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留学生の荷受け役は、「何を知っていた」と認定されるのか

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留学生の荷受け役は、「何を知っていた」と認定されるのか

留学生の荷受け役は、「何を知っていた」と認定されるのか

2026/09/01

荷物を受け取る仕事で摘発された方が、取調べで最初に言うのは、たいてい「中身は知らなかった」です。ところが捜査機関は、その言葉を聞いたうえで、「知っていたはずだ」という結論に至ります。なぜそうなるのか。日本の刑事手続では、故意という心の中の事実を、外側の事実から積み上げて認定するからです。この記事では、荷受け役について何が「知っていた」と認定される材料になるのか、取調べでどう答えるべきか、そして学籍と在留資格を守るための順序を説明します。

「知っていた」は、誰がどう決めるのか

故意には、確定的な故意のほかに、未必の故意があります。「これは犯罪に関わる物かもしれない。それでも構わない」と考えて行為に及べば、未必の故意が認められます。「はっきりと犯罪だと分かっていた」という認識までは要りません。そして、この内心は本人の供述だけで決まるものではなく、行為の周辺にある客観的な事実の積み重ね、すなわち間接事実によって推認されます。

この構造を知らないと、防御は空回りします。「知らなかった」とだけ述べ続けても、間接事実が動かなければ結論は動かないからです。逆に、間接事実の一つひとつについて、そう受け取った合理的な理由を具体的に説明できれば、推認は弱まります。争うべきは結論ではなく、結論を支える土台のほうです。

報道された事案

2023年7月18日、旅日僑網は、他人名義のカードを不正利用して乗車券を購入し金券ショップで転売したとされる事案について、在留資格「留学」を有する中国籍の20代の男性が、微信で見つけた「荷物の受け取り代行」として寮で60回以上荷物を受け取り、報酬は1件50元だったと報じました。起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。以下では、この報道を素材に、一般的な認定の構造を説明します。

未必の故意を支える、四つの間接事実

第一に、取引条件の不自然さです。荷物の中身も送り主も知らされないのに報酬だけは滞りなく支払われる。中身の価値や重さと無関係に、件数で報酬が決まる。正規の配送や代理購入の業務であれば、契約書、業務委託の説明、身分の確認があるはずですが、それらがない。この落差が、最初の材料になります。

第二に、依頼者の匿名性です。実名を知らない、会社名を知らない、対面したことがない、通信アプリのアカウントしか知らない。しかも、そのアカウントが途中で変わった、あるいは削除された。第三に、宛名の多様性です。自分の名前ではない複数の名義の荷物が同じ住所に届く。これは、正規の取引ではおよそ説明のつかない事情です。第四に、受渡しの方法です。人目を避けた場所、深夜の指定、現金での手渡し、荷物の外装をその場で捨てるといった指示。

これらが揃うと、「正当な取引ではないと分かっていたはずだ」という推認は相当に強くなります。ただし、逆から見れば、揃っていない事情があれば、そこが防御の入り口になります。たとえば、開始当初は商品名も送り主も示されていた、途中から条件が変わった、といった経緯が示せれば、少なくとも初期の関与について認識を争う余地が生まれます。

取調べで問われること、答え方の原則

取調べでは、開始の経緯、報酬の決め方、疑問を持ったことがあるか、誰に何を確認したか、荷物の中身を見たことがあるか、といった点が繰り返し問われます。ここで大切なのは三つです。第一に、記憶にないことを推測で埋めないこと。「たぶんそうだったと思います」という答えは、調書では断定として残ります。第二に、通訳を介して読み聞かされた内容が自分の述べたことと違えば、署名しないこと。第三に、供述を変えるなら理由とともに早い段階で変えることです。

そして、弁護人の選任は早いほど良い。逮捕された場合、接見禁止が付いても弁護人との接見は制限されません(刑事訴訟法39条1項)。逮捕から検察官が勾留を請求するまでは72時間、勾留は原則10日、延長で最長20日です。この期間の供述が、後の公判まで影響します。

学籍と在留資格を守る順序

身柄を拘束されると、授業に出られず、大学への説明が必要になります。ここで順序を誤る方が多くいます。事実関係も処分の見通しも定まらないうちに詳細を報告してしまい、退学や除籍が先に決まってしまうのです。学籍を失えば、留学の在留資格の基礎が失われ、刑事処分がどうであれ在留の継続は難しくなります。出入国在留管理庁の統計(令和7年)によれば、在留資格の取消しは1,446件で過去最高となり、うち留学が343件でした。取消事由としては、在留資格に応じた活動を継続して三か月以上行っていないことを定める22条の4第5号が350件を占めています。

ですから、大学への報告は、弁護人と相談したうえで、時期と内容を決めてください。伝えるべきことは伝える。しかし、まだ確定していないことを確定したかのように伝えない。並行して、報酬として受け取った金銭の保全、被害弁償の原資の準備、身元引受人の確保を進めます。ご家族には、旅券と在留カードの所在の確認と、在留期限の把握をお願いしています。

中文版:留学生的收货角色,会被认定为知道了什么

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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