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関税法の罰金は、貨物の価格を基準に決まる。報酬の額とは連動しない

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関税法の罰金は、貨物の価格を基準に決まる。報酬の額とは連動しない

関税法の罰金は、貨物の価格を基準に決まる。報酬の額とは連動しない

2026/09/01

密輸事件で「罰金が科される」と聞くと、多くの方は交通違反の反則金のような金額を思い浮かべます。ところが関税法の罰金は、被告人が得た利益ではなく、持ち込もうとした貨物の価格を基準に定まります。金地金のように単価の高い物では、罰金の枠が想像を超える大きさになります。この記事では、その仕組みと、罰金で終わった場合に在留資格の更新でどのような影響が残るのかを、中国籍の方とご家族に向けて説明します。金額の計算方法を知っておくと、弁護人と相談する際の見通しが立てやすくなります。

罰金の基準が「貨物の価格」であるのはなぜか

関税法は、無許可で貨物を輸入した場合の罰金について、貨物の価格の5倍以下という枠を定めています。これは、犯罪によって動いた物の規模に見合った経済的な負担を課し、密輸から利益を得ることを割に合わなくするという考え方に基づいています。したがって、本人が受け取った報酬がいくらであったかは、この枠の計算には直接関係しません。もっとも、5倍以下というのはあくまで上限であって、実際に言い渡される額は、役割、利得、常習性、反省の程度など通常の量刑事情によって決まります。上限の数字だけを見て絶望する必要はありませんが、桁が大きくなり得ることは前提にしておく必要があります。

報道された事件の規模から考える

大阪税関の公表および読売新聞ほかの2026年7月8日の報道によれば、香港から到着した航空貨物の電気スタンドや充電器の内部に板状の金を隠していたとして、中国籍の男性ら2人が関税法違反(無許可輸入未遂)などで告発され、逮捕・起訴されたと報じられています。隠されていた金は合計1,656個・約25キログラムで、鑑定価格の合計は約3億6,323万円とされています。この価格を基準に罰金の枠が計算されることになります。以下は個別の事件の見通しではなく、制度としての一般的な説明です。

報酬と罰金の落差が生む誤解

運搬や名義の提供に関わった方は、受け取った報酬が数万円から数十万円ということが珍しくありません。そのため「自分は少ししか受け取っていないのに、なぜこれほど重いのか」という感覚を持たれます。しかし関税法の罰金は、貨物の価格という客観的な規模に結びついています。この落差を埋めるのが弁護活動です。組織の中で自分が担った部分がどこまでか、指示に従うほかなかった事情があるか、利得がどれだけ小さいかを、通信記録や送金記録で具体的に示していきます。金額の大きさに押し流されず、責任の分担を丁寧に主張することが、実際の言渡額を左右します。

罰金なら在留は安全か

罰金にとどまれば、1年を超える拘禁刑の実刑を要件とする退去強制事由には当たりません。その意味で、罰金と実刑の差は決定的です。ただし、それで在留の問題が終わるわけではありません。在留期間の更新や在留資格の変更は、申請すれば当然に認められるものではなく、法務大臣の裁量的な判断に委ねられています。出入国在留管理庁が公表している在留資格の変更・在留期間の更新許可のガイドラインは、素行が善良であることを判断の柱の一つに挙げており、罰金前科は素行の評価に影響します。同庁が令和2年に公表した不許可事例集にも、刑事処分を受けたことが更新の判断に影響した例が含まれています。

罰金を納められないとどうなるか

罰金は納付しなければなりません。納付できない場合には労役場留置となり、身柄の拘束が続きます。外国籍の方の場合、この期間が長引くと、勤務先との雇用関係が切れ、在留資格の基礎そのものが失われる可能性があります。在留資格に応じた活動を継続して3か月以上行っていない状態は、在留資格の取消事由になり得ます。出入国在留管理庁の統計では、令和7年の在留資格取消件数は1,446件と過去最高で、そのうち住居地の届出義務違反等が69.1%、活動を行っていないことが24.2%を占めています。刑事処分そのものより、その後の生活の断絶が在留を失わせるという構造は、実務でよく見られます。

ご家族が準備しておくとよいこと

第一に、罰金が科される可能性を見越して、納付の原資をどう用意するかを早い段階で検討してください。第二に、在留期限と更新申請の時期を確認してください。刑事手続の途中で期限が来る場合、更新申請をどのタイミングで出すかは弁護人と入管手続の双方を見ながら決める必要があります。第三に、勤務先との連絡です。無断欠勤が続く状態を避けるため、どの範囲でいつ説明するかを整理しておきます。第四に、在留カードと旅券の所在の確認です。押収されている場合は、返還の見込みも含めて弁護人に確認してください。

中文版:关税法的罚金以货物价格为基准,与本人拿到的报酬并不挂钩

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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