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大麻91キロの事件。改正前の法令名で書かれた記事をどう読むか

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大麻91キロの事件。改正前の法令名で書かれた記事をどう読むか

大麻91キロの事件。改正前の法令名で書かれた記事をどう読むか

2026/09/01

薬物事件を調べていると、数年前の記事に「大麻取締法違反」という罪名が出てきます。ところが現在、日本に大麻取締法という名前の法律はありません。令和6年(2024年)12月12日に施行された改正により、法律の名称も、大麻の法律上の位置付けも変わったからです。この記事では、羽田空港で公表された大量密輸の事例を素材に、過去の事件の記事を読むときに気を付ける点と、過去の量刑をそのまま現在に当てはめてはいけない理由を説明します。

羽田空港で公表された事例

東京税関が公表した平成30年(2018年)の事例では、カナダから東京国際空港(羽田)に到着した中国籍の男女2名について、スーツケース3個に分散して隠された大麻約69キログラムが発見され、さらに未着の預託手荷物からも約22キログラムが発見されて、合計約91キログラムとなり、東京地方検察庁に身柄が送致されたとされています(東京税関公表資料)。当時の罪名は関税法違反および大麻取締法違反とされています。送致の段階であり、起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。

令和6年12月12日に何が変わったのか

この日に施行された改正により、大麻取締法は「大麻草の栽培の規制に関する法律」へと改称されました。そして大麻は、麻薬及び向精神薬取締法上の「麻薬」として位置付けられることになりました。これにともない、使用罪が新設され(麻薬及び向精神薬取締法66条の2、7年以下の拘禁刑)、単純所持の法定刑の上限は5年以下から7年以下に引き上げられています。つまり、以前は処罰規定がなかった使用行為が処罰の対象になり、所持の刑も重くなりました。

過去の事件を読むときの三つの注意点

第一に、罪名の表記です。改正前の行為には当時の法令が適用されますから、記事に「大麻取締法違反」とあってもそれ自体は誤りではありません。現在の事案に同じ罪名を当てはめてはいけない、というだけのことです。第二に、量刑の相場です。法定刑の上限が引き上げられ、使用罪が新設された以上、改正前の判決の刑期を、そのまま現在の見通しとして受け取ることはできません。第三に、税関の公表資料の表記です。改正後は、大麻について「麻薬である大麻」と記載されるようになっています。表記が変わったことに気付かないと、同じ物質について二つの制度があるように誤解しかねません。

「刑が重くなった」ことより実務上重いのは在留の問題

大麻に関する罪は、改正の前後を通じて、入管法24条4号チの退去強制事由の対象です。この事由は有罪判決があれば足り、罰金でも執行猶予でも該当し、在留資格が別表第一か別表第二かも問いません。ここが薬物事犯の最大の急所です。統計を見ると、令和6年(2024年)の来日外国人の薬物事犯検挙人員は947人で、うち大麻が324人でした(警察庁「令和6年における組織犯罪の情勢」)。同じ統計で中国は上位4か国に入っておらず、中国の薬物事犯検挙人員は24人です。数として多い類型ではありませんが、一件ごとの在留への影響が極めて大きいという特徴があります。

この類型で弁護人が検討する点

大量密輸の事案では、まず中身の認識が争点になります。荷物を預かった経緯、依頼者との関係、報酬、渡航費用の負担、渡航日程の組み方が、故意と営利目的の推認材料になるためです。次に、複数名で入国している事案では、各人の役割の違いが量刑を分けます。荷造りをした者、旅程を管理した者、単に同行した者では、負う責任が異なります。押収量の合計は同じでも、自分がどこまで関与したかを客観的資料で限定できるかが、防御の中心になります。

ご家族が今日できること

行為の時期を確定してください。令和6年12月12日より前か後かで、適用される法令と刑の枠組みが変わります。次に、渡航の経緯を示す資料(航空券の購入者、宿泊予約、渡航費用の送金記録、依頼者とのやり取り)を保存してください。削除してしまうと、本人の説明を裏付ける手段が失われます。そして、勤務先や学校への説明は、事実関係が固まるまで待ってください。刑事の結論が出た後には入管の手続が続きますから、その段階で必要になる身元引受人や生活の基盤に関する資料も、並行して整えておく価値があります。

中文版:91公斤大麻案:用修法前法律名称记载的案件该如何解读

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舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

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この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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