらが被告人に資するか」で選ぶべきものです。判断材料は、認定できる件数の見込み、本人の関与時期が全期間にわたるのか一部なのか、共犯者との役割の違い、被害弁償が全体に及ぶのか一部に限られるのかといった事情です。関与が末期の一時期に限られるのであれば、包括一罪として全期間を一体に評価されることは明らかに不利であり、期間の切り分けを争うべきです。反対に、被害弁償を全体について完了できる見通しがあるなら、一体的な評価を受け入れたうえで、被害回復の完了を正面から主張する方が実質的な利益が大きい場合もあります。弁護人が最初の段階でこの見取り図を家族と共有しておくと、弁償の原資をどこに配分するかの判断も定まります。

在留資格への影響とご家族ができること

詐欺や電子計算機使用詐欺は、有罪判決だけで退去強制事由となる薬物事犯とは異なります。実務上の分岐点は、無期又は1年を超える拘禁刑の実刑となるかどうかで、出入国管理及び難民認定法(入管法)24条4号リは但書により全部執行猶予の場合を除いています。被害額が大きく認定されるほど実刑の可能性が高まるという意味で、被害額の限定はそのまま在留の問題でもあります。ご家族にお願いしたいのは、第一に、本人名義の口座・カード・端末の状況を整理すること、第二に、返品可能な商品や未使用の在庫が手元に残っていないかを確認すること、第三に、被害弁償の原資として動かせる金額を早期に見極めることです。会社を経営している場合は、法人の資金と個人の資金を混同しないよう、弁護人と整理してから動いてください。

中文版:五个月2,300万日元:认定为包括一罪反而可能加重量刑

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舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

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この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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