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生きたカメを持ち込もうとした。ワシントン条約と関税法が交わる場所

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生きたカメを持ち込もうとした。ワシントン条約と関税法が交わる場所

生きたカメを持ち込もうとした。ワシントン条約と関税法が交わる場所

2026/09/01

ペットとして飼うつもりで、あるいは知人に頼まれて、生きた動物を日本に持ち込もうとして税関で止められる。この類型は、金や薬物の密輸と違って、本人に罪の意識がないまま始まることが特徴です。しかし手続を経ずに持ち込めば、関税法違反として刑事事件になります。この記事では、生きたカメの持込みが摘発された公表事例を手がかりに、輸入が規制される仕組み、知らなかったという弁解の位置づけ、そして押収された動物や物がどうなるのかを説明します。

公表されている事例

沖縄地区税関の公表によれば、2018年9月12日、クルーズ船で那覇の港に到着した中国人男性2名が、ワシントン条約の附属書に掲げられた生きたカメを持ち込もうとしたとして、税関検査で発見され、関税法違反として那覇地方検察庁に告発されました。対象となったのは、ミナミイシガメとモエギハコガメとされています。以下は、この事例の細部を追うのではなく、同じ形の事件に共通する制度の説明です。

「輸入してはならない貨物」という枠組み

関税法には、輸入それ自体が禁じられている貨物の類型があります。麻薬、銃器、偽造の通貨や証券、公安や風俗を害する物品、知的財産を侵害する物品などがこれにあたり、税関はこれらを発見したときに没収などの措置を執ります。これとは別に、他の法令によって輸入に許可や承認が必要とされている貨物について、その手続を経ないまま輸入した場合を処罰する仕組みがあります。ワシントン条約の対象となる動植物は、後者の枠組みで扱われるのが基本です。つまり、絶対に持ち込めない物と、手続を踏めば持ち込める物とが、条文の上で区別されているということです。旅行者にとって難しいのは、どちらに当たるかが外形からは分からない点です。

知らなかったという弁解はどこまで通るか

整理が必要です。第一に、その動物が規制の対象であることを知らなかったという場合。これは、規制の内容という法律の評価についての誤りに近く、刑法は、法律を知らなかったことをもって罪を犯す意思がなかったとすることはできないと定めています。ただし、情状として刑を減軽することができるとも定められており、量刑では考慮されます。第二に、そもそも荷物の中に動物が入っていることを知らなかったという場合。これは事実についての認識の問題であり、故意そのものが否定される余地があります。この二つはまったく違うのですが、取調べでは同じ「知らなかった」という言葉になりがちです。どちらを述べているのかを明確にすることが、弁護の出発点です。

押収された動物や物はどうなるのか

犯罪に関係する貨物は、没収の対象になり得ます。生きた動物の場合には、押収した後の飼養や管理をどうするかという現実的な問題が生じ、返還を求めても実際には困難であることが多いのが実情です。本人にとっては高額で入手した物であっても、返還されるとは限りません。また、動物の種の特定には専門機関の鑑定が必要になることがあり、その結果が出るまで手続が進まないこともあります。手続が長引けば、それだけ在留や仕事への影響も大きくなります。

クルーズ船の旅客という立場の難しさ

船で到着した旅客の場合、出港予定が決まっているため、身柄を拘束されると同行者と離ればなれになり、荷物も船に残されるという事態が生じます。宿泊先の確保、通訳の手配、本国の家族への連絡が同時に必要になります。この類型では、事案の性質上、罰金や起訴猶予で終わる可能性も十分にありますが、そのためには、経緯の説明、反省、再発防止の姿勢を早い段階で示す必要があります。船の出港予定は、勾留の必要性を争ううえで具体的な事情になり得ますので、乗船券や旅程の資料は保管しておいてください。

在留への影響と、渡航前にできる確認

関税法違反は、有罪だけで退去強制事由となる類型ではなく、1年を超える拘禁刑の実刑かどうかが分かれ目です。この種の事案でその重さに至ることは通常考えにくいものの、罰金前科は、在留期間の更新や在留資格の変更における素行の評価に影響します。短期滞在の旅行者であっても、次回の上陸審査で問題になり得ます。渡航前には、動植物やその加工品を持ち込めるかどうかを、税関や所管の官庁の案内で確認してください。土産物として売られている物が、持ち帰れるとは限りません。この確認は、数分で済む一方、刑事事件を避けるうえで有効な手段です。

中文版:试图携带活龟入境:华盛顿公约与关税法交汇之处

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この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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