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店頭なら詐欺、無人端末なら電子計算機使用詐欺。バーコード決済の提示行為をどう見るか

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店頭なら詐欺、無人端末なら電子計算機使用詐欺。バーコード決済の提示行為をどう見るか

店頭なら詐欺、無人端末なら電子計算機使用詐欺。バーコード決済の提示行為をどう見るか

2026/09/01

同じように他人名義の決済を使っても、店員に画面を見せた場合と、無人の端末に読み取らせた場合とで、成立する罪名が変わります。この違いは、日本の刑法が、人をだます行為と、機械に不正な処理をさせる行為とを、別の類型として整理しているところから来ています。この記事では、中国籍の方とそのご家族に向けて、二つの報道事例をもとに、罪名の分かれ目と、弁護人が実際に争う点を説明します。

二つの報道事例

読売新聞が2025年8月4日に報じたところによると、他人名義のバーコード決済画面を店頭で提示してゲーム機を購入したとして、中国籍の男女6人が詐欺の疑いで摘発され、起訴されたと報じられています。他方、読売新聞が2025年8月28日に報じた事件では、名古屋市に住む中国籍の37歳の女性が、駅の券売機で不正に取得したQRコードを読み取らせて乗車券12枚、計約12万円相当を発券したとして、電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕されたと報じられています。乗車券は埼玉県の男性名義の口座で購入されており、この女性は発券の役割であったとされています。いずれも起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。

人を欺いたかどうかで、罪名が分かれる

店頭で決済画面を提示する行為は、店員に対して、自分にこの決済を使う正当な権限があるという事実を伝える意味を持ちます。店員がそれを信じて商品を引き渡せば、人を欺いて財物を交付させたことになり、詐欺の問題になります。これに対し、券売機や自動精算機のような無人の端末には、だまされるべき人がいません。そこで刑法246条の2が、電子計算機に虚偽の情報や不正な指令を与えて財産上不法の利益を得る行為を、電子計算機使用詐欺として処罰しています。つまり、機械を相手にした場合の受け皿として用意された規定です。

提示という行為を、どこまで欺く行為と見るのか

実務上の争点は、提示という無言の行為をどう評価するかです。何も言わずに画面を見せただけであっても、支払手段を提示する行為自体に、正当な利用権限を有するという黙示の意思表示が含まれると解されています。ここで弁護人が検討するのは、次の点です。店員は実際に何を確認したのか。名義の一致を確認する運用があったのか。端末の表示に名義が現れていたのか。本人が権限の有無について何を認識していたのか。たとえば、アカウントを借りたと説明され、名義人の承諾があると信じていた場合には、故意の内容が争点になります。この主張は、貸したとされる相手との連絡記録が残っているかどうかで、説得力がまったく変わります。

罪名が変わると、弁護の作業はどう変わるか

罪名の違いは、単なる呼び名の違いではありません。詐欺として構成される場合には、店員という人間の認識と行動が立証の対象になりますから、店員の記憶、店内の運用、防犯カメラの映像が争点になります。電子計算機使用詐欺として構成される場合には、端末に与えられた情報が虚偽であったか、その情報が誰の操作によって入力されたのかが中心になり、システムのログと本人の同一性が争点になります。また、複数回の利用がある事案では、1回ごとに罪が成立するのか、全体を一つとして評価するのかという罪数の問題も生じます。罪数の主張は、量刑にとって有利にも不利にも働き得ますので、方針として選択する必要があります。

末端の役割で摘発される人が多い類型である

この類型では、決済情報を集める者、指示する者、店頭や券売機で実際に使う者が分かれており、摘発されるのは最後の実行者であることが少なくありません。警察庁の令和6年における組織犯罪の情勢によれば、来日外国人による刑法犯の共犯事件率は41・1%で、日本人の12・5%の約3・3倍とされています。もっとも、この統計にいう来日外国人とは、永住者、永住者の配偶者等、特別永住者を除いた外国人を指す定義であり、在留外国人全体の犯罪傾向を示すものではありません。数字の意味を正確に押さえたうえで申し上げれば、役割分担型の事件では、自分の担った部分と、グループ全体の被害額との対応関係を丁寧に示す作業が、量刑を大きく左右します。

在留への影響とご家族が最初にすべきこと

報道からは、摘発された方々の在留資格は分かりません。就労資格や留学の方であれば、有罪となれば次の更新で素行が問われますし、実刑となれば、入管法24条4号の、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者に関する定めが問題になります。全部執行猶予が付けばただし書により除かれます。ご家族にお願いしたいのは、次の三点です。第1に、決済アカウントを誰から、どのような説明で受け取ったのかを示す連絡記録を保全すること。第2に、被害弁償の原資を早期に確保すること。この類型では被害額が明確なため、弁償が量刑に反映されやすい傾向があります。第3に、在留カードと旅券の所在、在留期限、勤務先や学校への説明の時期を、弁護人と共有することです。

中文版:在柜台是诈骗,在无人终端则是使用电子计算机诈骗

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

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この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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