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偽の通販サイトで2万円、返金を装ってさらに100万円。二段構えの手口と示談の壁

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偽の通販サイトで2万円、返金を装ってさらに100万円。二段構えの手口と示談の壁

偽の通販サイトで2万円、返金を装ってさらに100万円。二段構えの手口と示談の壁

2026/09/01

被害額が2万円で止まっていれば、話は違っていたかもしれません。しかし、この類型の事件では、最初の被害の後に、返金の手続を装った二度目の接触が来ます。そして二度目の被害額は、最初の何十倍にもなります。この記事では、報道された事例をもとに、なぜ詐欺と窃盗という二つの罪名が並ぶのか、被害者との示談がなぜ通常より難しいのか、そして在留資格にどう跳ね返るのかを、中国籍の方とそのご家族に向けて説明します。

報じられている事件の概要

沖縄タイムスと琉球新報が2026年7月22日以降に報じたところによると、偽のショッピングサイトにかばんを販売する旨を掲載し、40代の男性から代金として二万円をだまし取ったうえ、さらに在庫切れであるとして返金手続を装い、指定した口座に約100万円を振り込ませ、そのうち70万円を引き出したとして、住所不定で無職の中国籍の40代の男性が詐欺、窃盗、組織的犯罪処罰法違反の疑いで逮捕され、再逮捕されたと報じられています。起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。

なぜ詐欺と窃盗が並ぶのか

この点は、ご本人やご家族から最も多く質問をいただくところです。人をだまして財産を交付させる行為は詐欺です。しかし、だまして口座に振り込ませた後、その口座から現金を引き出す行為については、金融機関に対する関係で別途窃盗として構成されることがあります。振込先の口座が正当な権限に基づかないものであれば、金融機関が現金を交付する意思を欠くと考えられるためです。朝日新聞が2022年11月4日に報じた事件でも、偽の通販サイトに振り込まれた代金を現金自動預払機から引き出した行為が窃盗として立件されており、出金役だけが摘発される構図がみられました。つまり、出金の担当だけを引き受けたつもりでも、独立の罪として立件され得るということです。

返金を装う二次被害の構造

返金を口実にした二度目の接触が成功しやすいのは、被害者が最初の被害を取り戻そうとする心理を利用しているからです。手続を装う過程で、送金アプリの操作や、確認のための一時的な入金を求め、結果として被害者自身が大きな金額を送ってしまう形が取られます。この構造は、被害額が跳ね上がるだけでなく、被害者に「自分が操作してしまった」という自責の念を残します。それが、後述する示談の難しさに直結します。

示談が難しい理由と、それでもできること

示談が成立しにくい理由は三つあります。第1に、被害額が大きく、被疑者側に一括で用意できる資力がないことが多いこと。第2に、被害者が同じ相手からの二度の被害を経験しているため、連絡そのものに強い拒否感を持つこと。第3に、組織的犯罪処罰法違反が付いた事件では、被害回復が組織全体の問題として扱われ、個人の弁償だけでは評価が上がりにくいことです。それでもできることはあります。被害弁償の意思と金額を早期に明確にすること。弁護人を通じて、被害者に負担をかけない方法で申入れを行うこと。全額に届かなくても、可能な範囲で供託や分割の履行を先に始めること。返金を装った手口によって被害者が受けた精神的な負担に、正面から向き合う内容の謝罪文を用意することです。金額の多寡だけでなく、被害の受け止め方が量刑判断に影響します。

組織的犯罪処罰法が付くと何が変わるか

組織的な犯罪として構成されると、量刑の枠組みが重くなるだけでなく、犯罪による収益の没収や追徴が視野に入ります。また、捜査の対象が個人の行為から資金の流れ全体に広がるため、口座、暗号資産、送金の経路が徹底的に洗われ、身柄拘束も長期化しやすくなります。弁護の観点からは、組織性の評価そのものを争う場面と、組織の中での本人の位置を下げる場面とを、証拠に応じて切り分けることになります。

在留への影響とご家族が最初にすべきこと

財産犯で実刑となれば、入管法24条4号の、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者に関する定めが問題になります。全部執行猶予が付けばただし書により除かれますから、被害弁償の努力は在留を守る努力でもあります。ご家族には、まず在留カードと旅券の所在、在留期限の日付を確認していただきたいと思います。次に、被害弁償の原資について、誰がどこまで出せるのかを具体的に固めてください。中国から送金する場合、正規の経路と資金の出所の説明に時間がかかります。そして、住居を確保できるかどうかが、保釈の可否に直結します。住所不定と評価されている場合はなおさらです。賃貸借契約、身元引受人の承諾書、生活費の見通しを、早い段階で用意してください。

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中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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