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在留特別許可の加重要件に薬物の号は書かれていない。それでも薬物事件が最も重い理由

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在留特別許可の加重要件に薬物の号は書かれていない。それでも薬物事件が最も重い理由

在留特別許可の加重要件に薬物の号は書かれていない。それでも薬物事件が最も重い理由

2026/09/01

「覚醒剤の事件で家族が逮捕されました。在留特別許可の重い要件のところに薬物は書かれていないと聞いたのですが、それなら日本に残れる可能性があるのでしょうか」。中国語でこうしたお問い合わせをいただくことがあります。結論から申し上げます。在留特別許可の加重要件に薬物の号が挙げられていないことは、薬物事件で在留が続けやすくなることを意味しません。薬物事犯は、刑の重さと関係なく退去強制事由に結びつくという、入管法(出入国管理及び難民認定法)の中でも例外的に厳しい取扱いを受ける類型です。この記事では、条文の並び方を入口から出口まで順に追い、どこで結論が決まるのかを整理します。

在留特別許可の加重要件には、何が書かれているのか

入管法50条1項ただし書は、在留特別許可を与えるにあたって特に慎重な判断を求める場面を定めています。発動の引き金は、無期又は1年を超える拘禁刑の実刑です。全部執行猶予が付いた場合は除かれ、一部猶予で実刑部分が1年以下の場合も除かれます。この列挙の中に、薬物事犯の退去強制事由である24条4号チは入っていません。条文の文字だけを追えば、確かに薬物は加重要件に書かれていないことになります。しかしこれは、法務大臣の裁量を特に強く縛る場面を限定したにすぎず、薬物事件の当事者が在留特別許可を得やすいという趣旨ではありません。加重要件は、あくまで最後の関門の一つです。

薬物は、入口である退去強制事由の段階で捕まる

本当の急所は24条4号チにあります。覚醒剤取締法、麻薬及び向精神薬取締法、大麻草の栽培の規制に関する法律、あへん法、麻薬特例法などの違反により有罪判決を受けた者は、それだけで退去強制事由に該当します。ここには刑の重さの限定がありません。罰金でも、執行猶予が付いていても、刑が免除されても該当します。在留資格が別表第一か別表第二かも問いません。永住者であっても同じです。他の罪名であれば、原則として1年を超える拘禁刑の実刑(24条4号リ)でなければ退去強制事由にならないことと比べると、薬物の扱いがいかに特殊かが分かります。執行猶予がついたから大丈夫という説明は、薬物事件については当てはまりません。

出国命令が使えず、上陸拒否期間にも年限がない

不利は退去強制事由だけにとどまりません。自ら出頭して短期間で出国する出国命令の制度は、その要件の中で薬物該当者を明示的に除いています。摘発前に自分から出頭しても、この簡易な手続には乗れません。さらに上陸拒否についても、薬物に関する規定には他の号のような1年・5年・10年といった年限がなく、期間の定めのない上陸拒否となります。罰金でも、外国の法令に違反した場合でも足ります。将来ふたたび日本に来るには、上陸特別許可という個別の判断を得るほかありません。加重要件に書かれていないという一点だけを取り出すと、この全体像を見誤ります。

報道された事例から見える、実務上の分岐点

読売新聞は2023年1月31日、埼玉県内の集合住宅の空き室で、絵画の裏に隠す形で覚醒剤約1キログラムを所持していたとして、中国籍の20代の男性が覚醒剤取締法違反(営利目的共同所持)と邸宅侵入の疑いで逮捕されたと報じました。起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。この類型で弁護人が正面から争うのは、その部屋と薬物に対する事実的な支配があったかどうかです。鍵を誰が管理していたか、本人が何回どのような目的で出入りしていたか、包装や隠匿場所に指紋や生体反応が残っているか、通信の履歴が保管の指示と結びつくか。ここで所持が認められなければ、4号チは発動しません。薬物事件における在留の帰趨は、量刑の場面ではなく、有罪か否かの場面でほぼ決まります。

刑事段階で何を目指すのか

したがって弁護の目標は明確です。不起訴、あるいは無罪です。営利目的が否定されて単純所持にとどまれば量刑は下がりますが、有罪である以上、退去強制事由の該当性は変わりません。ここは他の罪名と発想を切り替える必要があります。量刑を軽くする活動と、罪責そのものを争う活動は、資料の集め方も取調べへの対応も異なります。取調べで、知っていたかもしれないという趣旨の調書が一通できてしまうと、後から覆すのは容易ではありません。通訳を介した取調べでは、微妙な言い回しが日本語の調書に固定されてしまう危険が特に大きいことも知っておいてください。

ご家族が今日できること

まず、在留カードと旅券が今どこにあるかを確認してください。警察が押収している場合と、自宅に残っている場合とで、その後の入管手続の進み方が変わります。次に、在留期限がいつまでかを確認します。身柄拘束中に期限が来ると、刑事事件とは別に不法残留の問題が重なります。勤務先や学校への説明は、事実関係が固まる前に急ぐ必要はありませんが、無断欠勤が続くと在留資格そのものの取消しにつながる場合があります。差し入れは現金と衣類が中心で、日本語が読めない方には辞書が役に立ちます。弁護人が就いていれば、接見を通じてご家族の言葉を本人に伝えることもできます。

中文版:特别在留许可的加重要件里没有毒品条款,为什么毒品案件反而最难留下

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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