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公海上で受け取り、漁港で陸揚げした金地金205キロ。洋上受渡し型の実務

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公海上で受け取り、漁港で陸揚げした金地金205キロ。洋上受渡し型の実務

公海上で受け取り、漁港で陸揚げした金地金205キロ。洋上受渡し型の実務

2026/09/01

金の密輸というと空港での摘発を思い浮かべる方が多いのですが、船を使って洋上で受け渡しをし、地方の漁港で陸揚げする類型もあります。この形は、関与する人数が多く、日本人と外国籍の方が混在することが少なくありません。この記事では、公表されている事例を手がかりに、洋上受渡し型で何が問題になるのか、船を出した側にどこまで責任が及ぶのか、そして税関の犯則調査がどのように刑事手続へつながるのかを整理します。

公表されている事例

門司税関の公表によれば、2017年6月1日、東シナ海の公海上で船名の分からない船舶と接触して金地金を積み込み、翌日、佐賀県内の漁港で陸揚げしたとされる事件が摘発されました。金地金は206塊、総重量は約205キログラムです。犯則嫌疑者は8名で、日本人5名と中国人3名の混成でした。同月20日、関税法違反として佐賀地方検察庁に告発されています。摘発から告発までは約3週間でした。以下では、この事例そのものの評価ではなく、同種の類型に共通する制度と実務の説明に移ります。

どの時点で「輸入」になるのか

関税法にいう輸入は、外国から到着した貨物を日本に引き取る行為を指します。洋上で貨物を積み込んだ段階と、陸揚げして国内に持ち込んだ段階のどちらを捉えるかで、既遂か未遂かの評価が変わり得ます。実務では、陸揚げの現場で押さえられれば既遂に近い形で構成され、洋上や接岸前の段階であれば未遂として扱われる余地があります。この違いは量刑に影響しますので、いつ、どこで、何が行われたのかという時系列の確定は、弁護の側でも最初に取り組むべき作業になります。航跡記録、通信記録、港の防犯設備の記録が、その裏づけになります。

日本人と外国籍の混成グループで起きること

混成型では、船を用意し操船する側と、貨物を受け取り運搬する側とで、国籍が分かれることがあります。ここで注意が必要なのは、言語の壁が供述の食い違いを生みやすいという点です。日本語でのやりとりが不十分なまま計画に参加した方は、自分がどこまで説明を受けていたのかを正確に述べにくく、他の共犯者の供述が事実上の基準にされてしまうことがあります。中国語の通訳を介して、いつ誰から何を聞いたのかを時系列で整理し、通信アプリの原文と突き合わせる作業が重要になります。翻訳の際に生じたずれが、故意の認定に影響することもあります。

船を出した側の責任はどこまで及ぶか

船主や船長が、積荷の内容を知りながら航行に協力していれば、共同正犯または幇助として責任を問われ得ます。他方、単に用船を頼まれただけで、荷の内容について具体的な認識がなかった場合には、故意が争点になります。ここでも判断材料は客観的な事情です。用船料が相場より著しく高くないか、通常の漁の時間帯と異なる航行ではないか、目的地の指定が不自然でないか、といった点が検討されます。また、犯罪に用いられた船舶や車両は、没収の対象になり得ます。船が生活の基盤である場合、没収の可否は本人にとって刑の重さと同じくらい切実な問題です。

税関の犯則調査から告発へ

密輸事件の多くは、警察の捜査ではなく、税関の犯則調査から始まります。税関の職員は、質問、検査、領置、そして許可状に基づく捜索・差押えを行うことができ、調査の結果、犯則の心証を得たときは検察官に告発します。告発を受けて検察官が捜査を引き継ぎ、起訴・不起訴を判断します。この事例では摘発から告発まで約3週間でしたが、関係者が多い事件では1年近くかかることもあります。その間、身柄が拘束されないまま任意で調査が進むこともあり、いつ告発されるかが分からない不安定な期間が続きます。弁護人は、この段階から関与して説明の機会を確保します。

在留資格と、ご家族の初動

関税法違反で有罪となっても、それだけで退去強制事由になるわけではなく、1年を超える拘禁刑の実刑かどうかが分かれ目です。ですから、役割の軽重を早い段階から示すことが、在留を守る作業と直結します。ご家族には、航行や運搬に関する連絡の記録、費用の負担関係、当日の所在を示す資料を保全していただきたいと思います。加えて、在留期限、勤務先との契約、住居の賃貸借の状況を確認しておいてください。身柄拘束が長引くと、これらが同時に崩れ、刑事処分より先に生活の基盤が失われることがあります。

中文版:在公海接货、在渔港卸下的205公斤金块:海上交接型案件的实务

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

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この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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